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第144回 マンション不況再突入はあるのか 2011年後半の市場を占う

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 東日本大震災から4カ月、発生直後には大きく落ち込んだ景況感が順調なペースで持ち直していることが明らかになった。7月8日に公表された6月の景気ウォッチャー調査(内閣府)によると、現状判断指数・先行き判断指数いずれもV字回復を果たしており、わずか3カ月で震災前のレベルにまで回復した。冷え込んでいた消費者心理が改善し、購買意欲が持ち直したこと、また、企業の生産活動においてもサプライチェーンの寸断による原材料や資機材の供給不足・入荷遅延が解消されつつあり、加えて雇用関連にも求人増などの明るさが見られることから、総じて持ち直しの動きが鮮明になっている。


 こうした傾向は日本銀行が3カ月ごとに公表している地域経済報告(さくらレポート)からもうかがい知ることが可能で、特に甚大な被害を受けた東北地方が、今年4月時点との比較で景気情勢の改善度合いを強めていることは注目に価する。「震災により大幅に悪化したが、社会インフラや生産・営業用設備の復旧が進捗しており、地域差はあるものの、経済活動面の正常化に向けた動きが着実に広がっている」と、設備投資、個人消費、生産、さらに雇用・所得環境においても持ち直していることが明らかになった。復旧・復興へ向けて国民が一丸となって汗を流している成果が、早期再建につながっているのは間違いないだろう。


 しかし、すべてが順風満帆でもない。帝国データバンクの調査によると、震災発生100日目(6月17日時点)で184社の企業倒産が確認された。阪神淡路大震災の時(83社)の2.2倍だそうだ。そのうえ、今後の見通しについても「震災関連の倒産はさらに増える可能性が高い」と同社は指摘する。原発関連企業を筆頭に、破綻が表面化していない“予備軍”が倒産件数をかさ上げするとの予想だ。いまだ放射能漏れ事故の収束にはメドが立っていないだけに、安易な楽観は戒める必要がありそうだ。


 このように一進一退といった経済情勢の中、2011年後半の住宅市場はどうなるのだろうか。長期化しそうな電力不足に顕在化した液状化問題、さらには切迫性を高める首都直下地震などによる地震リスクの高まりなど、マンション商戦を阻害する要因は尽きることがない。はたして、マンション不況の再来が現実のものとなるのか?―― 業界関係者ならずとも気になるところだ。そこで、筆者なりに今後の動きを予想してみた。本コラムでは「住宅ローン金利」「住宅税制」「販売価格」、そして「新規供給数」の4つの視点で年後半の市場動向を独自分析してみることにする。


■低位安定するローン金利 フラット35S継続は引き続き住宅市場にプラス効果


 7月10日付け日本経済新聞の朝刊1面に興味深い記事が掲載されていた。「国土交通省がフラット35の金利優遇措置を2012年度以降も継続する方針を打ち出した」というのだ。現在、一定の高耐久住宅を取得した場合にフラット35の借入金利を当初10年間、1.0%引き下げる優良住宅取得支援制度(フラット35S)が実施されている。この1.0%優遇は今年12月末までの時限措置となっており、以後、2012年1月~3月末までは0.3%優遇が適用される。継続措置をとらないと、4月以降は0.3%の優遇もなくなる。そこで、住宅投資を下振れさせないよう制度延長の方針を打ち立てたというのだ。確かに、1.0%優遇の威力は絶大だ。


 図表1は、フラット35(フラット35Sを含む)の買い取り申請戸数の推移だが、2010年2月に1.0%優遇の取り扱いを始めて以降、急激な伸びを示している。2010年度の第1四半期(2010年4月~6月)には申し込みが前年同期比2.7倍の3万7043戸まで拡大し、第2四半期・第3四半期も“倍々ゲーム”の勢いが続いた。ほぼすべてがフラット35Sの申請者だ。同じ1%でも数千万円に対する1%となれば、その金額(優遇額)はかなりなものになる。少しでも有利な条件で借りたいと考えるのは誰しも同じ。優遇措置が再延長されることは、売り手側にとっても買い手側にとってもプラス材料となる。今のところ懸念された長期金利の上昇も、それほどは心配なさそうだ。引き続き住宅ローン金利は低位安定が継続されるだろう。その意味では今が「借り時」といって間違いない。


【図表1】フラット35 買い取り申請戸数の推移(単位:戸)
年度第1四半期
(4~6月)
第2四半期
(7~9月)
第3四半期
(10~12月)
第4四半期
(1~3月)
2010年度37,04345,69755,15636,995
2009年度13,53819,23922,56225,970
2008年度10,35310,12910,95410,336
2007年度16,75612,38915,0268,824
2006年度17,43115,64915,03211,297
2005年度13,89019,64314,18811,852
2004年度1,4891,1803,31811,186

(出所)住宅金融支援機構


 次に、住宅税制に関しては贈与税の非課税制度のゆくえが気にかかる。現在、父母や祖父母などの直系尊属から住宅資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たすと1000万円までが非課税となるが、租税特別措置法の一部改正による時限措置である関係上、今年いっぱいで終了となる。国税庁によると、昨年(2010年分)、住宅取得等資金の非課税を適用した申告人員は2万4000人いたそうで、2009年分と比較すると62.9%の増加となった。


 昨年は1500万円まで贈与税が非課税だったため、大幅な伸びを示すこととなった。予定通り今年いっぱいで終了してしまうと、その反動で住宅流通を停滞させる懸念がある。新たな非課税制度が創設される可能性は十分にあるが、厳しい財政事情のなか、過剰な期待は禁物だ。誰が次の総理大臣になるかによっても結果は異なってくるだろう。総じて住宅税制については“向かい風”に変わりつつある。


■マンション市場のセンチメントは底堅く、今秋には正常化するものと予想する


 そして、3番目として誰もが最も気になるのがマンション価格の動向だ。7月1日に発表された今年の路線価は3年連続でマイナスとなった。このデータには東日本大震災の影響は加味されていないため、今秋に公表される調整後のデータはさらに悪い結果が予想される。思い返せば3月に公表された公示地価も3年連続で下落しており、わが国の地価には強い下押し圧力が働いている。同様に、新築マンション価格も下落基調をたどることになるのか?


>>>次ページ マンション価格の先行きをどう読む?


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