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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 04  「神楽坂の家」

イベントスペースのある家、ワンルームでプライバシーを確保
いろいろなイベントに利用できる1階
ほとんど仕切りのない1階は、大勢の人を招いてイベントを開くことが可能。7000冊の本を収納する棚があり、将来は大きな机を置いて家族みんなで勉強する場に。南面、北面の窓を開けば風が吹き抜ける。コンクリートの床には温水式床暖房を組み込んだ。

ワンルームなのにプライバシーが保たれる2階
2階は生活のメーンとなる場所。ダイニングキッチンと寝室の段差には、1階の様子がうかがえる開口がある。中央の棚によって、ダイニング側から寝ている人は全く見えない。棚の上に壁を引き出せば、完全に2つの部屋に分かれる。

外に開放的な空間がある家
床から天井まで大きなガラス窓をとった1階は、路地に向けて開放的な空間を演出。2階部分外壁はガルバリウム鋼板の波板を使い、シャープな印象を与える。

竣工当初に催した落語会   ルーフバルコニーと一体になった浴室
真打ちになった友人の落語家を招き、1階スペースで寄席を開く。表面が畳目となった長椅子を2つつなぎ合わせてステージに。この椅子はみかんぐみのデザイン。
 
3階部分は浴室と洗面のみ。浴室に来たついでに屋上のルーフバルコニーに出ることが、家族にとっての楽しみ。

身近な人たちが集まる場として活用
保育園の子どもたちを集めて、本を読み聞かせる会を開く。子どもたちの母親も集まり、1階のスペースが地域活動の場に変わる。

 「1階をイベントスペースにしたい」。それが施主側の要望でした。家族構成は30代の夫婦と2歳の子ども。編集者のご主人は、現代俳句の会や読書会などを開くことがあり、友人だけではなく、いろいろな人が集まる場所が欲しいと。わたしたちは、土地探しの段階からかかわり、施主の求める「自分の家でありながら、自分たちだけのためではなく、どこか街に開いている部分がある家」を模索していきました。

 この家は、戦災で焼け残った路地に面して建っています。近隣の住人しか通らない細い道です。3方の壁がガラスとなった1階は、路地から丸見え。もちろんカーテンで目隠しできるようになっていますが、イベントスペースとして使うので、完全にオープンな形をとりました。南面と北面のガラス戸を開け放せば、屋外空間のようにもなります。また、冬の寒さを考慮して、コンクリートの床には床暖房を入れました。

 一方、2階が生活の中心となる場です。ワンルームとしましたが、寝る場所をダイニングキッチンより数段高い位置にしています。2つのスペースを仕切る棚は、大人が立って向こう側が見えるか見えないかの高さ。棚の上に壁を引くことができる仕組みになっているので、完全に2つの部屋に分けることが可能です。子どもが成長したときを考えて、寝る場所には中央に間仕切り用の溝を用意しました。

 ダイニングキッチンと寝る場所の間の段差には、開口を設けました。それによって1階と2階が分離しているようで、お互いの気配が感じられる程度につながっている。家全体がひとつのワンルームになっているのです。

 1階には、ご主人の7000冊の本を収納する本棚。そして将来は大きな机を置き、イベントなどの特別なとき以外は、家族みんなで勉強する場所にしたいと考えているようです。子ども部屋を別につくるのではなく、何か活動するときは家族みんなでやろうと。そのスペースが1階にあり、2階はプライバシーを確保した場所。その2つが緩やかにつながっていることが、この家の特徴でしょう。

 わたしたちが住宅の設計で大切にしているのは、施主がその家で生活する上での快適さ。「格好いいけど、住みにくい」という家だけは、つくりたくありません。施主によって、求める快適さは違います。神楽坂の家がこのような開放的なスペースを持つようになったのは、この施主だったからこそです。別の人なら同じ敷地でも、全く違う形の家になったでしょう。

 その人がどういう家を望んでいるのか、話し合いの中で模索し、最もよい解答を見つけ出していくこと、それが、わたしたちの役目です。
(みかんぐみ)


「神楽坂の家」


建築データ
  所在地: 東京都新宿区
  家族構成: 夫婦、子供2人
  竣工: 2001年9月
  敷地: 82平方メートル
  建築面積: 49平方メートル
  延べ床面積: 104平方メートル
  構造・規模: 鉄骨造、3階建て
  総工費: 約2600万円(外溝除く)
  設計: みかんぐみ/加茂紀和子、曽我部昌史、竹内昌義、マニュエル・タルディッツ
  写真: みかんぐみ、木村真一(提供/「こんな家に住みたい」編集部)
連絡先
  みかんぐみ一級建築士事務所
  代表: 加茂紀和子、曽我部昌史、竹内昌義、マニュエル・タルディッツ
  住所: 〒158-0092
東京都世田谷区野毛3-2-11-3F
  TEL: 03-5752-5490
  FAX: 03-5752-5489
  E-MAIL: info@mikan.co.jp
  HP: http://www.mikan.co.jp
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