TOPLiving Styleこだわりのデザイナーズ住宅

こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 130「もぐらハウス」

半地下とロフトと中庭で、小さな家にプラスαの空間を


新しい宅地に建つ藍色の家

完成したばかりの外観。これから周囲にも家が建ち始める予定だ。吹き付け塗装の外壁は黒に近い深い藍色。建て主の好きな色であり、汚れが目立ちにくい機能的な色でもある


中庭へ視界が開ける玄関ホール

玄関を入ったところ。正面に中庭の眺めが開ける。左手は廊下を兼ねたライブラリー。蔵書の多い建て主のため、壁面書架をしつらえた。小さなテーブルセットが置ける広さだ


高い木製フェンスに守られた中庭

2階予備室からテラス方向を見る。高い木製フェンスで囲われているので、カーテンをひかずに日の光や庭の緑を楽しめる。中庭にはジューンベリーやオリーブの木を植えている


大きな開口で視覚的な広がりを確保

2階LDKは中庭に面して全面開口。部屋の広さは14畳ほどだが、視覚的にはテラスとも一体に感じられる。テラスの下にはロフトと半地下の「もぐら部屋」がある


半地下とロフトの「おまけ」空間

1階廊下から半地下の「もぐら部屋」とロフトを見る。どちらも容積率から除外される、いわば「おまけ」の空間だ。上下合わせて約10畳のスペースを確保した


オリジナルの色で「我が家らしさ」をつくる

1階主寝室。壁の一面を、建て主と相談して調色したペイントで塗装した。写真では赤く見えるが、実際は抑えたサーモンピンク。リゾートホテルをイメージした


 都市部の敷地には、厳しい法規制限が課せられていることが少なくありません。敷地面積に対する建て坪の割合(建ぺい率)、延べ床面積の割合(容積率)の制限、道路や隣地への日差しを確保するための斜線制限や高さ制限などです。

 「もぐらハウス」の敷地は、約30坪の面積に対して建ぺい率50パーセント・容積率80パーセントという上限が定められていました。単純計算では、床面積24坪までしか建てられないことになります。

 それでも、建て主から相談を受けた時「なんとかなるでしょう」と答えたのは、法律の特例を利用することで、ゆとりを生むことは可能だと考えたからです。一定のルールに則(のっと)ってつくった地下室と小屋裏(ロフト)は、容積率の計算に含めなくてもいいことになっています。このボーナスを目いっぱい活用することにしました。

 一帯は開発されたばかりの宅地で、今はまだ周囲に空き地が目立ちます。しかし、将来は車1台分の路地を除いて、四方全部が囲まれる配置です。特に南は隣家の裏側を見ることになり、あまりいい眺めとはいえません。

 そこで、まず境界線に沿ってぎりぎりいっぱいに、壁とフェンスで囲んだ領域をつくります。効率のよい四角いアウトラインがつくれるのは、この敷地のいいところです。

 その南側中央を中庭とし、デッキを張って植樹しました。木製フェンスに囲まれて、この家だけの景色をつくります。

 中庭の東側は、建物を地下に半階分差し込んだ形になっています。中は2層で、名付けて「もぐら部屋」という地下室とロフト。容積率外の「おまけ」として、合わせて10畳ほどのスペースを確保しました。屋上は2階LDKと同じレベルで、ルーフテラスとして活用します。

 テラスと中庭によって南側が開けるため、1階まで日の光が差し込みます。半地下の「もぐら部屋」も中庭面に窓があります。外周をしっかり囲みながらも、家全体に光と風が行き渡るようになっているのです。

 主寝室は1階に。エントランスに続く廊下を広くとって、壁に書架をしつらえた「ライブラリー」としました。ここには、建て主が以前から持っているカフェテーブルを置く予定です。

 2階LDKの隣には、中庭に面した予備室もあります。現在は夫婦2人暮らしですが、将来子どもが生まれたら、ここを子ども室に充てる計画です。ロフトや「もぐら部屋」のようなユニークなスペースも、子どもには楽しい遊び場になることでしょう。

 若い建て主の常として、予算は潤沢ではありませんから、建材にお金はかけられません。贅沢(ぜいたく)な材料を使わずに個性を出す方法の一つとして、「色」があります。「もぐらハウス」では、主寝室の壁の一面と、階段の側壁に色を付けました。前者はリゾートホテル風のサーモンピンク、後者はブルーグレー。どちらも建て主と相談しながら調色したオリジナル色です。

 設計の場では、私は聞き役に徹します。これまで手掛けた家に案内したり、よもやま話をしたりする中で、建て主の思いや人柄を知ることが出発点です。こちらから提案するときも、私の考えを押しつけることは避けます。まず選択肢を示し、その長所短所を説明する。たいていの場合、建て主は正しい答えを選ぶものです。

 「もぐらハウス」の建て主夫妻もしっかりした価値観と美意識を持っていて、こちらも信頼できました。引っ越しを済ませた後、「本当に、世界に一つしかない、私たちだけの家ができました」と言っていただいたことが、とてもうれしかったですね。
(関本竜太/リオタデザイン)

もぐらハウス

建築データ
  所在地: 埼玉県新座市
  家族構成: 夫婦
  竣工: 2007年12月
  敷地面積: 100.03平方メートル
  建築面積: 49.68平方メートル
延べ床面積: 79.70平方メートル
  構造・規模: 木造、地下1階・地上2階
  設計: 関本竜太
  施工: 佐藤技建
  プロデュース: プロトハウス
  写真: リオタデザイン
連絡先  
  リオタデザイン
  代表: 関本竜太
  住所: 〒353-0004 埼玉県志木市本町6-21-40-1F
TEL&FAX: 048-471-0260
FAX: 0467-54-7035
E-MAIL: riota@
riotadesign.com
URL: http://www.
riotadesign.com/
平面図
おすすめ情報(PR)