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Housing File 126「小宇宙がちりばめられた家(小宇宙的砦)」

スキップフロアの秘密基地、高さと視線の操作で適度な距離感を生む


広いデッキテラスをもつ建物外観

田畑の合間に昔ながらの家が点在している市原市郊外の市街化調整区域に建つ。庭の利用に積極的な建て主のために、1階のリビングダイニングの外側に広いデッキテラスを設けた。建物と一体化させた駐車場の上は、寝室に続くバルコニーにしている


視覚的な広がりを重視した1階のリビングダイニングキッチン

1階はほぼワンルーム状のLDK。構造上必要な筋交いを空間のアクセントに活用している。スギを用いたすのこ状の2階ブリッジを介して上階とのつながりを感じさせるようにした


スキップフロアで小空間を結び付けた2階階段まわり

階段を上がったオープンな空間には段状に小さなコーナーをつなげた。手前はプレイコーナー1。3段上がったレベルにブリッジ、さらに2段上がったレベルにプレイコーナー2が続く


プレイコーナー1に隣接する小さな和室

プレイルーム1との間をスギの縦格子で緩やかに区切った和室。主に木の素材感を生かしたインテリアとしている中、天井面に用いた紫色の和紙クロスが変化を与える


書斎に利用しているプレイコーナー2

カウンターを造り付けたプレイコーナー2。ご主人の書斎に用いている。手すりをはじめ、梁(はり)や1階の柱、筋交いには地場産の山武スギを使用


二つの個室を結ぶブリッジ

2階の東西に並べた主寝室と子ども部屋をつなぐブリッジ。片勾配の天井に合わせて、床レベルの異なる空間を並べている。ブリッジの床面はすのこ状にし、光と視線が1階へと抜けるようにした


広いバルコニーを設けた2階主寝室

2階西側の主寝室。窓の外には駐車場の上部を用いたバルコニーが続く。右手奥には、天井高が低くなる形状を生かして大容量のクローゼットを用意した


 ワンルーム状のリビングダイニングキッチンを配した1階とは対照的に、2階の階段まわりは床レベルの異なる空間をつないで変化のあるつくりにしました。

 2階部分は南から北にかけて低くなる片流れの屋根をかけています。勾配天井に合わせて、小さな空間を段状に並べました。

 1階から直線状の階段を上がると、北側にプレイコーナー1と3畳の和室があります。階段から南側に3段上がるとすのこ状のブリッジが続き、両側に配した主寝室と子ども部屋へと導きます。さらにブリッジから4段上がると、細長いプレイコーナー2にたどり着くという構成です。

 北側の和室は、着付けをする奥さんのための部屋。ブリッジの上に設けたプレイコーナー2は、パソコンを置いたご主人の空間です。

 階段を挟んで3つのレベルに分けたプレイコーナー1と和室、ブリッジ、プレイコーナー2の間には、扉も間仕切りもありません。段差とスギを用いた縦格子の手すりによってあいまいに区切り、互いの気配を感じつつもそれぞれの家族が自分の時間を持てる場をつくり出しました。

 段差を持ち、見え隠れする空間は、小さいころに遊んだ秘密基地のようでもあります。実は設計を進める際のやり取りの中で、子どものころの思い出話が建て主からよく出てきました。小さいころにどんな場所でどのように遊んでいたか。そんな話を聞きながら、当時体験したような空間を提供できればいいなと思ったのです。

 一方、L字形のLDKを配した1階は、家族が一緒に過ごすための大空間です。現在の家族構成は、40代前半の建て主夫婦とまだ小さな子どもが1人。お子さんに対しても細かく目配りする夫妻のために、国産のムク材をはじめとした木を多用するなど健康にも気をつけました。

 LDKの空間のアクセントとなっているのは、キッチンの横に位置する筋交いです。構造上、壁が必要だったため、あえて筋交いと柱をそのまま表に見せるデザインとし、視覚的な変化をつけると同時に空間に広がりを与えました。ご家族は、筋交いのすき間を通り道にも利用しているようです。

 またキッチンの床はリビング部分に比べて1段低くしています。これは、リビングで遊ぶ子どもと目線を近づけるため。当初の設計案ではフラットだったのですが、工事中に奥さんの要望で床面を下げました。

 今回に限らず家の設計で常に心がけているのは、外部の広がりを室内に取り入れて居心地の良い空間を提供していくことです。屋外テラスを続けたり、中庭を家の中に抱き込んだり。敷地に制約がある場合はハイサイドライトを設置して光を取り入れるなどして、できるだけ開放感を得られるようにしています。

 この家でも、南に続く広い庭に向けて、リビングから続く大きなデッキテラスを設けました。南面した開口部には全開する折り戸式のサッシを採用しているので、窓を開くと室内とデッキテラスが一体化します。外部とのつながりを意識した伸びやかな空間を、家族で楽しんでいただけるとうれしいですね。
(石井ひろみ/アーキテラス)

小宇宙がちりばめられた家

建築データ
  所在地: 千葉県市原市
  家族構成: 夫婦+子ども1人
  竣工: 2006年4月
  敷地面積: 165.37平方メートル
  建築面積: 66.18平方メートル
延べ床面積: 111.30平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階
  設計: (建築)石井ひろみ/アーキテラス、(構造)佐藤淳/佐藤淳構造設計事務所
  施工: 大倉建築
  写真: 宮田知明(協力:主婦の友社「はじめての家づくり」)
連絡先  
  アーキテラス一級建築士事務所
  代表: 石井ひろみ
  住所: 〒130-0025 墨田区千歳1-1-14
TEL: 03-6315-4678
FAX: 03-6315-4678
E-MAIL: →こちら
URL: http://www.k5.
dion.ne.jp/~archi_t/
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