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第156回 徹底解明! 住宅ローン減税の仕組み 基礎の基礎

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 2012年は経済的インセンティブを付与する各種政策の復活により、住宅市場や新車市場が活性化することが期待されている。昨年11月には2011(平成23)年度第3次補正予算が成立し、「住宅エコポイント制度」が復活した。また、同12月には第4次補正予算案が閣議決定され、「エコカー補助金」の再開が盛り込まれた。どちらもリーマンショックによって停滞した消費を刺激し、需要喚起につながった功績が認められたためだ。


 今では、こうした消費刺激型の経済政策は景気対策として不可欠な存在になっており、そのなかでも「住宅ローン減税制度」は先導的かつ中心的な存在になっている。国土交通省の「平成22年度住宅市場動向調査」によると、注文住宅を新築した人の69.1%、分譲住宅を購入した人の61.9%が住宅ローンを利用しており、そのうちの注文住宅では89.1%、分譲住宅では89.8%の人が「住宅ローン減税」の適用を受けている。実に約9割の住宅ローン利用者が当該制度の恩恵を受けている計算だ。


 しかし、事あるごとに延長が繰り返され、そのたびに適用条件や最大控除額が見直されてきたため、住宅ローン減税は分かりにくい仕組みになってしまった。ただでさえ税金は難しいという概念が固定化するなかで、さらに複雑な制度となっている。そのため、「思っていたよりも戻ってくる金額が少ない」といった事態に直面することもしばしばで、せっかくのインセンティブ効果(お得感)が半減してしまっている印象はぬぐい去れない。


 住宅ローン減税でいう「減税」とは、本人が支払った税金が文字どおり当該制度を通じて戻ってくる「還付」にほかならない。にもかかわらず、多くの人が市役所や税務署が補てん(補給)してくれるような錯覚に陥っており、還付金の財源が「自身が徴収された税金そのもの」であることを忘れている。基本中の基本を理解していないため、どうしてもこうした誤解を生んでしまうのだ。そこで、「こんなはずでは…」とならないよう、住宅ローン減税の仕組みを基礎から解説することにする。


自分の還付額を知るために、まず所得税の納税額を知る

 突然だが、現在、仕事をお持ちの読者の皆さんは、ご自身が1年間にいくら所得税を支払っているかご存じだろうか。会社勤め(給与所得)の人は毎年、勤務先が年末調整してくれるので、ほとんど知らないのが現実だろう。実は、住宅ローン減税による還付額を計算するには、自身が支払った所得税の納税額を知っておかなければならない。一体なぜなのか、以下、モデルケースを用いてその理由をご説明しよう。


<モデルケース1>
 分譲価格5000万円(税込み)の新築マンションを、頭金500万円、住宅ローン4500万円(年末残高は4400万円とする)を組んで購入し、2011年中に入居した。
 この場合、ローン名義人の1年間の納税額が20万円とすると、還付される金額はいくらになるか?


 住宅ローン減税とは、居住年によって決められた借入金の年末残高(文末の表を参照)を上限に、最長10年間、各年の住宅ローン年末残高の1%相当額が税額控除される減税制度だ。しかし、前述したように「還付金の財源は自身が徴収された税金そのもの」という制度の特性があるため、実際の還付額は


(A)住宅ローンの名義人が1年間に徴収された税金の金額
(B)各年の住宅ローン年末残高(限度額が上限)×1%


――のどちらか少ない金額となる。


 この基本ルールをモデルケースに当てはめると、(A)20万円、(B)上限額4000万円×1%=40万円となり、少ないほうの20万円が実際の還付額となる。住宅ローンの年末残高(初年度)そのものは4400万円だが、文末の表から2011年入居の場合は4000万円までしか計算の対象額として認められないため、(B)は40万円となり、最終的に(A)20万円が初年度に実際に還付される金額となる。2年目以降も計算方法は同じだ。なぜ、納税額を知る必要があるのか、また、必ずしも「年末残高の1%相当額」が戻るわけではないことを、この事例から理解しておいてほしい。


税制改正で住民税からも控除が可能に! ただ、現金では戻ってこない

<モデルケース2>
 分譲価格5000万円(税込み)の新築マンションを、頭金500万円、住宅ローン4500万円(年末残高は4400万円とする)を組んで購入し、2011年中に入居した。
 この場合、ローン名義人の2011年中の年収が700万円、その年収から各種控除や社会保険料を差し引いた課税総所得金額が300万円(徴収された所得税額は20万円)、2011年対応分の住民税が30万円とすると、還付される金額はいくらになるか?


