住宅サーチ
Yahoo!不動産

今、注目の新築マンション

2017年のマンション市場の行方は?

まず国内の景況感を確認してみましょう。ドル円相場では、米大統領選挙後のほぼ一貫した円安は2016年11月初旬の1ドル105円前後から、年末には117円前後と10%以上の円安となりました。加えて株式市場では、大統領選挙期間中は1万6000~7000円前後だった日経平均株価が、1万9000円台へと上昇しています。

内閣府による月例経済報告(2016年12月)では、「一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。個人消費、輸出は持ち直しの動きがみられる」とし、景気認識の基調判断を1年9カ月ぶりに上方修正しました。

首都圏分譲マンションマーケットの現状

そうした景況を踏まえながら、改めて首都圏における新築分譲マンションの2014年からの状況推移をみると、いくつかの特徴が分かります。一つは契約率が14年では70~80%程度だったものが16年には60~70%と一段落ちていること。そのためマンション在庫が徐々に増加しています。新規供給戸数も14年に比べると、16年では月ベースで1000戸程度減少しています。分譲マンション市場全体でみると、首都圏では供給超過による在庫の増加、あるいは契約率の低下による需要の減少という見方ができますが、実際はどのような状況なのでしょうか。

供給者側の事情と需要者の選好性、各種施策など、首都圏の中でも注目されるのは東京23区であり、湾岸エリア(江東区、江戸川区)や都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)は特に多くの大規模タワーマンションが開発されているエリアといえます。最近では都心のタワーマンションが人気を得ていることもあり、都心部でのマンション開発は大規模化する傾向があります。

一方で、大規模マンションの開発は敷地も広大になるため、山手線沿線といった既成市街地における開発は限定されざるを得ません。マンション事業者としてはできるだけ開発コストを抑えることが販売しやすくなる要因であるだけに、無理な用地取得はリスクも高まります。

分譲マンションの場合は、やはり利便性などの立地が重視され、都心部でも駅に近いまとまった土地が必要とされます。しかし、このような好立地にある大規模地は分譲マンションだけでなく、多くの用途に利用できることから土地価格が高騰している状況にもあります。近年では外国人観光客の爆発的な増加によるホテル不足などが顕在化し、ホテル開発業者とも競合しています。その結果、東京都の平成28年地価公示価格では、都心3区(千代田区、中央区、港区)の住宅地が大幅に上昇しました。

では、なぜ需要者(購入者)は利便性の高い都心部を選好するのでしょうか。これは様々な説がありますが、一つは「職住近接型」を指向するファミリー層(共働き世帯)が増えたことがあります。次に、投資あるいは資産保有手段としての需要です。相続税対策や投資需要の場合、売却時にはできるだけ価格の下落を抑えることが必要となります。そのため好立地であることや、タワーマンションの高層階などが好まれます。

このような供給者側、需要者側それぞれの事情が様々な形で影響されながら分譲マンション市場は形成されていますが、分譲マンションの開発は必ずしも追い風とまではいえない状況にもあります。2017年度税制改正では、節税効果を薄める対策として、タワーマンションの固定資産税額を低層階と高層階で傾斜配分する手法を、18年1月から実施することになりました。また、国土交通省は観光客の増加に対応するため、高度利用を図る地区を中心に、ホテル等の宿泊施設を建設する場合などは容積率を緩和するという対策も打ち出しています。

このように、今後の節税需要の減少やホテル開発等の競合の出現は、これまでとまた異なる市場になる可能性も秘めています。今後の新築分譲マンションの動向を注視する必要がありそうです。

分譲マンション購入者の買い替え、今は売り時か?

現在の分譲マンションの購入層は、かつてのような初めてマイホームを取得する層だけではなく、すでにマイホームを保有している人々が「買い換え」によってマンションを購入するケースも増えてきています。たとえば20~30年前に郊外のマンションあるいは一戸建てを購入したけれど、都心部に魅力的な分譲マンションが供給され始めたことでより便利な都心部に住み替える、というパターンです。

ここで影響してくるのは「買い換え」です。現在のマイホーム(マンションや一戸建て)をできるだけ高く売却することも重要なポイントになるということです。買い換えを伴うマンション取得では、欲しいマンションは見つかっても、現在のマイホームが売れないか、かなり安く売らざるを得ないなどの事態はできるだけ避けたいもの。景気が良くなる状況ということは、中古住宅市場の売買も増えることを意味します。買い換えを前提として検討している人たちの場合は、現在はマイホームの売り時であるといえるでしょう。

これまで見てきたように、2017年のマンション市場は一つの方向だけに向かって進むという単純なものではなさそうです。もっとも、「住まい」は景気や市況だけで購入や売却を決められるものでもありません。私たち一人ひとりのライフサイクルやその暮らし方などによっても決断を迫られる時期や、物件に求められる要素は変わってくることでしょう。自分にとっていま何が重要で、何を必要としているのか、まずはそれらをしっかりと認識した上で、賢い選択をするよう心がけたいものです。

コラム執筆者:
一般財団法人 日本不動産研究所 幸田 仁さん

1995年一般財団法人 日本不動産研究所に入所

不動産鑑定・評価、調査研究業務で培った豊富な実績から 不動産コンサルティング・アナリストとして活躍中。

TOPへ