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クリエーターたちの挑戦
Ogura Hiromi
小倉 ひろみさん(プロダクト・カラープランナー)
消費者の心をつかむ色と質感の実現に携わる
lead
問「なぜ、プロダクトデザインのうち、特に色を専門にしようと考えたのですか」
 きっかけとなったのは、プロダクトデザイナーとして電話機のデザインにかかわったことでした。ちょうど、電電公社が民営化されてNTTになった時。電電公社が貸し出していた電話機を、各メーカーが自由につくって販売できるようになったのです。

 それまで黒か白しかなかった電話機に、新しいカラーバリエーションを与える。デザイナーとして張り切ってスケッチを起こし、試作品をつくったところまではよかったのですが、自分の手を離れてから問題が起こりました。工場にとっては初めての「色付き」電話機の製造だったので、どうやって色を出せばいいかわからず、なかなかイメージ通りの色にならなかったのです。

 工業製品の色の表現は、材料や製造方法と切り離すことができません。たとえば電話機のようなプラスチック製品の発色は、樹脂に混ぜる顔料はもちろん、成型用の金型の状態や、どのぐらいの温度で、どのぐらい時間をかけて成型するか、そのすべての工程に左右されてしまうのです。頭の中で考えた色を実際の製品に再現することがいかに難しいか、身に染みて感じました。
和のテイストを表現した携帯電話、NEC「N900i」。中でもオレンジの発色は、透明感のある塗料を使用したため、塗膜の厚みによる色の濃さの調整に苦労したという、担当したデザイナーのこだわりの色

 プロダクトデザイナーの仕事は、形をつくることの比重が高く、色にかかわっている余裕はあまりありません。多くのデザイナーは、色彩よりフォルムに関心を抱いているものです。しかし、私は色をつくるプロセスに強く惹かれました。そこで、プロダクトデザイナーの色づくりを手伝うコンサルティングの仕事を志したわけです。

 社内デザイナーの職を辞して単身イタリアに渡ったのは、ちょうど日本がバブル景気を迎えた時でした。イタリアのデザイン事務所にも、日本企業の仕事がたくさん舞い込み始めていました。日本人スタッフがいれば重宝ということもあったでしょう。運良く、カラーリングを専門とするデザイン事務所に受け入れてもらえました。現在の私の仕事は、その事務所で学んだことをベースにしています。

韓国のメーカー、LG電子が日本市場向けに発売した掃除機のための色彩提案。一人暮らしの若い女性に向けたピンクとブルーの案が採用された

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