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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 109「ビアンコネロ」

機能を兼ねる工夫で、限られた面積に夢を盛る


1階・2階で異なる構造を白黒の対比で表現

南側外観。コンクリート造りの1階に、木造の2階を載せた構成。それぞれ外壁の仕上げを白(ビアンコ)と黒(ネロ)に分けて対比させた


柱のない間口10メートルの大空間

1階は、建物の間口そのままの大空間。リビングやダイニングとして使うほか、子ども向けの英会話教室を開く計画である。写真左手、木毛セメント板の壁の内側がキッチンや食器庫になっている


秩父連山を望む全面開口

1階夕景。南面の開口部は、6枚のサッシのうち中央4枚分が全開でき、リビングからテラスまでが視覚的につながる。ここから秩父連山を望むことができる


家族で共有するスタディーコーナー

個室の広さは最小限にとどめ、代わりに廊下を兼ねたスタディーコーナーを設けた。階段室上の吹き抜けに面し、トップライトから光が差し込む


吹き抜けの玄関兼廊下兼階段室

スタディーコーナーの下にある土間。キッチンの北側に当たる。玄関と廊下を兼ね、前方後方どちらからもリビングに入れるようになっている。中央の細いポールは2階から下りる滑り棒


ショーケースを兼ねた北側開口

北側外観。1階土間の前はガラス張りで、季節の行事のディスプレーや英会話教室のショーウインドーとして活用する


 建て主には、新居への夢がたくさんありました。敷地の南方にある秩父連山を眺めて暮らしたい。自宅で英会話教室を開きたい。クリスマスやハロウィーンには、家族で飾り付けを楽しみたい。そのために、広々としたリビングが欲しい……などなど。

 とはいえ、予算は潤沢とはいえません。あまり大きな建物はつくれない。あふれるほどの夢を、限られた面積の中に、どうやって詰め込むかが課題でした。

 できるだけ大きな空間を確保するため、1階は、東西両端のコンクリート壁で支える構造に。壁と壁の間は約10メートル、その間口いっぱいにリビング兼教室のスペースを取ります。南面は床から天井までの全面開口で、外はリビングと同じぐらい奥行きのあるテラスです。内外が連続することで、より広がりが感じられます。

 リビングの北側には、キッチンと食品庫、シューズクローゼットを一列に収めた木毛セメント板のボックスを配置しました。さらにその北側を、玄関と廊下と階段室を兼ねた土間とします。

 セメント板のボックスは、前面道路からリビングを隔てる目隠し壁の役割を果たします。その分、道路面はガラス張りでもかまわないわけです。道行く人の目に触れるガラス張りの土間は、季節のディスプレーや英会話教室のショーウインドーにもってこいでしょう。

 1階には生徒や父兄が出入りするので、できることなら2階に、家族だけでのんびり過ごせるセカンドリビングが欲しいところです。しかし2階の面積は、普通に考えれば家族4人分の個室で目いっぱい。そこで、私たちは個室に求められる機能を分解し、再構成することにしました。

 ベッドと衣類の収納、着替える場所は、家族といえどもプライバシーが必要でしょう。でも、学習や書き物のためのデスクスペースは、共有でもいいのではないか。1人当たりの個室を2.5畳に抑え、残ったスペースをまとめれば、ゆとりの空間が生まれます。

 この考えに基づいてつくったのが、吹き抜けに面したスタディーコーナーです。面積はそう大きくありませんが、廊下を兼ねたデスクスペースと吹き抜けによって、縦横に広がる空間です。吹き抜けの上にはトップライトがあり、自然光もたっぷり差し込みます。

 デスクには小さな流しも設けてあるので、多目的に使えます。向こうではお父さんがパソコンを使い、こちらでは子どもたちが宿題を、その間でお母さんは化粧直し中……などという光景が繰り広げられることでしょう。

 私たちはいつも建物に、住む人の想定にない、日常生活にプラスアルファする “お楽しみ”を仕掛けるようにしています。住む人はしばらく暮らしてみて初めて、その意味に気づくはず。

 「ビアンコネロ」のスタディーコーナーや土間は、使っているうちに、どんどん新しい使い道が発見できるだろうと思います。ご主人の職業が消防士なので、おまけとして、吹き抜けに消防署みたいな滑り棒を付けておきました。

 私たちにとって住宅を設計する過程は、建て主とのジャムセッション(即興演奏)のようなものです。設計の初期段階から工事まで、建て主を巻き込み、かかわり続けてもらいます。建て主は、自分が設計したように感じるのではないでしょうか。中には、「ジャムズ」と刷り込んだ名刺をつくろうかな、と言い出す人もいるほどです。
(横関和也+仲條雪/ジャムズ)

ビアンコネロ

建築データ
  所在地: 埼玉県東松山市
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2006年12月
  敷地面積: 309.98平方メートル
  建築面積: 88.32平方メートル
延べ床面積: 113.45平方メートル
  構造・規模: 木造一部鉄筋コンクリート造り、地上2階
設計: 横関和也+仲條雪(ジャムズ)
  写真: 齋部功
連絡先  
  ジャムズ
  代表: 横関和也+仲條雪
  住所: 〒151-0071東京都渋谷区本町4-34-9-203
TEL&FAX: 03-3377-4070
E-MAIL: jamm@amy.hi-ho.ne.jp
URL: http://www.amy.
hi-ho.ne.jp/jamm/
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