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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 132「田崎さんの家」

整形の敷地に変形の家、街並みに楽しいすき間を残す


建物の両側に豊かな空地をつくる

道路から見た南側外観。建物をあえて斜めに配することで、東西両側に間口の広い空地をつくった。建て込んだ街並みの中でほっと一息つけるような、風通しのよい風景ができる。左側の2つのドアは1階賃貸住戸の入り口。右が建て主の住まいの玄関


2階に直行するエントランスホール

道路に面した建物の角の部分は、玄関から2階・3階の建て主の住まいに直行する階段になっている。三角に折り返す階段と高さのある開口部とで、明るくゆとりのあるホールに


華道教室を兼ねたリビングスペース

リビングスペースの天井高は3.2メートル。写真は段差のあるダイニングから見下ろしたところ。華道教室を開くため、リビングとダイニングを分けている


リビングと天井でつながるダイニングキッチン

キッチンからの見通し。写真右手がダイニング、カウンターの向こうはリビングにつながる。ダイニングキッチンはリビングより約1メートル高い位置にあり、腰壁の上の室内窓を閉め切ることもできる


天井高を抑えたダイニング

ダイニングはリビングより床レベルが高い分、天井高は2.1メートルと抑えられる。南面のリビングに対し北側の奥まった位置で、静かな落ち着いた空間


華やかな色を楽しむ3階エリア

3階プライベートゾーン。洗面カウンターの華やかな色合いは、華道家である建て主夫人が選んだ。左手奥はテラスに面したフリースペース。さらにその奥に寝室がある


天井高約3.5メートルの賃貸住戸

1階賃貸住戸の一つ。床レベルを上げたダイニングの真下に当たるため、天井高は約3.5メートル。その高さを生かしてロフトを設けている


 鉄筋コンクリートの3階建て住宅。1階は賃貸2戸、2階・3階が建て主夫妻の住まいになっています。

 周囲は古くからの住宅地で、かつては木造一戸建てが建ち並び、ところどころ空き地が残る、のどかな街並みだったそうです。けれども、最近は徐々にマンションや3階建て住宅に建て替えられ、建物の密度が高くなっています。

 地元出身の建て主は、打ち合わせ当初「どんどん建て込んできて、昔のゆったりした雰囲気が失われていくのが残念」と語りました。その言葉が、設計のきっかけの一つになっています。

 敷地は約10メートル四方、正方形に近い整った形をしています。そこに同じように四角い建物を建てると、外周にはこれといって使い道のない、細いすき間が残るだけ。それなら、建物をあえて斜めに変形させることで、もっと豊かなすき間をつくろうと考えました。

 三角に近い建物の、頂点に当たる部分を道路側に向けて置き、敷地の道路面を広く開きます。道路から見ると東西両側に、手前から奥へすぼまるオープンな前庭ができます。すき間の面積は変わらなくても、細く真っ直ぐなすき間よりずっと広く、より深く感じられます。さらに、北西側と北東側にも小さな三角形の空地を残しました。

 建物の東面に建て主の自宅玄関、西面に賃貸住戸の入り口を設ければ、互いのプライバシーも守れます。賃貸住戸にも、小さいながら庭ができました。

 周囲の隣家やマンションは、敷地境界線や道路に対して水平・垂直に建っています。そのどれに対しても正対することがないので、窓からの視線がずれ、人目が気にならなくなるメリットもあります。

 建て主夫人は自宅でお花を教えており、その教室とLDKの関係が、設計のもう一つのポイントになりました。ご主人の在宅中に生徒が来てもお互い邪魔にならないこと、日常は教室もLDKの一部として使えること。2つの希望の両立が課題でした。

 1階の玄関から階段を上がると、まず教室を兼ねたリビングに入ります。ここは天井高が3.2メートルあり、床から天井までの大きな開口部に面しています。ダイニングキッチンも同じ空間にありますが、リビングより床を約1メートル高くしました。これだけ段差があると、それぞれの場所で同時に違うことをしていても、あまり気になりません。

 さらに、ダイニングキッチンとリビングの間には腰壁があり、室内窓も付いているので、閉め切れば完全に独立した空間になります。逆に、開け放っておけば連続して広々と使うことができます。

 リビングの両端からダイニングキッチンに上れる回遊動線なので、相互の行き来はスムーズ。ひとつながりのLDKに、さまざまな居場所と使い方のバリエーションが生まれます。友人の多い建て主にとっては、ホームパーティーにも便利だと言っていただきました。
(西久保毅人/ニコ設計室)

田崎さんの家

建築データ
  所在地: 東京都練馬区
  家族構成: 夫婦(+賃貸住宅2戸)
  竣工: 2007年5月
  敷地面積: 103.06平方メートル
  建築面積: 54.99平方メートル
延べ床面積: 142.45平方メートル
  構造・規模: 鉄筋コンクリート造り、
地上3階
  設計: 西久保毅人
  施工: 新建築工房
連絡先  
  ニコ設計室
  代表: 西久保毅人
  住所: 〒167-0043 東京都杉並区上荻1-16-3 森谷ビル5F
TEL: 03-3220-9337
FAX: 03-3220-9337
E-MAIL: nishikubo@niko-arch.com
URL: http://www.
niko-arch.com/
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