マンション購入 トレンドウオッチ
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第157回 住宅ローン減税の適用条件 ここに注意!
今年もまた、この季節がやって来た。そう、確定申告(所得税)のシーズンだ。そもそも確定申告とは納税者が1年間の所得と税額を計算し、申告納税を行う手続きのことで、国税庁によると2010年分は約2315万人が所得税の確定申告をしている。この数字、およそ国民の5人に1人が申告している計算になり、この時期は税務署の職員にとって、忙しい日々が続くことになる。
確定申告には「納税申告」と「還付申告」があり、たとえば贈与税や消費税のように「納税」するための申告手続きが納税申告だ。他方、医療費控除や住宅ローン減税のように「還付請求」するための申告が還付申告となる。2010年分は約1267万人の人が還付申告しており、確定申告者(2315万人)のおよそ半分が“税金を取り戻す”ために確定申告していることになる。「日本の税金は高い」という意識の表れが還付申告に駆り立てているのだろう。マイホームを取得して2011年中に入居した人は、必ず還付申告するようにしたい。
ただ、還付申告の代表格である「住宅ローン減税」の恩恵を受けるには、すべての適用条件を満たさなければならない。1つでも条件から外れると、一切還付は受けられない。注意しなければならないのは、この適用条件には数々の“落とし穴”が潜んでいるということだ。理解が不十分だと、還付申告を受け付けてもらえなくなる。税制というルールである以上、一度、適用条件から外れると修正することは事実上、不可能となる。所得税は1銭も戻ってこないのだ。これでは目も当てられない。そこで、こうした失敗をしないためにも、本コラムでしっかりと適用条件を理解しておいてほしい。
住宅ローン減税の適用条件は8つ 条件次第で中古住宅も
それでは、ここから本題に入ることにしよう。住宅ローン減税を受けるための適用条件は以下の通りだ。
1. 償還期間10年以上の住宅ローンを組んで、自己が「所有」かつ「居住」するためのマイホームを取得すること
2. 取得した住宅の床面積は登記簿面積で50平方メートル以上あり、その2分の1以上がもっぱら自己の居住の用に供されること
3. 取得後6カ月以内に入居し、各年12月31日まで引き続き住んでいること
4. 控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下であること(サラリーマンなどの年収に換算すると約3336万円)
5. 配偶者(婚約者を含む)や同居の親族から購入した住宅でないこと
6. 給与所得者が使用者(会社)から使用人である地位に基づいて時価の2分の1未満の価格で譲り受けた住宅でないこと
7. 認定長期優良住宅の新築などに係る住宅ローン減税の特例を適用する場合は、認定長期優良住宅であると証明されたものであること
8. 中古住宅の場合は、次の(A)または(B)または(C)のいずれかに当てはまること
(A)マンションなどの耐火建築物では、取得日時点で築25年以内であること
(B)木造住宅などの非耐火建築物では、取得日時点で築20年以内であること
(C)「耐震基準に適合していることが証明された住宅」であれば、築年数は一切問わない。
ただし、2005年4月以降に取得した場合に限る。
共働き夫婦 妻が減税対象になる場合とならない場合が
「住宅ローン減税」というだけあって、住宅ローンを組んでマイホームを取得することが必須条件なのは理解に難しくない。ただ、共働き夫婦が収入合算して住宅ローンを組んだ場合、「住宅ローン減税の対象となるのはご主人だけ」なのはあまり知られていない。奥さんは減税対象に含まれないのだ。
収入合算とは単独で融資条件を満たせない場合や、あるいは、さらなる借り入れをしたい場合に夫婦や親子で互いの収入を合計する行為のことをいう。正社員として働く女性が増えたこともあり、配偶者間(婚約者も可能)で収入合算するケースは今では珍しくない。しかし、銀行から収入合算して住宅ローン(フラット35を除く)を借りた場合、合算者同士は「連帯保証」の関係になる。そのため、奥さんはご主人(債務者)の連帯保証人という位置付けで扱われてしまい、結果、住宅ローン減税の適用対象から外されてしまう。住宅ローンを借りているのはご主人だけ(奥さんは連帯保証人)と、銀行からは見られてしまうのだ。
一例で説明しよう。たとえば収入合算による借入総額が3000万円とする。ご主人の年収が600万円、奥さんの年収が300万円(収入合算して900万円)とした場合、ご主人の年収割合分(900万円のうちの600万円=3分の2)の2000万円(3000万円のうちの3分の2)しか住宅ローン減税の計算対象にはならない。奥さんの借入相当額1000万円分は完全に対象から外されてしまうのだ。繰り返しになるが、奥さんは連帯保証人として扱われるのが、その理由。しばしば「収入合算して住宅ローンを組むと、2人分の所得税が還付される」といった表現を目にするが、必ずしも正確な説明ではないことを知っておいてほしい。
