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クリエーターたちの挑戦
Mochizuki Kikuma
望月菊磨さん(彫刻家)
「素材」「技術」を下地に、創造のあり方を考える
lead
問「連作のテーマは、制作年ごとに移り変わってきているのでしょうか」
 ひとつのテーマから新しいテーマが生まれ、枝分かれしてゆくような感じですね。移り変わるテーマもあれば、そのまま並行して続けているものもあります。

 出発点となったのは、「破壊」というシリーズでした。創造の意味を突き詰めれば、破壊に行き着く。ものをつくることは、材料を切り、たたき、溶かし、削り、穴を開けるといった、さまざまな技術の組み合わせです。その一つ一つを取り出せば、破壊行為にほかなりません。ならば、ひとつの素材に、ひとつの技術を加えることで、純粋な創造が可能になるのではないでしょうか。
破壊シリーズ「BRASS RIPPING」真ちゅう、鉄 高さ1580ミリ
 同時にこれは、「素材」「技術」「意思」という創造の3要素から、「意思」を取り除く試みでもありました。創造において、最も重要なつくり手の「意思」は、実は最もあいまいで、客観性に乏しいものです。そのあいまいさを排除し、プレーンな「素材」、単一の「技術」という、だれの目にも明らかな2つの要素による創造を目指したのです。

 このテーマは10年にわたるプログラムとなりました。続けるほどに、自分の内側からわき起こる、さまざまな「意思」を置き去りにしていかなくてはなりません。そこで次に、その捨て去ったものを拾い集める作業にとりかかろうと考えました。それが、「喚起装置」のシリーズにつながっていったのです。
「喚起装置」 霞が関ビルエントランスホール 真ちゅう 高さ1720×幅1640×奥行き920ミリ
 人間の生きる実感は、理論や理屈からではなく、感情の動きから得られるものです。そして、アートには人の心を揺り動かし、感情のうねりを喚起する力がある。「喚起装置」とは、単なるシリーズ名にとどまらず、アートそのものの本質を示すタイトルでもあります。私のつくるものすべてが、人の心を喚起する装置でありたいという願いを込めています。

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