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クリエーターたちの挑戦
Miyata Rieko
宮田里枝子さん(デザイナー)素材との対話から生まれる「誰も見たことがないもの」
 
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問「学校では空間デザインを学んだのに、仕事はプロダクトデザインからスタートしているんですね」
 実は、最初はファッションデザイナーを目指していました。ずっと自分の洋服を作ってきて、将来はフランスで学ぼうと仏文科を卒業したぐらい。けれど、デザイン学校に進む段階で、空間デザインというジャンルに魅力を感じたんです。体を直接包む衣服より少し外側というだけで、デザインの発想に違いはないと思えました。

 ただ、空間設計や家具製作の具体的な技術を学んだわけではない。インテリアにしても家具にしても、自分がどうやって設計や製作に参加するか、その方法から模索しなければなりませんでした。そんな時に出合ったデザインコンペの課題が、「ビジネスバッグ」だったんです。
SMILE! ©宮田里枝子・緒方壽人 ものを包む柔らかな内皮を、適度に固い外皮で包む、二重構造のバッグ。2つの素材をつなぐワイヤーが笑顔をつくる。
 バッグなら、作り慣れた衣服と同じように、自分の手で素材を加工しながら試行錯誤できます。素材と向き合い、模索する中から形が生まれる。これが、私の発想の基本です。先に「こういうものをつくろう」と考えてから、そこに向かって進むのではなく、まず素材ありき。素材との対話から、何ができるかを探るのです。

 たとえばこのトレイは、家具の廃材でできています。製造工程で生じる不良品を再利用し、新しい商品をつくりたいという依頼でデザインしました。
Scrap Wood Frame Project 2004 飛騨産業株式会社
 本来はソファのアームなどに使う部材で、分厚いムク材を曲げる工程で割れたり傷が付いたりしたもの。当然、傷の位置は全部違います。一つ一つ違う材料を、同じ方法で加工し、同じ商品にするにはどうすればいいか。その法則を見つけ出す作業でした。

 そこで思い付いたのは、ムク材から傷の付いた部分を切り取り、厚みを4等分にスライスする方法です。こうすれば、まったく同じ形の材料が4つできます。それをつないでフレームをつくり、トレイやミラーに加工する。このメーカーが持っている優れたジョイント技術も生かすことができました。
廃材を製品化するプロセス

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