TOPLiving Styleクリエーターたちの挑戦

クリエーターたちの挑戦
Nami Kozu
高津 奈巳さん(画家)
空間に、光と色彩の窓を開くアート
lead
問「さまざまな職歴を経ていますが、本格的に画家として活動を始めたのはいつですか」
 私の両親はともに絵描きで、アトリエの中で育ったようなもの。私にとって絵を描くことは、とても自然な行為でした。学生時代はもちろん、テニスプレーヤーとして欧米を回っていたころも、サーキット費用の足しにするために、スケッチを描いて売ったこともあるんですよ。

 ただ、ずっと追求し続けているテーマ、「光景」──私は「Lightscape(ライトスケープ)」と呼んでいます──の原点は、6年間暮らしたアメリカ、とくにサンディエゴにあると思います。その海の長い水平線、独特の光と色彩が、私の中に深く染み込んでいるのです。
「サンディエゴの陽」63×45センチ
「Color Field2」44×62センチ(上)
「Color Field3」35×44センチ(下)
問「創作にとりかかるときは、特定の風景をイメージしているのでしょうか」
 制作は、軽井沢や河口湖で行うこともありますし、今年は北海道でスケッチをしてきました。けれども、本画とスケッチはまったくの別物。スケッチをもとに描いても、絵の世界は広がりません。

 光を表現するために、本画では独自の技法を用いています。フランスでつくられるアルシュ(洋紙)という厚みのある紙を、アクリル絵の具とたっぷりの水を使って、染めるように描く方法です。

 繰り返し色を乗せながら、水を求めて広がる絵の具の流れに心を寄り添わせているうちに、情景が立ち上がってきます。そこに、場合によっては山のりょう線や樹木のシルエット、舟や人物などの点景を描き足す。このことで、見る人が気持ちを投影するよりどころができます。
「大地と時間」75×114センチ
 油彩やキャンバスも使ってみましたが、私に一番共鳴するのは、この紙と水という材料。後付けの理屈だけれど、それはやはり、日本人だからじゃないかしら。私たちの遺伝子のなかには、障子やふすまといった木と紙の文化が染み込んでいるのだと思います。だから、こうした素材に接していると、心安らぐ思いがするのでしょう。

おすすめ情報(PR)