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Housing File 125「モザイクの家」

光を求めるひまわりのように、南に傾いた屋根の全部が天窓


南に頭をかしげた、光沢のある白い建物

南東側外観。建物は南に向かって緩くカーブしている。外壁には光沢のあるモザイクタイルが張り詰めてあり、光の加減で表情を変える。左下が駐車スペースで、建物が覆いかぶさるようにして庇(ひさし)を兼ねる


リビングの天井は青空

屋根全体がガラス張り。3階リビングの天井は青空に抜ける。ダイニングテーブルの向こうの木箱の中はキッチン。その上はロフトで、窓の開閉やメンテナンスのために上れる


夏はテントで遮光し熱気を逃がす

ガラス屋根の下には開閉可能なテントがある。夏はこのテントを閉めれば、ガラス面との間にたまった熱気が軒先へ抜けるようになっている


建物北側の吹き抜けに光が落ちる

2階の部屋から吹き抜けの階段室を見る。白い壁で屋根からの光を受け、吹き抜けを通して階下へ落とす


軽やかに宙を上るらせん階段

玄関から吹き抜けを見る。1階左手は引き戸で仕切る寝室、2階には予備室と子ども室、水回りがある


壁の傾斜がヘッドレストになる浴室

2階南側にある浴室。壁が奥に向かって傾き広がっているので、浴槽を壁ぎりぎりに入れることができ、壁の傾きはそのままヘッドレストとなる


 敷地は由緒あるお寺の参道沿いにあります。東南の角地、といえば条件がよさそうですが、道路を挟んで南側に4階建ての建物が立ちはだかり、長い影を落としています。「日陰の暗い印象をぬぐい去る、明るくチャーミングな家が欲しい」というのが建て主の願いでした。

 敷地面積は18坪に満たず、車を置くスペースがとれるのは、台形に広がった土地の南側しかありません。しかし、建物を北側に寄せれば、法規制による斜線制限で上の方が削られてしまいます。

 そこで、北側の斜線制限を滑らかな曲線でかわし、それに合わせて南側も曲げることにしました。建物を南へ伸ばすことで面積が確保でき、先端が駐車スペースの上にかぶさるので、庇(ひさし)の役目も兼ねられます。

 屋根は南下がりに傾斜させ、全面ガラス張りに。日陰の上に首を出すようにして、日の光と空の眺めを最大限に取り入れます。この光は、建物北側の吹き抜けを通って1階の玄関ホールまで届きます。

 吹き抜けに掛けたらせん階段は、壁の傾きをかわしながら上昇します。3層の床は、南に広がる傾きに沿って、上に行くほど広がりが得られます。この家では、3階の床面積が一番大きい。空が身近に感じられるリビングダイニングです。

 壁が傾斜することによって生じる空間の広がりが、2階では浴槽上のヘッドレストとなり、3階ではキッチン背面の収納スペースとなります。建物を少し傾ける、ただそれだけのことで、同時にさまざまなメリットを引き出すことができました。

 この建物にどんな仕上げがふさわしいか、外装については検討を重ねました。曲面になじませるには板状の素材は向きませんし、北側上部は屋根と同様に雨風を受けるので、吹き付け仕上げでは耐えられません。FRP防水やコンクリート打ち放しなどが考えられますが、小さなかわいらしい建物にはふさわしくないように思われました。

 そこで考えたのが、1センチ角の白いモザイクタイルを張り詰める方法です。タイルは耐久性に優れた材料ですし、どこか懐かしい雰囲気を醸し出して、門前町の面影を残す街並みに似合います。小さな面が集積する表現は、建物のスケールと形にもぴったりでした。

 出来上がった建物を見た人は、「ひまわりのよう」とか、「お辞儀しているみたい」とか、いろいろな感想を述べてくれます。私たちとしては、そういう「形」を狙ったわけではありませんが、見る人のイメージを誘発することが、建物への愛着につながればいいと願っています。
(武井誠+鍋島千恵/TNA)

モザイクの家

建築データ
  所在地: 東京都目黒区
  家族構成: 夫婦+子ども1人
  竣工: 2007年3月
  敷地面積: 58.45平方メートル
  建築面積: 33.26平方メートル
延べ床面積: 84.50平方メートル
  構造・規模: 鉄骨造り、地上3階
  設計: 武井誠+鍋島千恵
  施工: 深澤工務店
  写真: 阿野太一
連絡先  
  TNA
  代表: 武井誠、鍋島千恵
  住所: 〒152-0023 東京都目黒区八雲5-10-19-3F
TEL: 03-5701-1901
FAX: 03-5701-1902
E-MAIL: mail@
tna-arch.com
URL: http://www.
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