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今だからどうする! 住宅ローンの賢い活用法 第1回 ローン破綻しないための知恵と工夫(1)住宅ローンってなに?

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 “住宅ローンを利用することでマイホームが獲得できる”“住宅ローンを利用したことでマイホームを手放す”、双方ともに今のご時世の住宅ローンのありようを端的に表す言葉だといえる。後者の“住宅ローンを利用したことでマイホームを手放す”は、ローン破綻の結果としての言葉でもあるが、表現としては正しいとはいえない。


 それは、マイホームを取得するのも手放すのも、住宅ローンを利用する人の考え方や対応の仕方で決まるからだ。多額の資金が利用でき、長期にわたって返済することができるのが住宅ローンの大きな特徴。


 “多額”と“長期”は多くの場合“薬”にもなるが、ローン返済の原資である収入面で不安定さが増す昨今では、“毒”にもなるということだ。“毒”にならないためにどうすればよいか? 住宅ローンを賢く活用するためには、まず「住宅ローン」そのものを知ることから始める必要がある。


[ポイント1]住宅ローンはマイホームの取得資金を補うための借金


 マイホームというのは、本人およびその家族が居住するための住宅のこと。むろん住宅には土地が付随しており、その土地も含めてマイホームという。住宅ローンはマイホームの取得資金を補うための借入金で、貸し付ける金融機関からすれば融資する資金ということになる。


 マイホームの取得資金は、自己資金+住宅ローン資金で構成されるが、住宅ローンの利用が一般化するにつれて、取得資金に占める住宅ローンによる資金の比率が高まってきている。自己資金2割に対して住宅ローン8割とするケースが多いが、住宅ローンの割合を諸費用分も含めて9割設定とするケースもある(表1参照)。住宅ローンの割合が高まると、当然、返済に対する負担が増すことになり、ローン破綻という危険ゾーンに近づくことになる。


 ローンとかクレジットなどというと何とはなしにスマートで抵抗感のない言葉だが、これは紛れもなく借金である。借金は貸す側(債権者)と借りる側(債務者)との間で成り立つ、お金にかかわる権利と義務の法的な関係にある。借りる側が返済の義務を怠ると、マイホームを手放すといった大きなペナルティーを課されることになる。


 “住宅ローン破綻”を防ぐためには、できるだけ自己資金の割合を高め、住宅ローンの割合を抑えることが鍵になる。同時に、取得資金を抑えることも必要。たとえばマンションや建売住宅などであれば、よりお手ごろ感のある価格設定の物件を探す努力が必要といえる。詳しくは、[ポイント2]でふれることにしよう。


●表1 住宅ローンの借入金割合別/返済額比較
[事例]取得資金:3000万円 住宅ローンの金利:3.00% 住宅ローンの返済期間:30年[割合A]では借入金が2700万円で毎月返済額が11万円強になる。住宅ローンの割合を抑えることで、毎月の返済負担が軽くなる。[割合D]のように住宅ローンと自己資金の割合が6:4ぐらいになれば返済がかなり楽になり、場合によっては余力が生じて繰り上げ返済に対処できる。自己資金の割合を高める、あるいは額を増やす手段としては、最も確実なのが預貯金に励むことだが、低金利のためあまり期待できない。ある程度、リスク覚悟で増やすことになる。
割合A住宅ローン9(2700万円):自己資金1(300万円)毎月返済額:113,833円
割合B住宅ローン8(2400万円):自己資金2(600万円)毎月返済額:101,184円
割合C住宅ローン7(2100万円):自己資金3(900万円)毎月返済額:88,536円
割合D住宅ローン6(1800万円):自己資金4(1200万円)毎月返済額:75,888円



[ポイント2]住宅ローンを利用することで多額の資金が確保できる


 個人が利用できるローンの中で最も多額の資金が借りられるのが住宅ローン。なぜ多額なのかは、住宅の取得資金としてかなりの金額を用意しなければいけないからだ。仮に取得資金として3000万円を確保しなければいけない場合、それを自己資金だけで賄おうとすると、その蓄財のためにかなりの努力と期間、工夫が必要になる。時には思わぬ幸運(相続や贈与、あるいは懸賞金等)がもたらされることもある。


 “マイホームを持つ”、そこには、家族が心地よく暮らせる“夢”がオーバーラップする。とくに若い家族にとっては、子どもが健やかに成長する場として“マイホームを持つ”という“夢”がある。ストーリーとしては、できるだけ早い段階で“夢”をかなえたい、だから多額の住宅ローンを組むことでそれを実現する、ということだ。


 自己資金の確保が十分でない若い家族では、表1に示した[割合A]の方向に進むことになりがち。仮に[割合A]だとすると、毎月返済額は11万円強と相当な多額。収入(月収)に占める返済額の割合が低ければさほど影響はないが、毎月の返済額が11万円強であれば月収はその5倍以上が必要である。月収60万円の中にはボーナス分も加えることができるが、今の時代を考えるとボーナス分はあてにしない方がよい。


