TOPLiving Styleクリエーターたちの挑戦

クリエーターたちの挑戦
Kikutake Yuki
菊竹雪さん(グラフィックデザイナー)
工事現場の「仮囲いグラフィック」で環境を変える
lead
問「工事現場の仮囲いを表現の場として選んだのは」
 20代は、グラフィックデザイナーとして広告の仕事に携わってきましたが、大学では建築の勉強をしていたんです。いつか、なんらかの形でグラフィックと建築を結びつける仕事がしたいと思っていました。建築の側からグラフィックを考える建築家はいるけれど、グラフィックから建築へアプローチするデザイナーはいない。グラフィックデザイナーとして建築にかかわっていく方法はないかと、ずっと模索してきたんです。

 仮囲いに着目したきっかけは、1986年にパリで見た、凱旋門修復工事の囲いです。パリのシンボルである凱旋門を、フランス国旗をイメージさせる三色の幕で覆い、全く新しい景観をつくり出していた。強い衝撃を受けました。デザインと建築、デザインと環境の、こんなかかわり方があったのかと。

 工事現場は、騒音やトラックの出入りなど、決して美しい場所とはいえません。そこに囲う壁をデザインすることで、工事期間中の環境をよりよいものにしたい。そんな願いで取り組んでいます。
講談社新社屋工事現場 1997年 模型制作/神吉善也 模型写真/森岡純
問「仮囲いのデザインに求められることはなんでしょう」
 街を演出するグラフィックといっても、仮囲いは、駅に張ってあるポスターなどとは違います。広告は1、2週間で張り替えますが、仮囲いは最低でも半年、長いときは2、3年そこに置かれ続けるものです。その間、人を飽きさせず、なおかつ環境を損なわないものでなくてはならない。同時に、工事という経済活動の一環として、いかに少ない費用で大きな効果を挙げるかということも、とても重要な課題です。
島根県立美術館工事現場 1997年

おすすめ情報(PR)