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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 104「軽井沢雲場の家」

全面の窓から緑を取り込む、限られた自然を生かす週末住宅


人通りのある外部に対して閉じた形態の北側外観

アプローチ側から見た建物。道路の側に対しては視線と音を遮断し、背の高いコンクリート基礎の上に黒いガルバリウム鋼板で覆った箱を載せている。斜めの屋根面には不規則に配置したトップライトが見える


壁一面に大きな開口を設けた南側外観

敷地の幅いっぱいに細長く配した建物の南面は、床から天井まで全面を窓にした。コンクリート壁が不規則に並ぶ地上レベルには駐車スペースやボイラー室などを収めている


外の緑が床面に映り込むリビング・ダイニング・キッチン

建物の中央に設けた約30畳のリビング・ダイニング・キッチン。不規則に並んだトップライトから光がこぼれ落ち、鏡面仕上げの床タイルには外部の緑が映り込む。居ながらに外の自然を感じられる空間とした


全面開口への視界が開けるダイニングまわり

キッチンからゲストルーム方向を見る。正面の壁は天井との境にガラスをはめ込み、空間のつながりを意識させている


直線的なデザインでまとめたオリジナルの薪ストーブ

リビングの中心に設置した薪(まき)ストーブ。床面から浮かせて軽さと床面の広がりを感じさせた。設計者のオリジナルデザイン


コンクリートの壁に黒い什器をしつらえた主寝室

建物の東端に位置する主寝室。敷地形状に合わせ、壁面を斜めに曲げている。外部に閉じた北面にはトップライトを設けて光を滑り込ませた


 夫婦のための軽井沢の週末住宅です。約1000平方メートルの敷地は3万平方メートル超の土地を区分して分譲されたもので、周りには家が並んでいます。軽井沢とはいえ都市化が進んだエリアといえるでしょう。

 限られた自然の中で視界の広がりを確保するため、ほぼ長方形の敷地に対して細長い直線状の建物を斜めに配置しました。3台の車を収容する駐車場を地上レベルに設け、その上に平屋建ての居住部分を載せています。


 建物の外観は、北面と南面で表情を変えました。道路からのアプローチとなる北面は玄関以外に開口を設けず、外部からの視線と音を遮断する。一方、庭に面した南面は細い鉄骨柱を4本だけ並べ、床から天井まですべて開口としています。

 細長い建物の中心となるのは、広いワンルーム状のリビング・ダイニング・キッチンです。その両端に、寝室とゲストルームを配置しています。

 室内空間の特徴は、自然が入り込む口をたくさん設けたこと。鏡面仕上げのタイルを床面に張り、外の緑をタイルに映り込ませています。また天井には不規則にトップライトを設け、差し込む自然光が室内にちりばめられるようにしました。

 建て主夫妻は群馬県高崎市内に住んでいます。1時間もあれば車で軽井沢に通える近さのため、完成後は2週間に1回程度利用しているそうです。

 別荘地を訪れる人は、そこに非日常性を求めています。同時に、年に何度か使う程度の別荘とは異なり、今回のような週末住宅では生活の場としての機能性も満たす必要があります。非日常性を損なうことなく使い勝手や心地良さを確保することが設計上の課題でした。

 使い勝手の面では例えば、十分な収納を用意しています。

 主寝室にはウオークインクロゼットのほか、斜めの壁に沿って棚を配置しました。またゲストルームは可動間仕切りを用いて二分割できるようにし、それぞれ収納を用意しています。水回りも含めて収納を十分確保することで、室内に物をあふれさせずに心地良く空間を利用できます。

 また、建物の基本性能を確保することも重要です。

 軽井沢は元々避暑地だったため、多くの別荘はサマーハウスとして使われていました。しかし今では、交通が便利になり通年で利用されるようになった結果、建物も冬の過酷な寒さに耐えられる性能が求められます。この家でも、高い断熱性能を確保するのはもちろん、玄関から居室、水回り部分まで、すべての床に床暖房を設置しました。

 このほか、玄関前の収納部にはエレベーターを設置できるスペースを用意するなど、将来の生活にも対応できるつくりとしています。

 このように生活の場としての基盤を確保したうえで、非日常的な開放性を持ち込みました。軽井沢のように自然が主役となる環境では、建築が出しゃばりすぎず、建て主が自分の色で染められるキャンバスとなるような空間を提供したい。ですから余計な要素は排除し、シンプルな空間を目指しました。

 シンプルな空間を生み出すためには、その背後に大変な作業を伴います。ここでは300ミリ角のタイルを床に敷き込むという前提で、壁から天井まですべての寸法をそろえました。

 床の目地割り、トップライトの配置に始まり、コンクリートの型枠や窓サッシ、オリジナルでデザインしたキッチンから薪ストーブまで、目に見える線はすべてそろえました。こうした作業によって室内がすっきりと納まり、外の自然がより印象的に映えます。

 建て主は、私が以前手がけた軽井沢の別荘の写真を雑誌で見て、設計を依頼してきました。その別荘を見学したご縁で、竣工後は建て主同士でパーティーに呼び合うなどしているそうです。私の建物を介してコミュニティーの場が広がるのはとてもうれしいですね。
(遠藤克彦/遠藤建築研究所)

軽井沢雲場の家

建築データ
  所在地: 長野県北佐久郡軽井沢町
  家族構成: 夫婦
  竣工: 2005年5月
  敷地面積: 1027.61平方メートル
  建築面積: 129.53平方メートル
延べ床面積: 126.65平方メートル
  構造・規模: 鉄骨造り・一部鉄筋コンクリート造り、地上1階建て
施工: 竹花組
設計: (建築)遠藤克彦/遠藤建築研究所、(構造)佐藤淳/佐藤淳構造設計事務所
  写真: 上田宏
連絡先  
  遠藤建築研究所
  代表: 遠藤克彦
  住所: 〒141-0022 東京都品川区東五反田5-21-13 中丸ビル3F
TEL: 03-5488-7381
FAX: 03-5488-7382
E-MAIL: info@j4f.com
URL: http://www.
j4f.com/eaa/
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