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クリエーターたちの挑戦
Koizumi Makoto
小泉 誠さん(デザイナー)
つくり手から使い手へ、直接手渡す場をつくる
lead
問「なぜ、お店を開こうと考えたのですか」
 今のものづくりは、デザインする人、制作する人、使う人が全部切り離されていて、接点を持たないという現実をかかえています。それは、とても不幸なことではないでしょうか。心をこめてつくったものを、愛着を持って大切に使ってくれる人に手渡したい。そのためのコミュニケーションの場が必要だと感じていました。

 同時にそこには、量産的なものづくりとは相反する側面があるので、大資本に頼らず、自分でリスクを負ってつくっていくしかありません。だから、「こいずみ道具店」はメーカーでもある。「デザインして」「つくって」「売る」、すべて一体です。もちろん、ここでは自分たちでつくったものを実際に使ってもいます。
「koban」テーブルの端材を使ってつくった子供用のイス。ずり落ちないように付けた小さな背もたれは、持ち運ぶときの指掛かりにもちょうどいい。 「GARI」寿司屋のカウンター用のイス。前後どちらからも使えるようになっている(写真:篠原裕幸)
問「都心から離れた場所を選んだ理由は」
 東京には強いエネルギーが渦巻いていて、その中にいると流されがちだし、追い立てられるような気分になってしまいます。しかし、ここからなら、パリやミラノの状況を見聞きするのと同じような距離感で、客観的に東京を眺めることができる。自分を見失わずにいられる距離なんです。

 都心の店ならば1日1000人訪れて、100人が買っていくかもしれないけれど、そこにどれだけ本当のコミュニケーションが存在するでしょうか。この店は、僕たちのものづくりを伝える場です。訪ねてくる人には、少し不便をかけるけれども、それだけの気持ちを持って来てくださることに意義を感じます。
「曲がり膳」軽量でありながら、強い表情を備えた杉材の膳。カーブの向きと組み合わせで、向かい合ったり並んだり、さまざまな関係がつくれる。膳の側面にあるへこみは持ち手であり、共有の板を渡すつなぎ目でもある(写真:篠原裕幸)

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