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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 03  「ナチュラル・スラット」

スラット(羽根板)がつくりだす新感覚空間、内と外のボーダーレスな関係
「スラット」をめぐらせた、ユニークな白亜の外観
幅60センチメートル、厚さ25ミリメートルのスラット(羽根板)は新しい建築ボキャブラリー。内と外の新しい空間感覚を生み出す。

内からの光で、シャープに浮かび上がる夜景
45度の角度で視界が開け、光と影が建築を彩る。テラスはエキスパンドメタルを使用。

25ミリメートルの「スキン」が、生み出す新感覚
壁を感じさせない、ボーダーレスな感覚。スキンをイメージした「スラット」が、中庭、テラスとLDKの境界を消し去った。


テラスと中庭に挟まれた、明るい2階LDK   内と外、1階と2階をつなぐ中庭
リビングとダイニングは、ゾーンを変えて配置。それぞれの空間を明確にした。オープンなキッチンは、子供とコミュニケーションしながらの料理が可能。
 
中庭は、各部屋の採光、通風に寄与するのはもちろんのこと、1階子供室の気配が2階にも伝わる。シンボルツリーのヤマボウシ。

ヤマボウシの緑が映える浴室
中庭に面したサニタリースペース。2階のキッチンと合わせた配管で、ローコスト化を図った。

 雑木林が点在し、古き武蔵野の面影を今日に残す周辺環境。35坪の敷地は建ぺい率40%とはいえ、車庫を確保し、隣地境界線からの距離をとれば、有効な外部空間は残らない。建主の希望は、テラスと中庭のある家。限られた敷地と、魅力ある住まいづくりの条件をクリアするために採用したのが、「縦型スラット(羽根板)」を室内外の境界に用いた個性的な空間構成である。

  45度の角度を持たせた60枚の白いスラットが、9×9メートルの建築を包み囲む。それに直交するように、ペアガラスやスチールサッシ、断熱パネルをはめ、住宅の外壁とした。スラットで囲まれた中庭やテラスは、外と内の新しい関係、互いの気配が感じられるボーダーレスな空間を生み出した。スラットの幅は60センチメートル。間隔は人が出入りできる寸法である。通りにちょっと顔がだせる、内から外から、見え隠れする風景の新しい発見。

  スラットの厚みは25ミリメートル。薄さがより大きな有効空間を生み出す。硬質ウレタンフォームを断熱材に使用し、フレキシブルボード仕上げのスラットは、1枚で完結する高性能な「皮膚=スキン」がイメージ。既存の構造の概念を超えた発想が、快適性を実現した。

  ユニークな建物外観が実現した背景には、構造家池田昌宏氏との共同がある。池田氏には設計の初期段階からかかわってもらう。意匠を先行させるのではなく、建築と構造、対等な立場で空間デザインを追求するのが、私の設計スタイルだ。「意匠と構造の一致」が、既存の概念にとらわれない新しい空間づくりには不可欠である。

  建築の価格は分かりにくい、とよくいわれる。それは建築が、何段階もの施工工程を経てつくられているから。例えば、仕上げが施されてしまえば、その内側は見えない。そこに不明瞭さが潜む。しかし、「構造体=仕上げ」にすれば、すべてが明快になる。「ナチュラル・スラット」は、価格が分かりやすいデザインである。

 「子供に豊かな空間体験を」。建主の家づくりに対する希望であった。2階LDK、そして仕切りのほとんどないオープンなプランは、子供に自由で魅力あふれる空間を与えた。そして家のどこにいても、親と子がそれぞれの気配を感じることができる。「シンボルツリーのある暮らしがしたい」という希望に対しては、中庭に屋根の高さと同じ程度のヤマボウシを植えた。
(遠藤政樹・EDH遠藤設計室)


「ナチュラル・スラット」


建築データ
  所在地: 東京都武蔵野市
  家族構成: 夫婦、子供1人
  竣工: 2002年4月
  敷地: 115.50平方メートル
  建築面積: 45.72平方メートル
  延べ床面積: 91.44平方メートル
  構造・規模: 鉄骨造、地上2階建て
  設計: 遠藤政樹・EDH遠藤設計室
  写真: EDH遠藤設計室
連絡先
  EDH遠藤設計室
  代表: 遠藤政樹(えんどう・まさき)
  住所: 〒151-0071
東京都渋谷区本町2-13-8-3F
  TEL: 03-3377-6293
  FAX: 03-3377-6293
  E-MAIL: edh-endoh@mvi.biglobe.ne.jp
  HP: http://www.edh-web.com
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