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クリエーターたちの挑戦
Mari Noguchi
野口 真里さん(ガラスアーティスト)
空間に、ガラスでアートを描き出す
lead
問「なぜ、建築やインテリアにかかわるガラスアートを志したのですか」
 学生時代は染織を学んでいたのですが、偶然、ガラス加工を手掛ける機会を得て、以来、その魅力にとりつかれてしまいました。ガラスは、とても不思議な素材です。硬く、しっかりと存在していながら、景色や光を透過する。これを立体的に使えば、空気の上に絵を描くことができると思ったんですね。ガラスなら、「空間」にものを表現できると。

 その表現には、小さな工芸品的なものより、建築やインテリアを舞台とした大きな作品がふさわしい。さまざまな人の行き交う場所に、ガラスアートを通じてかかわり合いたいと願ったわけです。
左/「風祭り」京王プラザホテル チャペル「Glass Shell」
右/同・部分
 ガラスはまた、私自身が目指すテーマに合致する素材でもありました。風や水、空気のゆらぎのような、透明で抽象的な世界。例えば、上の写真はホテルのチャペルですが、空間全体を40枚のガラスパネルで包み、柔らかな風の流れを描いています。結婚の場らしく、両側から流れ込んだ二つの心が、中央で一つに結び合うイメージ。ガラス自体には着色せず、後ろに垂らしたグラデーションのスクリーンと照明の変化で、色と光を演出します。

 この中に立つと、自分の姿がガラスの壁にうっすらと映り込み、ガラスのレリーフやその奥の色彩と重なる、夢幻的な世界が立ち現れます。この「映る」という効果も、ガラスならではの面白さ。そこにある空間や事物まで、表現の中に取り込んでしまえるのです。
左/「風の記譜」 右/同・部分
エッチングを施したフロートガラスを接着剤で張り合わせた、積層のレリーフ。ガラスの重なりが立体的なうねりをつくり、光の透過やエッチングのモチーフと響き合って変化を生み出す
「春の予感」積層ガラスのオブジェ。池の水をそのまますくい出したかのような、人工の水盤

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