 また取得資金の内容は、取得する住宅の中身によってかなり違ってくる(表2参照)。


●表2 取得する住宅の内容で違う取得資金の中身
取得資金の中身一戸建て(注文住宅)の場合一戸建て(建売住宅)の場合マンションの場合
土地取得にかかわる費用土地の取得時期や状況などで異なる(例えば建て替えの場合には土地取得費は不要)販売価格に土地価格も含まれており、建物価格と合わせると高額な購入費になる販売価格に土地価格も含まれているが、かなり細分化されているため相対的に少ない金額
間接的に掛かる諸費用建て方の違いで異なる(例えば建て替えでは古家の取り壊し費や仮住まい費が加算)登記等の手続きが一括して行われるため諸費用としては比較的抑えられる新築と中古では異なる。新築なら建売住宅の場合とほぼ同じ。中古では仲介手数料等が掛かる
直接的に掛かる購入費・建築費請負契約の形になるので建築費。プランが仕様等の違いて差。費用的な調整は可能売買契約の形になるので購入費。土地と建物の内容によって費用に差。調整不可売買契約なので購入費。立地・環境・交通等の利便性・広さ・設備等の物件内容でかなりの差
[取得資金の中身からみた取得のポイント]先行して取得した土地に対するローン返済が残っていない場合は諸費用+建築費の構成になり、相対的に取得資金が抑えられる相当高額な取得費になるが、物件の内容(所在地・敷地面積・間取り等)によっては取得資金を抑えることも可能新築・中古ともに価格的には低いレベルで推移しており、上記に示した物件の内容等を比較検討しながら幅広く選択できる状況だといえる



[ポイント3]住宅ローンの返済期間は人生のほぼ半分に匹敵


 住宅ローンの特徴として、多額の融資に加えて長期の返済が可能なことが挙げられる。要するに融資の額が多い分、その返済は長期に設定せざるを得ないということだ。多くの金融機関では、住宅ローンの返済期間を最長35年に設定している(長期優良住宅の取得に対しては返済期間を最長50年に設定できる「フラット50」もある)。


 返済期間を最長の35年に設定すると、ほぼ人生の半分をローン返済に費やすことになる。返済期間を長期に設定できることで返済が楽になるわけだが、果たして良策といえるだろうか。表3は返済期間別にみた毎月返済額と、期間を通しての総返済額を示したものである。


●表3 返済期間別にみる毎月返済額と総返済額
[事例]借入額:1000万円 固定型金利:3.00% 返済期間:10年~35年の5年刻み 返済方法:元利均等毎月返済
返済期間毎月返済額返済総額返済期間毎月返済額返済総額返済期間毎月返済額返済総額
10年96,560円11,587,200円20年55,459円13,310,160円30年42,16015,177,600円
15年69,058円12,430,440円25年47,421円14,226,300円35年38,48516,163,700円
借入額が2500万円だとすると、上記の金額に2.5 倍すれば算出できる。たとえば、25年返済の毎月返済額は47,421円×2.5 =118,552 円。総返済額は35,565,750円。
返済期間を長く設定するメリットは、毎月の返済額が少なくて済み、返済に対する負担感が抑えられること。
返済期間を長く設定するデメリットとして、総返済額が多くなり相対的に損失感が高まること。さらにマイホームを売却する際の手続きが煩雑になり、併せて不動産市況の動きに翻弄される機会が多くなる。
長期返済のデメリットを解消する手段として、繰り上げ返済することで返済期間を短縮化する方法がある。


 住宅ローンを利用する際、返済期間をどのくらいに設定するかは、たいへん重要なテーマで、設定の仕方によっては毎月の返済が楽にも苦しくもなる。ただし、期間を設定する上で完済時の年齢制限があって、その範囲に納まるようにしなければいけない。たとえば、完済時80歳までだとすると、最長の返済期間35年に設定できる人の年齢X歳は、(80-X=35年)で(X=45歳・申し込み時の年齢)ということになる。


 なお、年齢制限によって住宅ローンが利用できないケースに対する救済策として、「親子リレー返済」などがある。利用する金融機関に相談するとよい。


[ポイント4]住宅ローンを利用して得たマイホームは完済するまで幻


 住宅ローンは多額の融資が受けられ、しかも長期返済が可能なため、利用することでかなりの資金確保が容易になる。そういった容易さにブレーキを掛ける手段として、貸す側は取得する物件に対して抵当権を設定する。


 つまり、債務者が借金が返せなくなった場合に対応するために、債権者の金融機関が借金のかた(担保)として法的な権利(抵当権)を設定することになる。債務者が取得した不動産(土地や建物)の登記簿には、金融機関による抵当権が設定されている旨が記載されている。その抵当権は、住宅ローンが完済することで抹消されることになり、名実ともに取得者の所有物になり、むろん処分するのも自由になる。


 住宅ローンの返済が終わるまでには相当の期間が掛かり、金銭的な負担が長く続くことで精神的にも圧力が加わる。完済を早める手段を計画的に講じる必要があるのはいうまでもない。


住宅ローンの返済は家づくりの状況と似ている。たとえば、マイホームが完成して入居に至ってローン返済がスタート。そのマイホームはいわば幻のマイホームであって、ローン利用による抵当権の設定という網がかぶせられた状態にある。住宅が完成に至る状況と照らし合わせると、たとえば部材の1つ1つが毎回の返済額に相当、そして工事の各段階が、返済期間の節目になる。たとえば、基礎工事の段階なら返済開始から5年目、躯体が完了すると15年目、内装工事が終われば25年目、設備等の据え付け完了が30年目、完成・引き渡しの段階が35年目、そんなイメージでローン返済を考えると、精神的にも楽な気分になる。住宅ローンの返済工程日記といったところ。
※写真は建売分譲の例。ここでは完成した物件と工事中の物件とがほぼ同時に見られる。使われる部材や資材をお金に換算して、それが住宅ローンの毎月返済額に置き換えてみると、返済に対する苦も楽なイメージになる。


[2010/1/15]

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