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Housing File 118「大林の家」

トレーニング室とサウナを設置、夫妻が独立した時間を過ごす家


混構造を採用したシンプルな箱形建物の西側外観

1階の鉄筋コンクリートの壁に木造の2階部分を載せた混構造の家。2階の大きな窓は、反対側に設けた東面の窓とともに風と視線の抜け道となる。1階の玄関まわりはガラス張りとし、近所の人が通る前面の道路との一体感を打ち出した


家の様々な機能の結び目となる吹き抜けの玄関

ガラス張りの明るい玄関。大きな吹き抜けが、ご主人中心のゾーンである1階と奥様中心のゾーンである2階を結び付ける。踊り場のある鉄骨階段は、家に上がる際に買い物袋などを置いたり、荷が届いたときにサインをしたりするなど、ちょっとした使い道に便利


玄関と土間に続く客間

玄関の横に小上がりで続く4.5畳の客間を設けた。板べりに腰掛けて近所の人と話をするといった使い方もできる。右の引き戸の奥はトレーニング室


コンクリートと障子で構成したモダンな客間

1階の客間。玄関との境にある障子を閉めた状態。浮かせた物入れの下に小窓を設け、重心が低く奥行き感のある空間にまとめている


吹き抜けから延びていく2階のリビング

吹き抜けを通して2階のリビングダイニングを見る。正面奥にご主人も趣味で用いるキッチンがある。吹き抜けの左に見えるのは寝室ののぞき窓。太鼓張りの障子は下側を押し開ける方式


広いデッキを設けたリビングダイニング

2階リビングダイニングの北側に広いデッキを設けた。デッキを通して日差しの明るさが室内に入り込む。デッキは外周を閉じているので、視線を気にせずに利用できる


本格的な運動にも対応したトレーニング室

1階玄関の正面にあるトレーニング室。ご主人が趣味で使う。右手奥は浴室との間仕切りとなる鉄筋コンクリート造りの壁で、トレーニング器具を設置できるようにしている


 二人のお子さんが巣立った夫妻の家です。夫婦が互いに干渉されず、それぞれ独立した時間を過ごせるような空間構成を意図しました。

 道路側の間口が小さく奥行きが深い敷地に、細長い四角い箱形の建物を置いています。

 1階は趣味のスペースで、ご主人のトレーニング室を中心に据えました。ご主人は、本格的に体を動かします。壁の一面は器具を取り付けられるようにコンクリートとし、もう一面には鏡を張ってエアロビクスもできるようにしました。

 コンクリート壁の奥は、2つの浴槽を並べた浴室です。サウナを設置し、浴槽の1つは水風呂として利用します。

 2階は奥様が中心となるスペースで、キッチンとリビングダイニング、寝室を配置しました。この敷地は東西に吹く風を期待できるので、2階は東と西に大きな開口を取り、風の通る道を確保しました。

 一方、建物などが間近にある南面は、開口をあえて絞っています。リビングの北側にデッキを設け、デッキ越しに光を取り込むようにしました。北側に大きな開口を設けることを意外に思う人もいるでしょうが、室内に入り込む日差しが安定し、デッキまわりもきれいに見えます。

 このような1階と2階を結び付ける場所として、吹き抜けの玄関をつくりました。玄関を入ると、ご主人の空間と奥様の空間が1階と2階に分かれていくというイメージです。それぞれの空間を進むと、突き当たりには浴室やキッチンという二人の共有空間が再び現れる。独立性を重んじながらも二人が使う場所を端に配置し、生活の中で行かない場所をつくらないようにしました。

 吹き抜けの玄関は、夫妻が上下階にいても互いの気配を感じられるようにする役割を果たします。玄関の土間部分は3面をガラス張りにし、外に対して開かれた空間としました。

 土間の隣には畳敷きの客間が続きます。ここは、近所のおばあちゃんが来たら座って話してもらうとか、ギャラリーのように使うといったシーンを想定したものです。客間を1部屋用意するのは不経済だと思うかもしれませんが、日常の使い方をうまく考えれば、夫と妻、そして外の世界をつなぐ有効な空間となります。

 夫妻は、埼玉県越谷市の古い住宅地にあるこの土地に20年ほど住んできました。周辺は畑や公園のほか、倉庫、建売住宅などいろいろな要素がパッチワークのように散りばめられています。「シンプルな箱の家に住みたい」という夫妻の要望を受け、鉄筋コンクリートの上に黒のガルバリウム鋼板で覆った箱を載せた外観にしました。

 建物は、鉄筋コンクリート造りと木造の混構造です。1階の両サイドに鉄筋コンクリート壁を配置し、間を木造のトレーニング室としました。これらの上に、木造の2階を載せています。

 1階の両端を鉄筋コンクリート造りにしたのは、トレーニング室に強度の高い壁が必要だったことに加え、耐震性を求めた夫妻の要望に応える意味もありました。ただしコストを抑え、建物もできるだけ軽くしたかったので、木造と組み合わせました。木造のトレーニング室は簡単にリフォームできますから、将来、息子さんが戻ってきたときにはLDKや寝室に変えることも可能です。

 今回に限らず、家を建てることは建て主にとって大きな仕事。建て主の話をヒントにどう気持ちよく過ごしてもらえるかを考えて、建て主に楽しんでもらいつつ、イメージを膨らませるよう心がけています。
(川久保智康/川久保智康建築設計事務所)

大林の家

建築データ
  所在地: 埼玉県越谷市
  家族構成: 夫婦
  竣工: 2007年2月
  敷地面積: 320.71平方メートル
  建築面積: 92.75平方メートル
延べ床面積: 156.83平方メートル
  構造・規模: 鉄筋コンクリート造り・一部木造、地上2階建て
  施工: 白石工務店
  設計: (建築)川久保智康/川久保智康建築設計事務所、(構造)佐藤紀子/アトリエ・ナイン
  写真: 淺川敏
連絡先  
  川久保智康建築設計事務所
  代表: 川久保智康
  住所: 〒102-0071 東京都千代田区富士見1-11-23 フジミビル3階
TEL: 03-5214-6080
FAX: 03-5214-6282
E-MAIL: info@
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