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今だからどうする! 住宅ローンの賢い活用法 第18回 ローン破綻しないための知恵と工夫(10)「今のご時世に合う住宅ローンの利用・返済計画をチェックする」(前編)

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 年末になると、この1年を振り返る特番あるいは特集がテレビや新聞などで企画される。


 また12月12日の「漢字の日」には、“今年の漢字”が京都・清水寺で発表される。一字で、その年の世相を表すというもので、昨年は“新”、一昨年は“変”だったそうだ。


 “だったそうだ”と記したが、世相なり時世は川の流れのようなもので、年を越せば忘れてしまうものである。この“今年の漢字”、公募の中から最も数の多い一字が選ばれるという。2010年の“今年の漢字”、どんな一字が選ばれるか、今のご時世を反映する一つの指標として注目したい。


 年末まで3カ月余りあるが、「住宅ローン成功術」的に一字を決めると、“混”(入り乱れる、まじる)ということになるのではないだろうか。熟語としては“混沌(こんとん)”“混迷”“混在”“混合”などが当てはまる。それらの熟語も含めて、なぜ“混”なのかを考えてみよう。


●住宅の取得にかかわる“今のご時世”、なぜ“混”なの?


 住宅を取得(購入・建築)する上で決め手となる大きな要素は、'不動産市場・市況の動き''住宅ローンの利用のしやすさ'、そして取得する側(消費者)の'経済力・家計力'の3つが挙げられる。この3大要素、時として変化する。


 例えば、今から20年ほど前のバブル景気のころは、


(イ)'不動産市場・市況の動き'については、はじけるほどの活況状態で、物件価格はうなぎ登りに急上昇。


(ロ)'住宅ローンの利用のしやすさ'では、金余り現象で多額の借り入れが比較的容易だが、半面、かなりの高金利。


(ハ)取得する側の'経済力・家計力'に関して、右肩上がりの収入増で、物価上昇もさほど気にならずに高額商品を購入・消費、といった浮かれ状態。


 これらを一言で“混ぜて”いえば、“狂ったほどの金巡りの良い状態”で、“住宅転がしあるいは住宅すごろく”といった言葉も使われたぐらい。要するに、本来は生活の拠点としての住宅で、資産としての価値に重きが置かれた時代だったといえる。


 やがて90年代に入ると、バブルが崩壊。株の下落、地価および住宅価格の下落が始まった。バブル景気が異常だったとすれば、“今”の'不動産市場・市況の動き'は、正常だということかもしれない。


 20年前の状況と比べる意味で、“今のご時世”を前述の3つの要素からチェックすると、


(イ)'不動産市場・市況の動き'は、どちらかといえば低迷期の状態。物件価格についてはやや低めの安定状態。


(ロ)'住宅ローンの利用のしやすさ'については、貸し出しに対する審査も慎重。金利についてはかなりの低金利が持続。


(ハ)'経済力・家計力'の方はどうか。年収の伸びはあまり期待できないが、収入が安定していれば家計のやりくりもそう苦にならないといったところ。ただし、職業や勤務先の状況などによって収入面での格差が広がりつつある。併せて、若年層の就職難と30代未婚層の増大が深刻化。


 上記の(イ)と(ロ)は、いわば社会の状況を反映したものであり、(ハ)は個人あるいは個々の家庭の状況を映し出しているようなものである。“今のご時世・状況”が、なぜ“混”なのかを、(イ)(ロ)(ハ)を縦軸に、住宅の取得と住宅ローンの利用・返済計画を横軸にしながら考えてみよう。


