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Housing File 116「都筑の家」

ダイナミックな跳ね出しデザイン、眼前に広がる緑を借景として取り込む


箱型の1階から上層階が突き出た建物の外観

東側の外観。対面に広がる緑を積極的に楽しめるようリビングダイニングに大きな開口を設けている。通行量の多い道路からの視線を遮るため、リビングダイニングを2階に配置した。建物は鉄筋コンクリート造りの外断熱工法を採用している


段差のある床が森とのつながりをもたらすリビングダイニング

2階のリビングダイニング。床面に段差を設け、長いテーブルを渡している。奥はリビングの座卓、手前の床が下がった部分はいすを並べてダイニングテーブルとして利用する。リビングダイニングには床暖房を設置


緑を借景として取り込むリビングダイニングの吹き抜け大開口

高さ3.8メートルの強化ガラスの開口部を通し、道路を隔てた斜面の緑が目に飛び込んでくる。窓面には下から上へ閉じていくハニカムブラインドを設置し、道路からの視線を切りつつ上部に展開する森の景色を楽しめるようにした


ガラスの間仕切りで視覚的に一体化した水回り

キッチン、洗面・トイレ、浴室を一列に並べた2階水回り。はめ殺しガラスで仕切り、キッチンからも外の景色が見えるようにした。キッチンと洗面の間に設置したブラインドにより、必要に応じて視線をカットできる。コンクリート打ち放しのキッチンカウンターは壁から片持ちで突き出した形で、下にワゴンを収納する


吹き抜けを通して外の景色を楽しめる3階居室

3階にはファミリールームと子ども室を用意した。吹き抜けで2階リビングダイニングとつながっている。手すり状に見えるのは視線が抜けるようにデザインされた造り付けの本棚


ワンルーム状のファミリールームと子ども室

ファミリールーム側から子ども室を見る。右にある可動式本棚で緩やかに間仕切りしている。左の吹き抜け空間との間は引き込み式の戸によって閉じることもできる。高さを抑えた開口部の先に自然の森の風景が見える


2枚の壁に挟まれた3階のルーフテラス

水回りの上階に設けたルーフテラス。ほかの部屋と同じく、コンクリートの壁によって景色を切り取り、絵画のように見せることを意図している。壁の先に森のシルエットが映り込む


 2階のリビングダイニングにいると、東と南に設けた2面の大きなガラス窓を通して外の緑がドラマチックに目に飛び込んできます。ダイニングから2段上がっているリビングの床にゴロリと寝転び、森の緑を眺めながらくつろぐと気持ちいいですよ。

 敷地は、横浜市内の住宅街に新しく分譲された8区画のうちの1つです。敷地の東側に沿ってカーブを描く道路が延び、対面は大きな公園に続く自然の山になっています。

 建て主から設計の依頼を受けて敷地を見に行った際、何よりも強く印象を受けたのが道路対面の緑の豊かさでした。目の前に広がる斜面の緑を借景として最大限に取り込んだ家とすることは、今回の設計の出発点となりました。

 ですからリビングダイニング以外の部屋でも、緑の取り込み方にこだわっています。

 例えばリビングダイニングの隣に配置した水回り。一列に並べたキッチンと洗面・トイレ、浴室の間仕切りははめ殺しのガラスとし、外に面した浴室の開口は天井から浴槽までいっぱいに確保しました。浴室はもちろんキッチンにいても、トイレや浴室の開口部を通して、春は桜、初夏には新緑、秋には紅葉と四季折々の自然を楽しめます。

 前面の道路はバス通りに続いているため、人通りが多い状態です。しかも近い将来、市営地下鉄が開通すると新駅から3分ほどという便利な場所になり、さらに通行量の増加が予想されます。そこで外からの視線が気にならないように、生活の中心となるリビングダイニングなどを2、3階に持ち上げました。

 建物形状として1階のボリュームを抑えた理由の1つには、地盤が道路面より高くなっているという敷地条件がありました。

 1階の面積を広くし、地盤を削る部分を大きくすると工費も高くなります。コストを抑え、より必然性のある形を求め、1階の上部に壁が跳ね出すダイナミックな現在の姿を導き出しました。この跳ね出しのコンクリート壁は、室内から見ると外の風景を一幅の絵のように切り取る仕掛けにもなっています。

 1階は主寝室空間です。5.1メートル角という正方形平面の中に、玄関や階段・物置とともに配置しています。2階と3階は、自然の森と対峙(たいじ)する東に向けて1階部分から跳ね出すように載せました。

 吹き抜けを介して2階のリビングダイニングに続く3階は、ファミリールームと子ども室です。リビングダイニングと同様、大きな一室空間としてつくり、可動式の本棚で間仕切りしました。小さなお子さんが2人いるので、大きくなったら本棚を動かし、間仕切り壁を設けるなどして、子どもの成長に合わせてそれぞれの空間ボリュームをコントロールできるようにしています。

 この部屋からも、吹き抜けでつながるリビングダイニング越しに外の景色を望めます。さらに北側にルーフテラスをつくり、方向性を強調した2枚のコンクリート壁によって切り取られた森の緑を楽しめるようにしました。

 家を設計するときに重要なのは、敷地の持つポテンシャルをいかに引き出し、その家族の住まいにふさわしい着地点を見つけるかということです。都筑の家では恵まれた自然の借景を十分に取り込むことにより、真に家族がくつろぐことができる住空間を創造できたのではないかと思っています。
(庄司寛/庄司寛建築設計事務所)

都筑の家

建築データ
  所在地: 横浜市
  家族構成: 夫婦+子2人
  竣工: 2007年1月
  敷地面積: 90.04平方メートル
  建築面積: 50.53平方メートル
延べ床面積: 113.31平方メートル
  構造・規模: 鉄筋コンクリート造り、地上3階建て
  施工: 黒潮建設
  設計: 庄司寛/庄司寛建築設計事務所
  写真: 石井雅義
連絡先  
  庄司寛建築設計事務所
  代表: 庄司寛
  住所: 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂 2-15-1-1316
TEL: 03-3770-3557
FAX: 03-3770-3557
E-MAIL: s-design@
yd6.so-net.ne.jp
URL: http://www.
shoji-design.com/
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