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こだわりのデザイン住宅
Housing File 01「国立 the α」

フレックス・スペースと前庭テラスの提案
前庭テラスを趣味の陶芸ギャラリーとして利用
フレックス・スペースの通路に直接面する部分はガラスブロックで採光を図った。タイル張りの床仕上げのため、土足での使用が可能。

 集合住宅に住む人々の多くは、いずれは戸建て住宅に住みたいという願いを持っています。戸建て住宅の魅力は、家族構成や住み方のスタイルに応じて自由なプランや意匠を選べることにあります。一方、従来の集合住宅は、いわゆるn-LDKと片廊下に代表される画一的な設計が主流を占め、自分らしく住みたいという住み手のニーズとの間に大きな乖離(かいり)がありました。
海外のオープンガーデンを彷彿(ほうふつ)とさせる前庭テラス
くつろぎや語らいの場としてベンチを設置。それが2軒のテラスの仕切りにもなっている。2、3階への採光のための吹き抜けがある。

 このギャップを埋め、戸建て感覚で住みこなす都市型集合住宅の可能性を追求する、それが「国立the α」のプロジェクトテーマでした。そして「住まいに屋外の生活を取り入れる」がもう1つのテーマ。庭のある集合住宅がつくりたかったのです。

 「現地は国立駅から徒歩15分、やはり特徴がないと集客は難しい。さらに経営的にみて、長く住んでもらえる質の高いものをつくってほしい」。この発注者の要望を前提に、設計に当たっては「うち」と「そと」の接点となる空間の存在に着目し、「フレックス・スペース+前庭テラス」を持つ住戸プランを提案しました。
LDKに面する個室をリビングとして活用
可動間仕切りシステムの使い方がよく分かる。システムキッチンはオリジナルデザイン。収納はキッチン側、ダイニング側の双方から使えるようにした。
 フレックスは、「フレックス」「フレキシビリティー」に由来する造語ですが、この言葉には単なる柔軟性、自由度以上の思いを込めています。つまり、新感覚で住みこなすマンションライフの提案です。ベースプランに示すように、「うち」と「そと」の接点にフレックス・スペースを配置し、フロントヤードと呼ぶ前庭テラスを連続させることによって、多様な住まい方に応えるという発想です。
間取りが変えられる可動間仕切りシステム
鴨居レールに沿って動かすことにより自由に間仕切りを変更できる。間仕切り壁は、植物性オイルで仕上げた。レールの上はガラス張りとし、空間の広がりを表現した。
緑の光でエントランスを演出
外界の垢を落とし静かな気持ちになって、
建物に入ってほしいという願いを込めた。
壁には何も飾らず、光の演出を楽しむ
存在を意識させないベンチは、お茶の「待合」のような場をイメージした。


グラスファイバーグレーチングで透明感のあるデザインに
グレーチングは主に排水溝のふたなどに使われる。ここでは外装に使用。目隠しとして働きながら、採光も得られる。
 もちろん個室としても使えますが、フレックス・スペースは、前庭テラスに面して床まであるガラス折戸、タイル床の仕上げとしました。室内ではありますが、住み手の工夫によって限りなく屋外に近い感覚で使用できるスペースです。住み手の個性を発揮し、ホビー、クラフト、カルチャー教室、SOHOなど社会とのかかわりを実現する場として活用できます。

 一方の前庭テラスは、共有部分であり専有面積に含まれません。しかし、屋外の生活の場として、幼児の遊び場、接客スペース、アトリエ、ガーデニングテラスなど、住み手の自由な発想で自在に使える空間です。前庭テラスとフレックス・スペースが一体となり、集合住宅の宿命的である「片廊下―玄関―室内」という空間の単調性、閉鎖性を解消することによって、戸建て感覚で個性的な暮らしを実現できます。住む人が様々に工夫して活用してほしいと思います。

私たちは、このプロジェクトで、都市型集合住宅を閉鎖的な住戸ユニットの集合体から、「フレックス・スペース+前庭テラス」という社会との接点を持った「住宅」へと進化させました。「国立the α」の住み手1人ひとりの創意工夫によって、新しい形の都市型コミュニティーが形成されていく過程を見守っていきたいと考えています。
(郡裕美・スタジオ宙)  
「国立 the α」

建築データ  

  所在地: 東京都国分寺市
  発注者: 尾又産業
  竣工: 2001 年5月
  敷地: 913.48平方メートル
  建築面積: 571.83平方メートル
  延べ床面積: 1963.70平方メートル
  住戸数: 16戸
  専有面積: 56.2~94.2平方メートル
  構造・規模: 鉄筋コンクリート造、
一部鉄骨造、地上5階建て
  設計: スタジオ宙一級建築士事務所
  写真: 栗原宏光(一部 郡裕美)
       
連絡先 スタジオ宙(みゅう)
一級建築士事務所
  代表: 郡裕美(こおり・ゆみ)、遠藤敏也(えんどう・としや)
  住所: 〒180-0004
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-27-3-701
  TEL: 0422-20-5071
  FAX: 0422-20-5072
  e-mail: myu@studio-myu.com
    http://www.studio-myu.com/

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