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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 12 「PACIFIC HOUSE」

風と波を感じさせるヨットマンの住まい、可変性に富む二世帯住宅プラン

遊び心にあふれる、床に埋め込まれたガラスブロック
オープンなリビングダイニングの床に、ガラスブロックを埋めた。壁は、ルナファーザーの紙張りの上に、ルナコート(ドイツ製)で塗装。何度でも塗り替えられるため、子どもの自由な落書きスペースになる
ハンググライダーの翼を思わせる屋根の形状
風を受けて南の空に飛び立つかのように傾斜したハンググライダー型の屋根は、隣地(写真左)への日照を極力妨げないよう配慮した
曲線の階段がプレイルームへと誘う
エントランスから続くプレイルームは、曲線の2段の階段でつながる。白い塗り壁は、調湿機能を持った塗料を使用し、室内の湿度を適正に保つ
光に包まれ温もりを感じさせるエントランス
住み手のこだわりがエントランス空間の意匠に反映された。床には、床暖房に効果的なトラバーチンを使用
和洋折衷、フレキシブルな空間
フローリングと同レベルに配された沖縄畳が、エキゾチックな雰囲気を醸し出す。ライフステージの変化に応じて自在に活用できるよう、間仕切りから解放された、お母さんのためのスペース
コンセプトは「ウエーブ(波)」
アルミパンチングメタルのやわらかな曲線が波をイメージさせる

 青い空、白い雲、走り抜ける風。いまにも南の空に飛び立つハンググライダーのような外観のこの家の主(あるじ)は、40代前半のヨットマン。家族は、奥さんとまだ幼いふたりの男の子と施主のお母さん。みんなで一緒にのびのびと暮らせる、そして遊び心たっぷりの住空間にしたい、との希望でした。

 山手線恵比寿駅から徒歩わずか数分。大手デベロッパーが開発した1区画15坪、合計16区画の建て売り分譲用住宅地。恵比寿ガーデンプレイスに向く2区画が、この「ハンググライダー」のために用意された土地でした。

 ヨットを趣味とする施主の好みや、隣地への日照や通気を配慮した上で、必然的に生まれたのが、「ハンググライダー」を思わせるガルバリウム製の屋根です。ガルバリウムは安価で軽量ですから、空を飛ぶような軽快さを演出するにはぴったりの素材です。

 1階は、玄関とプレイルームと浴室。曲線の階段を採用したフロアーデザインが、訪れる人をエントランスからプレイルームへと誘います。船のキャビンをイメージしたカウンターのあるプレイルームは、2段下がったレベルです。この段差は、「1段下るごとに“遊”への期待感が高まり、グランドラインから数段下がって入るバーの集客数が多い」といわれる人間の心理を取り入れました。結果、天井の高い、開放感のある空間となっています。

  2階は、夫婦と子どものためのスペース。日当たりや風通しのよい3階は、お母さんの居住スペースです。3階にもキッチンやユニットバスなどの水回りを配し、ひとつ屋根の下でもお互いのプライバシーは守る、という考えです。また、年長者から子どもへ、ライフステージの変化に自在に対応できるよう、間仕切りの少ないフレキシブルな室空間構成としました。

 2階の床には、ガラスブロックを対角線上に埋め込んでいます。真四角な室内に半透明の対角線を意識させることによって、空間に遊び心が生まれます。

 このガラスブロックの下、1階の天井面に、調光が可能なレール状のライティングダクトを仕込んでいます。この家が闇に包まれるころ、光を絞ったほのかな明かりがプレイルームのバーカウンターを演出し、2階は単なる住空間から、トワイライトタイムを楽しむムーディーな空間へと変化します。

 家の外周には遮るものが少ないので、建物すべての面に開閉できる窓を設置。心地よい風が家の中を吹き抜けます。夏、熱い空気は、エレベータを囲む階段を上昇し、3階の天窓から抜ける仕組みです。

 一方、冬は、天井にたまる熱気を天井扇によって循環させるなど、自然な空気の流れを効果的に利用した空調としました。しかし、夏の都心のヒートアイランド現象は予想以上。このため、やむを得ず、各階の南面の天井にエアコンを設置しました。

 地下の倉庫は、現在は施主のホビールーム兼書斎。ヨットのパーツや、さまざまなスポーツ用具の収納に使用していますが、3階のスペース同様、子どもの成長にあわせて、将来、居住スペースになることも考えて設計しています。

 資源の枯渇や環境汚染が、地球規模の問題になっています。もはや、住む世代が変わるたびに、家を建て替える時代ではありません。時代を超えて機能し続ける住まい。「住宅に始まって住宅に終わる」といわれるほど、私たち建築家にとって、家づくりは奥の深いテーマです。現代に対応しながら、10年後、20年後、さらには、50年後のライフステージを受容できる住空間のあり方を、施主とともに考えていきたいと思います。
(石井 勉・タイム計画研究所


「PACIFIC HOUSE」


建築データ
  所在地: 東京都渋谷区
  家族構成: 母親、夫妻、子ども2人
  竣工: 2001年4月
  敷地: 98.53平方メートル
  建築面積: 58.65平方メートル
  延べ床面積: 212.28平方メートル
  構造・規模: RC+木造、地下1階+地上3階建て
  坪単価: 約73万円(全工事含む)
  設計: 石井 勉(タイム計画研究所)
  構造: 藤井建築構造設計事務所
  施工: 進藤建設
  写真: 輿水 進
連絡先
  タイム計画研究所
  代表: 石井 勉
  住所: 〒151-0053
東京都渋谷区代々木4-34-5-101
  TEL: 03-3378-9765
  FAX: 03-3378-9722
  E-MAIL: timeben@alpha-net.ne.jp
  HP: http://www.aa.alpha-net.ne.jp/
kkunion/index.htm
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