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クリエーターたちの挑戦
Okano Eiko
岡野栄子さん(キルト作家、キルト工房「バスケット」)
布の質感でしか描けないものをつくるの
問「キルトがほかの手芸やアートと異なるのはどんなところでしょう」
 オーソドックスなキルトとの一番の違いは、布を裁ちっぱなしにして、ただのせてぶつぶつ縫っているところね。裁った布端も、針目も表に見せてしまう。型紙はつくりません。というより、つくれないのよ。絵を描くのと一緒なの。この手法を見つけたことが私の転機になりました。

 今つくっている作品は、ひとまとめに「おもしろキルト」と呼んでいます。中にいくつかテーマがあって、1つは、おいしいものをテーマにした「おいしいキルト」。ほか、ボタンを使ったキルトやうちかけの形をしたタペストリーのシリーズもあります。今一番力を入れているのは、キルトに文章を組み合わせた「キルトエッセイ」という仕事。ただ、教室で生徒さんに指導するときは、トラディショナルなキルトもつくるのよ。
おいしいキルト「カクテル・アラ・フルーツ」
30×30 2000年
おいしいキルト「ピクルスなど」
190×220 2001年
問「1つひとつの作品は、どんなふうに生まれるのですか」
 布地との出会いからイメージが生まれることもあるし、頭の中にあるイメージに合わせて素材を選ぶこともあります。けれども、素材を探して布地屋を回ったりはしません。街を歩けばアンテナにかかるものがあるから、それを買ってくるだけなの。あらかじめ図案を描くこともないですね。布に直接はさみをいれて、考えることとつくることが同時。何をつくるかわからないままに手を動かしている。そのうちにふっと、ああ、これって「花びら」かもしれないなって。

 タイトルにはこだわります。ネーミングも、キャプションも含めて作品なの。それは完成後にやっと決まることもあるし、布を切った瞬間に決まることもある。それもなりゆきね。

おいしいキルト「おいしくてまるい」
190×190 1998年
おいしいキルト「サルサなど」
240×200 1998年
 
 1枚のキルトを完成させるには数カ月、1年以上かかることもあります。とにかくすごく時間がいるの。けれども、まとまった時間がとれる日は少ないから、私の時間もまるでパッチワーク。時間の部分ぶぶんを、少しずつ上手に組み合わせて使わないと作品はできません。

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