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クリエーターたちの挑戦
Shoichiro Higuchi
樋口正一郎さん(美術家・都市景観研究家)
都市空間とアートの未来を模索する
lead
問「アーティストとして、“都市”にこだわり続ける理由は」
 私は、彫刻を学ぶことから、美術家としての活動を開始しました。彫刻は絵画と異なり、野外に展示されることが多い。私的な屋内空間ではなく、まちのただなかに置かれるわけです。その作品は公共性と無縁ではいられません。自分自身の創作のためにも、都市とはいかにあるべきか、建築物や自然と作品をいかに調和させるべきか、模索が必要でした。

 そのために、アメリカを皮切りに海外をまわり、各地の都市景観やパブリックアートを見てきました。同時に、雑誌の取材などを通して、数多くの偉大なアーティストやディーラー、コーディネーターの知己を得、教えを乞う機会に恵まれたのです。
問「そのなかから生まれた考えを、実作を例に説明していただけますか」
 都市に設置されるアートは、そこを行き交うさまざまな人と出会います。単に見るだけでなく、人とふれあう機能を備えたものでありたい。
シーリアお台場「ねじりはじまき」全景(1996年)
 この「ねじりはじまき」は、東京・お台場にある公団住宅のパブリックスペースに設置されています。大人の目を楽しませると同時に、子供たちの遊び場となるもの、彫刻であって遊具でもある作品を目指しました。チューブをメビウスの輪のようにからませたものを、鮮やかな赤と黄の色違いでつくり、敷地内2カ所に配置しています。

 チューブ内部は空洞で、そこにいくつもの穴が空いています。チューブ同士もつながれているので、中にもぐって、グルグルといろいろなところに移動できるのです。穴を通して見る世界は、日常目にしている風景とは異なって感じ取れるでしょう。その経験が、子供たちの感性を刺激してくれることを願っています。
赤いチューブの上で遊ぶ子供たち チューブは、浴槽などに用いられるFRPという素材でできている

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