なお、補足として住宅金融支援機構が取り扱う「フラット35」を収入合算して借りた場合には、こうした心配はなくなる。「連帯保証」ではなく「連帯債務」の関係として取り扱われるからだ。詳しい説明は省略するが、ここでは収入合算して銀行から直接借り入れした場合のみ、奥さんの借入相当分が減税対象外になると覚えておこう。秘策として、ご主人の単独名義で2000万円、奥さんの単独名義で1000万円を借り入れすれば、ご主人も奥さんもそろって減税の恩恵を受けられるようになる。併せて覚えておくと役に立つはずだ。
専有面積 かろうじて50平方メートルを超えているような場合はご用心
次に、50平方メートル以上という住宅の床面積にも注意したい。マンションの専有面積には「パンフレット面積」と「登記簿面積」があるが、たとえパンフレットや図面集に「専有面積51.23平方メートル」と記載されていても、登記簿面積がたとえば49.87平方メートルだと、所得税還付は一切受けられない。登記簿面積はパンフレット面積より必ず“小さくなる”ため、広告に掲載されている専有面積がたとえ50平方メートル以上でも、登記簿上では50平方メートル未満になることがあり得るのだ。パンフレットなどに記載された専有面積がかろうじて50平方メートルを超えているような場合には用心する必要があるだろう。
| パンフレット面積 | マンションなどの耐火建造物はコンクリートで覆われており、そのコンクリートには一定の厚みがある。床面積を計測する際に、そのコンクリートの厚みの「中心」を基準に測定した面積のこと。広告、パンフレット、図面集いずれもこの面積が記載される。 |
|---|---|
| 登記簿面積 | マンションの内壁を計測して算出した床面積。不動産登記簿に記載される面積のため、登記簿面積と呼ばれる。登記簿面積はパンフレット面積より必ず小さくなる。 |
購入後に転勤した場合 「家族全員」か「単身赴任」かで大違い
3番目として、「取得後6カ月以内に入居し、各年12月31日まで引き続き住んでいること」という条件にも、特に転勤族の人は注意が必要だ。分かりやすいようモデルケースで説明しよう。
| <モデルケース> 私(夫)と専業主婦の妻、子供の3人家族です。おととし、新築マンションを購入し、昨年(2011年)の3月末に引き渡しを受けました。そして、すぐに家族全員で引っ越し、新居での生活を始めました。ところが、昨年6月に会社から突然の転勤命令が出され、その年の12月31日まで引き続き住んでいられなくなりました。この場合、住宅ローン減税はどうなるでしょうか? |
|---|
「マイホームを手に入れた途端に、転勤命令が出た」―― 転勤族のサラリーマンにとっては決して笑いごとで済まされない話だろう。そのせいか、住宅ローン減税にも救済策が用意されており、転勤の仕方によっては一定の条件緩和が認められている。
モデルケースの場合、家族全員で転勤先へ引っ越してしまい、12月31日に誰も住んでいないと住宅ローン減税は受けられない。住宅ローン減税は「本人が住んでいる」ことが基本中の基本となるため、この基本条件を満たさなければ適用外となってしまう。しかし、ご主人だけが単身赴任(国内転勤)し、年末に奥さんとお子さんが住んでいれば、確定申告することで通常通りに所得税還付が受けられる。転勤期間中もご主人本人が住んでいるものとみなしてくれるのだ。単身赴任については例外として、適用外にしないことになっている。転勤族に配慮した救済策といえるだろう。
ただ、単身赴任は単身赴任でも転勤先が海外となると話は異なってくる。海外転勤中は税法上、「非居住者」となるため、たとえ家族が年末に新居に住んでいても住宅ローン減税は受けられない。単身赴任先が「国内」か「国外」かで適用の可否が二分されるのだ。グローバル企業にお勤めの人は気をつけるようにしたい。
なお、転勤が解除されて自宅に戻ってきた場合、残存期間があれば住宅ローン減税の適用を受けることができる(ただし要、確定申告)。国内転勤だろうが海外転勤だろうが条件は同じだ。還付がストップするのは転勤期間中だけなのだ。2002年度までは転勤終了後の再適用は一切認められなかったが、以後、税制改正のたびに条件が緩和されていった。納税者の便益をはかった結果といえる。税務署では電話による無料相談も受け付けているので、自分が適用対象かどうか心配な人は前もって確認しておくと安心だ。
■確定申告に関する電話相談(国税庁)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/sodan/denwa_soudan/index.htm
◇
[関連記事] 徹底解明! 住宅ローン減税の仕組み 基礎の基礎
[2012/1/25]
住宅コンサルタント 平賀 功一

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