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クリエーターたちの挑戦
Araki Midori
アラキミドリさん(アーティスト/デザイナー)自らの表現の場を求めて「アート」と「デザイン」の境界を探る
グラフィックデザイン科なのに、卒業制作には立体作品をつくったというアラキミドリさん。表現手段が紙の上に限定されるのが嫌だったそうだ。「枠にはめられると、そこからはみ出そうとする性分」だと語る。雑誌編集者からスタートし、プロダクトデザイン、オブジェ制作、映像インスタレーションと、ジャンルの枠を超えて活動範囲を広げてきた。そのアラキさんは今、「アート」と「デザイン」の境界という大きな枠に向き合っている。
問「雑誌編集者からクリエーターに転身したきっかけは?」
 そもそも雑誌の仕事に就いたのも、「自分のページをつくりたい」という思いがあったからです。企画を立ててテーマを決め、商品を選んで組み合わせて背景を製作し、それを写真に撮ってページに仕立てる。ほとんどインスタレーションと変わらない作業をしていました。

 最初に入ったファッション雑誌でインテリアを担当し、次にインテリア専門誌に移り、最後は編集長として一冊丸ごと任せてもらいましたが、「つくりたい」という思いは雑誌の枠に収まりきらない。引き際を探っていた時期がインテリアブームに重なりました。その先駆けとなったインテリア・デザイン・イベント「happening」で、「何かつくってみませんか」という話をいただいたのをきっかけに、雑誌の仕事を離れたんです。
「Bottle Light」
 「happening」は、積もり積もった創作意欲を解放するまたとない機会でした。そこでまず、自分の「つくりたい」という思いをかき立てるものは何か、自分は何に刺激され、影響を受けてきたのか、その起源にさかのぼることにしました。

 デザインを学び、雑誌の仕事をしてきたけれど、その一方で、ずっと私の心をとらえて離さなかったのはアートです。中でも一番強く影響を受けたのが、マルセル・デュシャンでした。

 デュシャンのアートはコンセプトそのもの。ありふれたものでも、置き方ひとつ変えれば新しい意味が生まれる。それを人がどう受けとめるのかが知りたかった。だから、自分の心にかかったものを材料に、その環境や文脈を変換する作業をしていったんです。

 まず取り上げたのは洗剤のボトルでした。プロダクトデザインの原型といえるアイテムだと思うし、それより何より、単純に、その形にとてもひかれたから。ラベルが付いているだけで、人には「洗剤のボトル」としか見えないけれど、その形をただの日用品からインテリアエレメントに変換したら、どんなふうに感じられるだろう。それを確認したくてつくったのが、ボトル形の照明「Bottle Light」です。
「Polar Bear」
 同時に制作した「Polar Bear」は、公園の遊具を室内に持ち込む試みです。外に出掛けなくてもおうちの中に公園がある、というね。「インテリア」という枠があるからテーブルにしたものの、本当は木を植えたかったところです。

  「happening」はインテリアデザインのイベントですから、その枠組みの中で何をつくるかが問題です。私は、インテリアの枠からどのぐらい出られるか、出てもインテリアとして認められるかを探りたかった。もし「アート」という枠組みを与えられていたら、まったく違うものをつくったでしょうね。

 


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