TOPLiving Styleこだわりのデザイナーズ住宅

こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 101「Co」

擁壁を埋めて通りとつながる、ドーナツ状のコートハウス


通りに開いたフラットルーフの建物

竣工直後の外観。写真右手はもと外階段があった擁壁を埋めてつくった斜面。代わりに、車庫の奥に階段を設けた。建物は道路から高さ3メートルのところに建っているが、平屋なので圧迫感がなく、視線を裏手の雑木林まで導く


空を見上げる中庭がエントランス

車庫内部にある階段を上がると、建物の中央に開いた円形の中庭に出る。ここが住まいのエントランスであり、光や風の取り入れ口であり、幼い子どもの遊び場でもある


中庭を巡って緩やかに連続する空間

建物の内部には水回り以外に固定した間仕切りはない。中庭が手前のパブリックなLDKと奥の個室群を緩やかに分け、必要に応じて木製建具で仕切る。道路面とその向かい側は全面開口


コンクリートのフレームをレンガで支える

コンクリート打ち放しの壁がそのまま内装を兼ねる。中庭部分だけ特注の白いレンガを積んでつくった壁で、異素材を用いることによって内と外の中間という意味を強調した


リビングと寝室を区分する水回り

写真左手のボックスの中に浴室とトイレがある。洗面台だけ外側に設けた。写真手前はリビング、奥は寝室や子ども室に充てる。大きな開口部にはカーテンの代わりに障子を設けて断熱に配慮した


上からの視線も意識した屋上

将来の緑化を視野に入れた屋上。手前の煙突のような物は浴室の天窓で、隣地の雑木林の緑めがけて突き出している。奥の丸い穴は中庭。隣のマンションから見下ろしても楽しい眺めになるはずだ


 敷地はひな壇状に造成された分譲地の一角です。起伏のある地形をカバーするため、高さ3メートルの擁壁を立ち上げ、その上を平らにならしてありました。道路から擁壁の外階段を上って建物にアプローチする設定です。近隣はみな同じ造成で、通りに沿ってコンクリートの壁が続く景色は、なんとも寂しい印象でした。

 設定通り擁壁の上に2階建ての住宅を建てれば、3階建て以上の高さを上り下りすることになります。その上、敷地裏手に当たる南隣に8階建てのマンションがあるため、通りから3メートル上がったところで、プライバシーは守れません。この造成をそのまま受け入れては、満足な設計はできないと思いました。

 たまたま、造成済みの地下車庫の奥に、ホームエレベーターを設置するための穴が開いていました。この穴を、建物への入り口に利用してはどうか。そうすれば、擁壁前面の外階段は要らなくなります。階段を埋め、道路との境界から建物の足元まで土を盛って斜面にすれば、内外を自然に連続させることができるでしょう。

 車庫内にも少し勾配をつくり、3メートルの高低差を2.5メートルほどに縮めました。車を降りたらそのまま玄関に向かえるので、動線もよりスムーズになります。

断面図

 この外から内へのなだらかな連続性を、そのまま家の中まで持ち込みたい。そのためには、2階建てより平屋のほうがふさわしいと考えました。廊下や階段で途切れることなく、流れるようにつながる空間。

 車庫から階段を上がると、筒状の中庭に出ます。上はぽっかりと丸く開いた空。玄関に足を踏み入れれば、そこはもう家の中心部です。

 平屋の建物は、隣地に接した南北を閉じ、東西を開いた門型です。その中央部に中庭の筒と、浴室・トイレを収めたボックスが並び、これによって室内を大まかに二分します。

 南側は大きなアイランドキッチンを据えたLDK、北側は主寝室や子ども室を想定していますが、間仕切りは木の引き戸なので、開け放ってしまえばすべて連続した空間です。

 キッチンからは中庭の様子がよく見えるので、まだ小さなお子さんを遊ばせていても安心。今は、植栽用のプランターを砂場代わりにして遊んでいるようです。

竣工半年後の外観
(写真:すがアトリエ)
  普通、中庭はただ「見る」だけの外部になりがちですが、ここでは「入り口」の機能も兼ねています。いきなり家の真ん中に入り込む動線は、造成時の穴があったからこそのアイデア。平たんな敷地では考えられない、ユニークなプランができました。

 外階段を埋めてつくった斜面には、建て主が木を植え、芝を張っています。道路から見ると、斜面の緑が敷地裏手の緑につながって、その間に建物が埋もれているようです。これからもっと植栽が育てば、緑に囲まれて暮らす気分が味わえることでしょう。
(菅正太郎/すがアトリエ)

Co

建築データ
  所在地: 大阪府堺市
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2005年12月
  敷地面積: 249.92平方メートル
  建築面積: 111.55平方メートル
延べ床面積: 153.03平方メートル
  構造・規模: RCプレートラーメン構造、地上1階・地下1階(車庫)
施工: ハンドハウス建築工房
設計: 菅 正太郎/すがアトリエ
構造: 福永 毅/あまのじゃ倶楽部
  写真: 植田三代治
連絡先  
  すがアトリエ
  代表: 菅正太郎
  住所: 〒545-0036大阪府大阪市阿倍野区万代1-3-20
TEL&FAX: 06-6626-1920
E-MAIL: suga19@jasmine.ocn.ne.jp
URL: http://www11.
ocn.ne.jp/~suga/
平面図
おすすめ情報(PR)