■“今のご時世”の住宅取得・ローンにかかわる“混”をチェックする
住宅の取得にかかわる“混”住宅ローンの利用・返済にかかわる“混”
(イ)不動産市場・市況の動き 買い値を上回っての売却が期待できないため買い換え市場が低迷。売却益を頭金にしてステップアップするケースが多い。一次取得者の場合は購入(あるいは建築)しやすい価格設定になっている。同時に過去最大級の住宅ローン控除や、住宅エコポイント、長期優良住宅優遇制度などをどう活用すれば良いか、“混迷”するケースもある。おいしいことが多いだけに物件の選び方などが難しい。 これから住宅ローンを利用する人にとっては、低金利など好条件がそろっている。ただし、業種間・企業間による年収格差が拡大。若年層でも高収入によって多額な資金の借り入れが可能で、高額な物件を取得するケースもある。また、バブル期に高金利の住宅ローンを利用して現在返済中の人もいる。借り換えで切り抜けているケースもあれば、そうでないケースもあって、まさに“混”の状態。
(ロ)住宅ローン利用のしやすさ 【フラット35】が登場して7年ほどたつ。公的融資の長期固定金利型の公庫融資が廃止され、その受け皿として登場した。建て前上は民間ローンとされているが、実態は公的融資に近い。【フラット35】Sでは耐震性や省エネ性、耐久性・可変性など一定の要件を備えた住宅を取得すれば、【フラット35】の金利よりも1%引き下げた金利が適用。優遇される分、より有利な低い金利が利用できる。こういった優遇措置は、公的融資的な発想といえる。ほぼ3つに分かれる金利体系とともに、“混”の極みといえる。 住宅ローンは多額の融資が受けられる半面、長期にわたって返済するケースが多い。それだけに利用時の金利のままで現在、返済中の人もいる。同じ借入額であっても、金利差によって返済額にも差が生まれる。利用時の条件などによって返済する金額が“混在”するというわけだ。金利は社会や経済の状況変化によって変動する。利用時においては、固定型か変動型かあるいは固定期間選択型のどれを選べば良いか、多様化する【フラット35】の取り扱い金融機関選びとともに、“混迷”することになる。
(ハ)家庭の経済力・家計力( ※ ) 住宅を取得するために資金を手当てすることになるが、例えば夫婦共働きの場合、互いにお金を出し合って対応するケースが多い。同時に、取得した住宅の権利関係を共有名義にする。収入を得ている家族の協力度の高さがその家庭の経済力となって、より多額のあるいは希望に沿う物件を取得することが可能になる。また、家計力も大きなポイントになる。家計のやりくり上手によって、住宅取得のための頭金づくりもスピードアップ。ここでは、収入の“混”としておこう。 住宅ローンの利用時は、経済力の違いが借入額の差となる。経済力は返済力でもあるわけで、それがともなってこそ、多額の借入金を設定することができる。返済が始まると、家計力の差によってスムーズに返済できるか滞りがちになるかが決まる。とくに、子どもの成長とともに家計の配分の仕方が違ってくる。高校・大学期になると、教育費に対する負担がぐっと増える。“混沌(こんとん)”とする将来に対して、どう家計をコントロールすれば良いか、各家庭の経済力・家計力が問われることになる。
※家計力:筆者の意味するところは、家計のやりくりが上手か下手かということ。むろん上手であれば“家計力がある”ことになる


[“今のご時世”を反映する住宅のありさま・3態]
写真左:電線の地中化によって電柱のない景観をつくりだし、美観的にも優れた分譲地に建築中の新築物件。合理的な建築工法でエコ住宅に対応する仕様などの条件を備える。最新の省エネ・便利設備も搭載される予定。分譲住宅として販売される。
写真中:“今のご時世”、住宅エコポイントも大きな注目点。新築はもちろんのこと、リフォーム工事で住宅エコポイント制度を利用するケースも多い。事例は、かなり大掛かりなリフォーム工事で間仕切り壁の変更なども想定。むろん、エコポイントの適用条件である省エネ・断熱化にも対応している。
写真右:主のいない荒れた住宅。これも“今のご時世”を反映する事例といえる。住宅ローンの破綻、あるいは未解決の相続問題など、どんなことが原因で荒れた状態になったか定かでないが、隣家の状態から見ると、築10年から15年ほどたった住宅だと想像できる。人が住んでこそ住まいといえるが、人が住まなければ荒れ放題の廃虚となる。長期のローン返済に励みながら、末永く住める状態に維持・管理することも大切。


●“今のご時世”、住宅の取得にかかわるお得度は?