 2009年度税制改正により、所得税から控除しきれなかった分を個人住民税からも控除できるようになった。そこで、今度は所得税と住民税の両方を盛り込んだケースで実際の還付額を計算してみよう。


 基本的な計算方法は<モデルケース1>と同じだ。ただ、注意点として住民税の控除額は「当該年分の所得税の課税総所得金額×5%」(最高9万7500円)が上限となっており、必ずしも全額が控除されるわけではない。


(a)29万7500円(所得税20万円+住民税の上限額9万7500円)
(b)40万円(年末残高の上限額4000万円×1%)


 <モデルケース1>と同様、基本ルールに当てはめると、(a)29万7500円、(b)40万円となり、少ないほうの29万7500円が控除される金額となる。所得税が20万円、住民税が30万円となっているため、(a)は合計50万円と言いたいところだが、住民税にも計算対象として認められる上限が決められており、9万7500円が控除対象の限度となる。


 さらに、住民税の控除にはもう1点、注意点があり、所得税分(20万円)が現金で本人の口座に入金されるのに対し、住民税分(9万7500円)は翌年に請求される住民税の金額からその分(=9万7500円)を減額される。つまり、現金として手元には振り込まれてこないのだ。住民税は前年の所得に対し、その翌年に課税される仕組みになっているからだ。


 <モデルケース2>では、住宅ローン減税の確定申告(2012年2~3月)ののち、数カ月すると指定口座に20万円(所得税の還付分)が振り込まれてくる。他方、住民税分は2012年6月から請求が始まる住民税の納付額が本来より9万7500円減額されて本人に請求される。現金支給されることは一切ない。5月ごろに送られてくる住民税の決定通知書を見ると、控除されていることが確認できる。初めて聞いた人は難しく感じるかもしれないが、何度も読み返して必ず理解しておいてほしい。


震災で自宅を失っても、引き続き住宅ローン減税を受けられる

 最後、東日本大震災に関する税制上の追加措置について付記しておく。東日本大震災の被災者の方で、震災前から住宅ローン減税の適用を受けていた人は、たとえ自宅が地震で倒壊あるいは津波で流されて住めなくなっても、住宅ローンが残っていれば、減税期間の残りの期間は引き続き還付を受けられることになっている。従来通り、給与所得者の人は会社での年末調整、自営業などの人は確定申告により請求することで、これまでのように適用が受けられる。


 また、特例として2013年12月31日までに住宅ローンを組んで新たにマイホームを取得・居住を開始した場合、これまで適用されていた住宅ローン減税と新しく手に入れた住宅に対する住宅ローン減税の両方を重複して受けられるようになる。二重ローンを背負うことにはなるが、一定の負担減は期待できるはずだ。


☆ ☆ ☆


 タイトルを「基礎の基礎」としたにもかかわらず、中身はだいぶ難しくなってしまった。ただ、これでも必要最低限の内容にとどめている。お心当たりの人は繰り返し読んで、理解に努めてほしい。


住宅ローン減税の内容(一般住宅の場合)
居住年控除期間控除対象となる借入金の
年末残高の限度額
控除率最大控除額
2010年最長10年間5000万円一律1.0%500万円
2011年4000万円400万円
2012年3000万円300万円
2013年2000万円200万円



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[2012/1/11]

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住宅コンサルタント 平賀 功一

e住まい探しドットコム代表。ネットを中心に公平・中立なスタンスで「失敗しない住宅選び」のための情報発信を行う。


e住まい探しドットコム http://www.e-sumaisagashi.com/


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