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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 128「Skip House」

9つのスキップフロアでつなぐ、職住併設の白い箱


道路に面して開いた南側外観

3人家族の住居に建て主夫妻の仕事のスペースを併設している。南北に細長い敷地に、間口3メートル、奥行き11.5メートルの箱形建物を配置。人通りの多い道路に面した2階にショールームを設け、作品を展示できるようにした


ショールームが浮かび上がった外観夕景

ご主人の製作するジュエリーのショールームが2階に浮かび上がる。1階部分の左側に見えるらせん階段が、2階ショールームと地下のオフィスにつながっている。右側に見える直線階段は住居スペースへと続く


階段の折り返し地点にある2階の居間

スキップフロアのもたらす奥行きと白くすっきりした仕上げによって面積以上の広がりを感じさせる2階居間。左の階段を下ると玄関、右の階段を半階上ると台所、さらに上がるとイラストレーターの奥さんが使うアトリエになる


2.5階の台所から居間を見下ろす

直線階段の踊り場に台所に設け、限られた面積を有効利用している。居間は北側にあるが、3面から入る光によって十分に明るい


洗面室とアトリエ

3.5階にある洗面室と、その下の3階レベルに位置する奥さんのアトリエ。玄関から最上階までスキップフロアで結んだ空間には間仕切りがなく、一筆書きのようにつながっている


自然光の注ぎ込む浴室と寝室

最上階の3.5階は水回りと寝室に充てた。斜線制限いっぱいに建てた建物の形が浴室の斜め壁に反映されている


入り口のらせん階段から続く地下1階のオフィス

1階の入り口部分と吹き抜けでつながる地下1階のオフィスは外光が差し込んで明るい。右手奥の直線階段を上がると、ご主人がジュエリーを製作するための工房がある


 ジュエリーデザイナーとイラストレーターのご夫妻、男の子1人という3人家族のための住まいです。57.56平方メートルの敷地に、居住スペースのほかジュエリーを製作するご主人の作業場とショールーム、奥さんのアトリエを併設しました。

 南北に延びる敷地に、細長い箱形の建物を置きました。この中に家族のスペースと仕事場を確保する際に、家族が独立しつつ互いの気配を感じられる空間にしたい。そこで、床面の高さが異なる9つの空間を立体的に組み合わせて、それぞれが一筆書きのようにつながる構成を考えました。

 南の道路に面した1階には、2つの入り口扉があります。右手の入り口扉は住居部分への導入部。ここからつながる上階部分は家族のためのスペースです。

 壁に沿った直線状の階段を上がると1.5階に玄関、さらに半階上がった2階に居間が続きます。この居間は動線の折り返し地点で、1.5層分の吹き抜け状になっています。

 居間の反対側の壁にはもう1つの直線階段が伸び、2.5階の台所、3階に設けた奥さんのアトリエへと導きます。さらにもう一度階段を折り返して上っていく3.5階には、寝室と浴室などの水回り空間を並べました。

 一方、1階左のらせん階段に続くスペースはジュエリーを作るご主人の空間。らせん階段を上がると2階のショールームが続き、下ると地下1階のオフィスと倉庫があります。このオフィスから再び直線状の階段を上がると1階の工房になります。この仕事スペースでは、ご主人のお兄さんが一緒に働いています。

 一般に階段は面積を取るので、小さな住宅にたくさんの階段を設けるのは非効率です。でもここでは、直線階段の踊り場に当たる部分を玄関や台所として活用することで、狭い空間をくまなく使い切りました。

 高さ方向もぎりぎりまで使っていますから、場所によっては頭がぶつかるのではないかと思うほど。でも、小さな空間を仕切らず高さ方向に変化を付けながら一続きにつなげているので、閉塞感を与えません。むしろ面積以上の広がりを感じさせています。

 実は、以前建て主家族が住んでいたマンションは140平方メートルありました。今回の家は110平方メートルですから30平方メートル小さくなったわけです。それでも、お兄さんには「広いですね」と言っていただきました。

 もちろん、広さと明るさを感じさせるように設計上細かい工夫も施しています。内装を白に統一したほか、窓まわりや什器(じゅうき)などの枠をできるだけ見せない納まりとし、視覚的にすっきりした印象に仕上げました。入居後1年たちますが、昼間は明るくて照明なしで十分とのことです。

 写真を見て、お子さんが階段から落ちるのではないかと心配する方もいらっしゃるでしょう。実際、階段部分にネットを張ろうかという提案もしましたが、相談の結果、まずは現状のままで使おうということになりました。住んでみると、子ども自身がきちんと注意して危ないことはしない。かえってお父さんに注意を促しているそうです。

 危険を防止することは大切ですが、過剰な安全対策は使う人の危険回避能力を低めてしまう恐れもあります。自分で気をつけて住みこなそうという意識を持っている人なら、今回のような空間もあっていいのではないかと思います。
(柳澤潤/コンテンポラリーズ)

Skip House

建築データ
  所在地: 東京都目黒区
  家族構成: 夫婦+子ども1人
  竣工: 2007年1月
  敷地面積: 57.56平方メートル
  建築面積: 34.50平方メートル
延べ床面積: 113.37平方メートル
  構造・規模: 鉄骨造り、地下1階・地上3階
  設計: (建築)柳澤潤/コンテンポラリーズ、(構造)鈴木啓/エーエスアソシエイツ
  施工: スリーエフ
  写真: 坂下智広
連絡先  
  コンテンポラリーズ
  代表: 柳澤潤
  住所: 〒154-0001 東京都世田谷区池尻 2-4-5 IID 204建築
TEL: 03-5430-7809
FAX: 03-5430-7812
E-MAIL: compo@
contemporaries.jp
URL: http://
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