 ここでは、昨年から今年にかけて掲載した“今のご時世”にかかわる住宅取得のお得度ポイントを、ワンポイント風におさらいしてみよう。


〈チェック1:本年中の入居なら、一般の住宅で最大控除額500万円が適用の「住宅ローン控除」〉


 住宅の取得にかかわる最大級のお得度は、なんといっても「住宅ローン控除」。この控除制度は、10年間にわたって所得税と住民税の一部が控除されるというもの。一般住宅の控除率は1%で、仮にローン残高の上限が5000万円であれば10年間にわたって控除され、金額にすると最高控除額は500万円になる。〈チェック4〉の長期優良住宅優遇制度を利用した住宅なら控除率は1.2%で、10年間の最大控除額は600万円にもなる。(詳しくは、当サイトの「資金と税金のイロハ(2010年度版)」の「Q46」~「Q48」参照)


〈チェック2:金利引き下げ幅が0.3%から1.0%に拡大の【フラット35】S〉


 今年の2月15日から、【フラッ35】Sの当初10年間の金利が0.3%から1.0%に引き下げられた。固定金利での引き下げ幅の拡大は、かなり大きなお得度アップと言える。


 例えば借入金額3000万円、35年返済だとすると、今年の場合(当初10年間:-1.0%)では、利息分が約1500万円。来年以降では、当初10年間が-0.3%の優遇で、利息分は1744万円ほどになる。引き下げ幅0.7%の差は金額にして244万円の差となる。


 なお、適用期限は今年の12月30日までの申し込み分とされているが、延長される動きもある。ただし、国の予算が絡む話なので、詳しいことはまだ決まっていない。(住宅ローンの賢い活用法第15回16回参照)


〈チェック3:30万円相当分のポイントが、“今”ならもらえる住宅エコポイント制度〉


 国が定めた省エネ基準を満たす住宅を取得(購入・建築)すると、“今”なら30万円相当分の住宅エコポイントがもらえる。その“今”は、2011年6月30日申請分までになっている。なお、新築一戸建ての場合、2010年12月31日までに着工することが条件となっている。


 これも「エコカー補助金」と同様に予算を消化すれば申請の締め切りが早まることもある。ただしこれも、【フラッ35】Sの1.0%の引き下げ幅拡大と同様に申請期限を延長する動きがある。いずれにしても、対象となる住宅の取得が決まれば、早めに申請しておくことがポイント。(詳しくは、住宅ローンの賢い活用法第3回第11回の緊急特別版第17回参照)


〈チェック4:さまざまな税金面でお得度がアップする長期優良住宅優遇制度〉


 末永く住めるように丈夫で省エネ性の高い家づくりを進め、加えて将来的に間取りの変更を容易にできるように考えられた住宅を「長期優良住宅」という。こういった住宅を取得すると、主として税金面でさまざまな優遇措置が受けられる。


 最も大きいのが、〈チェック1〉で紹介した「住宅ローン控除」。そのほか、登録免許税や不動産取得税、固定資産税などで、一般住宅よりも優遇された減税措置が受けられる。


 また、この住宅を【フラッ35】を利用して取得した場合、当初10年間の1.0%引き下げに加えて11年目以降20年目まで0.3%の引き下げが可能な【フラッ35】S(20年金利引き下げタイプ)を利用することができる。長期優良住宅優遇制度については、昨年の「こんなときどうする!」の第12回(6月26日掲載)および第22回(11月27日掲載)で詳しく紹介。


 住宅の取得とかかわる“今のご時世”の3つの要素のうち、「不動産市場・市況の動き」と「住宅ローン利用のしやすさ」は、いわば社会状況を反映させたものといえる。これに対して、「家庭の経済力・家計力」は住宅の取得を目指す、あるいは取得した各家庭の対応の仕方で決まるものである。


 次回では、“今のご時世”において、家庭なり個人がどのように処すれば良いかを考えてみることにしよう。


[2010/9/24]

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