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クリエーターたちの挑戦 吉岡 徳仁さん(インテリア・プロダクトデザイナー)モノの“内面”から変革するデザイン
問「素材そのものからデザインするようになったのは、いつごろからですか」
 それは、デザインの仕事を始めた当初から考え続けてきたことです。ただ、かつてはおもしろい素材を発見したら、すぐにでも使いたいと思いましたが、最近は慎重に考えるようになりました。今は、安易なものづくりは許されない時代だと思います。デザイナーとしてつくる意義を見いだせないものは、つくりたくてもつくるべきでないのでは。

 この素材(写真下)は、木材にアクリルの粒を混ぜ込むという、従来は不可能と考えられていたことを可能にしたものです。アイデア自体は10年前からあたためていました。
「CRYSTAL FOREST」素材のディテール
 それが、今回、三宅一生さんの企画「PROJECT1-KURAMATA SHIRO」で、インテリアデザイナーの先達である、倉俣史朗さんへの思いを込めた作品をつくる機会を与えられ、実現にこぎつけたのです。

 倉俣さんの代表作に、「スターピース」という、カラーガラスの破片を混ぜ込んだ人造大理石があります。そのイメージが、僕が夢想していた新素材のイメージに重なりました。石のスターピースに対する、「木のスターピース」。

 この素材に、倉俣さんの象徴的な初期作品「硝子の椅子(いす)」を想起させるかたちを与え、完成したのが「CRYSTAL FOREST」です。木のスターピースと私自身の思いを、倉俣さんの作品に重ねることで、新しい意味を生み出せたのではないかと思っています。
「CRYSTAL FOREST」
 いいデザインを生み出すために、ない素材はつくるしかありません。形だけがざん新でも、本当にざん新なものにはならない。人間だってそうではないでしょうか。いくら奇抜な格好をしても、その人の内面からにじみ出るものが平凡なら、平凡な印象しか与えない。同様に、モノの内面、素材から変えなければ、既存の価値を超えるものはつくれないと思います。
「Metamorphose──プジョーのための空間デザイン」
LEDネットを用いたインスタレーション。波打つような装置の上を電飾の文字やグラフィックが流れていく。クーペからカブリオレへと変化(metamorphose)する新作モデルになぞらえ、光によって風を表現した。(2004年2月25日、青山スパイラル・ガーデン)

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