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Housing File 113「中野弥生町の2世帯住宅」

建て坪わずか11坪弱の3階建て、究極の都市型2世帯住宅


外階段を備えた完全分離型2世帯住宅

道路側、東側外観。正面の玄関は親世帯用。鉄骨とグレーチングでつくられた外階段を通って、2階の子世帯玄関に至る。外壁は防火サイディング。木造の耐火建築である


天井を連続させて空間の一体感を演出

2階子世帯のLDK。床から1.8メートルより上は壁も天井も同じ木質仕上げで統一。欄間にガラスをはめ込んで、2階全体が連続した空間として感じられるように工夫した


水回りも生活空間の一部に組み入れる

空間を有効利用するため、キッチンも洗面脱衣室もLDの一部として使う。写真右手の洗面脱衣室はガラスの吊り戸で仕切り、使わないときは開け放つ。ステンレス製のキッチンは量販店で購入した既製品


吹き抜けを通して上空の光を取り入れる

2階の一部は小さな吹き抜けになっていて3階につながる。その上にトップライトを設けてあり、上空から自然光が差し込む


可動間仕切りで区画する3階寝室

3階は子世帯家族3人の寝室。必要に応じて可動間仕切りで3つに区画分けする。右手は共用のクローゼット。これもコスト調整のため既製品を利用した


1階はコンパクトな親世帯のスペース

1階は両親のスペース。写真右手が玄関。子世帯同様、キッチンと収納には既製品を活用


 両親が住んでいた平屋を建て替えて、2世帯で同居する計画です。しかし、古くからある道路は、幅員が法律で最低限必要と規定されている4分の1ほどしかなく、その分敷地を削らなくてはなりません。建て坪は以前よりも約2坪小さく、わずか11坪弱になってしまいます。

 そのうえ、建物は耐火構造にするのが条件です。地盤が軟らかく鉄筋コンクリートでは重すぎるため、選択肢は木造のツーバイフォー(2×4)に限られました。

 ツーバイフォーは木製パネルを箱状に組み立てる工法ですが、耐火構造にするには、パネルの上に石こうボードと合板を重ねて張り付ける必要があり、壁が通常より10センチくらい厚くなります。壁が厚くなれば、それだけ内部空間が圧迫されてしまいます。
 
 また、前面道路が狭く、資材搬入に手間がかかることが、コストを押し上げる要因になりました。そこへもってきて建て主の要望は、玄関を分ける完全分離型の2世帯住宅です。キッチンも浴室も2つずつになるので、予算内で3階建てを建てるためには、かなり工夫が必要でした。

 かくして、面積も予算もギリギリの調整に取り組むことになったのです。

 1階が両親、2階と3階が子世帯の住居です。玄関を分けるためには外階段が必要で、それだけ面積が削られます。1階はワンルームの間取り。2階の子世帯LDKは3階へ行く階段の分も削られるので、少しでも広がりが得られるよう、細かく気を配っています。

 まず、LDKをなるべく広く使うため、隣接する洗面脱衣室も、使わないときはリビングスペースに含めます。間仕切りは片側に引き込めるガラスの吊り戸としました。床にレールがないので、開放すれば境界は感じられません。

 さらに、洗面脱衣室も浴室も玄関ホールも、2階はすべて欄間(らんま)より上の壁と天井を木質の仕上げでそろえ、空間の連続感を強調しました。欄間にはガラスがはめ込まれているので、ドアが閉まった状態でも、その上は向こうまでつながっているように見えるのです。

 3階は斜線制限によって天井が斜めに削られます。その部分に床を張っても使いづらいので、吹き抜けにして2階とつながりを持たせました。天井の斜めの部分にトップライトを設けて自然光を取り入れます。

 3階は子世帯家族3人の寝室に充てますが、廊下をつくるゆとりはありません。使うときだけ仕切れるように、可動間仕切りをデザインしました。

 コスト調整のため、キッチンと収納家具は既製品を購入し、現場では取り付けただけです。外資系の量販店で安い製品が手に入るのですが、取り寄せや取り置きに応じてもらえないので、必要な物をそろえるために何度も通わなくてはなりませんでした。

 個人住宅の設計では、予算調整の苦労はつきものですが、建て主の理解がないとなかなかスムーズに進みません。その点、この住宅は、建て主が厳しい条件をきちんと認識していたので、なんとか実現にこぎつけることができました。
(倉田裕之/倉田裕之/建築・計画事務所)

中野弥生町の2世帯住宅

建築データ
  所在地: 東京都中野区
  家族構成: 夫婦+子ども1人+両親
  竣工: 2007年3月
  敷地面積: 48.19平方メートル
  建築面積: 35.31平方メートル
延べ床面積: 93.36平方メートル
  構造・規模: 木造、地上3階
  設計: 倉田裕之
  写真: 倉田裕之/建築・計画事務所
連絡先  
  倉田裕之/建築・計画事務所
  代表: 倉田裕之
  住所: 〒108-0073東京都港区三田3-14-13メゾン富士ビル6F
TEL: 03-5444-6370
FAX: 03-5444-6843
E-MAIL: info@kurata.co.jp
URL: http://www.
kurata.co.jp/
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