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Housing File 112「香澄の家」

逆S字形に蛇行する筒形空間、2つの大開口で公園につなげる


公園に面して建つ箱形の建物

赤い箱形の北側外観。道路を介して目の前に広大な公園が広がっている。間口6.3メートル、奥行き17.3メートルの細長い敷地に逆S字形の建物を配置した


北側に大きな開口を持つ外観

2階のリビングに大きな開口部を曲折させながら設けた。北側に広がる公園と向き合えるようにした


東南に配置した小さな中庭

隣接する家に囲まれた東南の角に中庭を配置し、周辺の建物と一定の距離を確保した。中庭に面した1階の浴室と子ども室は、床から天井までの大開口としている。現在は中庭に樹木を植えており、周囲からの視線を遮る役割を果たす


浴室と一体化した玄関ホール

バリ島が好きな建て主の要望で、カーテンを開くと、浴室と玄関ホール、階段室が一体となる空間とした。ここでアロマ教室を開催している。右の正面に見える子ども室も、引き戸を開けると空間がつながる


ワンルーム状に延びる2階のリビング、ダイニング、キッチン

北側のリビングからダイニングキッチン方向を見る。2面の壁に沿わせて長いカウンターを造り付け、一つの空間ながらコーナーには異なる性格を与えた。ここでもアロマ教室や料理教室を開いている


公園に向けて奥行きの異なる開口を設けたリビングまわり

キッチンからリビング方向を見返す。公園に向けて開放した2つの大開口は異なる造りで、リビングに続く右側の開口は壁で覆われたテラスを外に延ばし、はめ殺し窓とした左側の開口とは奥行き感に変化を与えた


 逆S字形に折れ曲がった建物と、北側に面した大きな開口。間口6.3メートル、奥行き17.3メートルという細長い敷地の形状と立地を生かそうと考えた結果、この家の特徴的な姿にたどり着きました。

 千葉県習志野市内の新興住宅地に位置する「香澄の家」は、東西と南の3辺を家に囲まれています。一方、道路を隔てた北側には、野球などもできる大きな近隣公園が広がります。設計では、平原のようになだらかに続く公園とどう向き合っていくかを考えました。

 まず、隣接して家が建つ東南側に小さな庭を、道路に面した北西側に駐車場をそれぞれ設けました。残りの部分に建物を配置すると、建物は逆S字形に蛇行することになります。

 平面を蛇行させたのには、内部空間の長さを確保し、延べ面積90平方メートルという限られた建物の中で奥行き感を増幅させる狙いがありました。さらにリビングのある2階に、公園に向かって2つの大きな開口を設けて視線を開放しています。

 筒状の空間を生かし、室内はできるだけワンルーム状に利用するようにしました。

 2階は28畳の1室空間。床面を10センチ高くしたリビングに続けて、ダイニングとキッチンを並べています。テレビを置いたリビングはこのうち約4.5畳です。夫婦と子ども2人にはけっして広くはないかもしれませんが、残りの23畳強をダイニングキッチンに振り分けました。

 ダイニングキッチンには、カウンターを2列配置しています。「くの字形」に折り曲げたカウンターは7.5メートル、反対の壁沿いに配したカウンターは4.3メートルの長さを持ちます。長いカウンターを据えることで、細長い空間を生かし切ると同時に空間の奥行きを強調しました。

 このダイニングキッチンは、奥さまが開くアロマ教室や、奥さまの友人が行う料理教室の場としても使われます。直線状のカウンターの端部はデスク仕様としており、日常子どもたちが宿題をする場としても活用できるようにしました。

 空間のつながりを重視したのは1階も同様です。

 庭や駐車場に面したウイング状の部分にはそれぞれ子ども部屋と寝室を配し、間仕切りの引き戸で開放できるようにしました。2つのウイングの結び目部分には玄関と階段、そして浴室。庭に開いた浴室は、カーテンを開けると玄関ホールや階段室と完全に一体化します。

 こうした浴室まわりの造りはバリ島のような雰囲気にしたいという夫婦の要望に基づいたもので、アロマ教室としても使えるようにしています。同時に、限られた予算と土地の中でできるだけゆったりした空間を確保するのも目的でした。

 玄関と一体となった空間に浴室をそのまま配置することで廊下をなくす、また子ども室をコンパクトにしたり、当初の要望にあった茶室をあきらめたりするなど、切り詰められるところは思い切りました。その一方で、2階には28畳の広さをもつLDKを確保したわけです。

 建て主からはもう1つ、コンクリートの建物にしたいという要望も出ていました。しかし予算の関係上、コンクリート造りにするのは難しい。そこで木造を採用しつつ、木造に見えないように工夫しています。

 例えば木造では、一定量の壁を設ける必要があるなど、構造上の制約がいろいろと生じます。ここではH形鋼によるロの字形フレームで窓まわりを構成し、純粋な木造では難しい大開口をつくりました。壁と開口をランダムに配置したことも、木造らしからぬ外観を実現するのに寄与しています。
(仲亀清進/仲亀清進建築事務所)

香澄の家

建築データ
  所在地: 千葉県習志野市
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2006年5月
  敷地面積: 107.26平方メートル
  建築面積: 47.28平方メートル
延べ床面積: 90.48平方メートル
  構造・規模: 木造・一部鉄骨造り、地上2階建て
施工: 金正
  設計: (建築)仲亀清進/仲亀清進建築事務所、(構造)アラン・バーデン、神野昌也(元所員)/ストラクチャードエンバイロメント
  写真: 鳥村鋼一
連絡先  
  仲亀清進建築事務所
  代表: 仲亀清進
  住所: 〒230-0073 横浜市鶴見区獅子ヶ谷1-11-1 B1
TEL&FAX: 045-581-9812
E-MAIL: info@nakagame.com
URL: http://www.
nakagame.com/
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