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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 108「秋津の家」

緑道に開いたパブリックゾーン、ダイニングキッチンを家の中心に


緑道に面し、自然を楽しめる環境の敷地

敷地の目の前を水路と緑道が通る。ダイニングキッチンのある白い平屋建て部分は窓を大きく設けて、自然環境に対して開放的な空間にした


エントランスのある北側外観

ダイニングキッチンとリビングを配置した平屋のパブリックゾーンと、寝室などを設けた2階建てのプライベートゾーンを明確に分離した。パブリックゾーンは屋根、外壁、床面を木製デッキの素材でコの字形に覆い、プライベートゾーンの黒い箱と対比させている


屋上デッキとなる屋根まわり

平屋建て部分の屋上は外壁と同じデッキ張りとして、外に出てくつろげるようにした。現在は周囲に手すりを取り付けている


1枚板のカウンターのあるダイニングキッチン

皆がお茶を飲みながら集まれる場とするために、キッチンとダイニングテーブルを一体化。ここを家の中心に据えた。長さ5メートルのカウンター棚を壁際に造り付けて十分な収納力を確保した。奥に見える玄関土間の向こうにはリビングが続く


薪ストーブを置いた小さなリビング

玄関土間側からリビングを見る。リビングは建て主夫妻が一人で落ち着いた時間を過ごすための場所。外の見える角の大きな窓以外は壁で覆った空間に、薪(まき)ストーブを置いている


プライベートゾーンの階段まわり

2階のベッドルームから書棚のあるワークスペースを見下ろす。2階からは屋外デッキにもそのまま出られる


一人でこもれる離れ部屋

プライベートゾーンである黒い箱の中に、建て主のための隠れ場となる黒い箱を置いた。滑り棒を設置するなど、遊び心も発揮している


 建て主の奥さんは3姉妹。実家やそれぞれの家によく姉妹夫婦で集まり、お茶を飲みながらキッチンで話に花を咲かせるそうです。そんな生活の様子を聞き、キッチンを中心とした家をつくろうということになりました。

 玄関を入った所を広い土間とし、すぐ横に細長いダイニングキッチンを配置しました。中央に据えた長いカウンターの約半分をガス台や流し、調理台に使い、残りはダイニングテーブルに。食事やお茶の用意をしながらそのまま歓談できるようにしています。

 土間を挟んでダイニングキッチンの反対側には、小さなリビングを設けています。こちらは一般的なリビングと異なり、一人で過ごすための場所。ご主人がたまにテレビでスポーツを観戦するとき、あるいは奥さんが本を読むときに、一人でくつろげるようにしました。

 ダイニングキッチンやリビングのすぐ外には、シダレヤナギの並ぶ緑道が見えます。夏には柳の葉が茂って自然のスクリーンになる緑道は、土地探しをしていた建て主夫妻も一目で気に入ったとか。この自然環境の良さを生かした建物にしたいという思いは、建て主と私に共通した気持ちでした。

 私は住宅の設計をする際、気持ち良い空間づくりを心がけています。気持ちが和らぐ空間と言い換えてもいい。

 気持ち良さとは、外部環境とのかかわり方から生まれると思います。住宅は単なるインテリアではないですから、室内だけで完結させたくありません。

 その場所にしかない外部の要素を見つけ出し、いかに取り込んでいくか。敷地に余裕のない都市圏で住宅を設計する際は、空の取り込み方を考えますし、今回考えたのは緑道という自然環境をどう取り入れていくかでした。

 そこで緑道側に平行して、外部環境とのつながりを意識したパブリックゾーンを配置しました。これが、ダイニングキッチンとリビングのある平屋建て部分です。ダイニングキッチンには全面開口を設け、外を巡るデッキ越しに緑道を望めるようにしました。リビングは壁の多いつくりですが、角の一角から外が見えるようにしています。

 一方、プライベートゾーンとなる黒い2階建ての箱は、平屋部分の背後に配置しています。

 パソコンと書棚のあるワークスペースや水回りなどを1階に、寝室とご主人の離れ部屋を2階に用意しました。離れ部屋は、「小さくていいから一人で閉じこもり、くつろげる空間が欲しい」というご主人の要望に応えたものです。

 パブリックゾーンやプライベートゾーンの設計では、場面の切り替えも意識しました。

 例えばダイニングキッチンとリビングは仕切りのない一体空間ですが、土間を間に挟んで変化を与えています。またプライベートゾーンは、外観だけでなく室内から見ても黒い箱となるように仕上げました。パブリックゾーンとの境界部分に小さな段差を設け、私的な空間へ入ることを意識付けています。

 空間は、ただ広ければよいというものではありません。このように場面ごとの変化を意識させることで、心地良いリズムを生み出しているのです。
(荘司毅/荘司建築設計室)

秋津の家

建築データ
  所在地: 千葉県習志野市
  家族構成: 夫婦
  竣工: 2006年3月
  敷地面積: 144.24平方メートル
  建築面積: 60.54平方メートル
延べ床面積: 79.83平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
施工: 広橋工務店
設計: 荘司毅/荘司建築設計室
  写真: 荘司毅
連絡先  
  荘司建築設計室
  代表: 荘司毅
  住所: 〒106-0047 東京都港区南麻布2-13-19 高野ビル205
TEL: 03-5484-0959
FAX: 03-5484-0954
E-MAIL: shoji@t-shoji.net
URL: http://www.
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