TOPLiving Styleクリエーターたちの挑戦

クリエーターたちの挑戦
Suzuki Toshihiko
鈴木 敏彦さん(建築家)空間に機能を与える道具 “モバイル・アーキテクチャー”
宗敏という茶名を持つ建築家、鈴木敏彦さん。都市計画から住宅設計、家具・照明器具・パッケージなどのプロダクトまで、幅広いジャンルのデザインを手掛けてきた。ここ数年は建築の持続可能性(サステナビリティー)を目指して、移動が可能な新しい空間の要素を模索しているという。名付けて「モバイル・アーキテクチャー」。建築でもなく家具でもない、空間を規定する第3のオブジェクト(もの)だ。
 
問「モバイル・アーキテクチャーとはどういうものですか」
 一言でいうと、空間を機能させるための“動く道具”です。

 建築は動かないもの、変わらないもので、不動不変であることに価値があります。しかし、建築の使い道は変わります。その使い道を規定する道具の代表が家具です。たとえば、ある部屋にテーブルが置かれることで、そこが食堂になったり会議室になったりしますね。建築空間の機能は、ほとんど道具によって決まるのです。

 しかし、家具は動かせますが、動かすことを前提につくられてはいません。せいぜい折りたたんで収納するとか、椅子(いす)を移動させる程度です。空間の機能にはあまり影響を与えません。

 これに対して、モバイル・アーキテクチャーは動くことが前提です。動かして空間の機能を変えることを意図しています。動かない建築を動くことによって変化させるもの、それがモバイル・アーキテクチャーです。
mobile HANJO mobile HANJO
mobile HANJO 2004年 写真/Sadamu SAITO
キャスター付きのローテーブルの一部を引き出すと畳が現れる。テーブルであり収納であり、座る場にも変化する

 モバイル・アーキテクチャーは、椅子のような“使う”機能だけでなく、間仕切りのように空間そのものに働きかける機能を兼ね備えています。建築と家具の中間ともいえます。

 そのため、大きさの点でも、建築より小さく家具よりは大きい。建築と家具の中間的なスケール(大きさ)に位置付けられるのです。

works of ALFACTO works of ALFACTO
works of ALFACTO/a wall 2000年 
家具と壁を兼ね、表裏で機能の異なる空間をつくる道具

おすすめ情報(PR)