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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 133「あざみ野南の住宅」

ロフト、テラス、書斎……、さまざまな居場所を設ける


窓の配置でアクセントをつけた北側外観

敷地は新築が進む分譲住宅地の一角にある。敷地形状に合わせ、南北に細長いシンプルな建物を配した。1階は子ども部屋、2階は吹き抜け状の書斎が道路に面している


切り取った空が見えるリビングダイニング

屋根の一部を欠き取り、大きな窓から空の風景を取り込んだリビングダイニング。リビングダイニングの外に続くテラスの上には、眺望の良い「ビューテラス」をもう一つ用意している


腰壁を立ち上げて独立性を高めたロフト

リビングダイニングと吹き抜けでつながるロフト。周囲の壁を手すりの高さまで持ち上げて下階への視線を遮り、落ち着いた雰囲気を生み出した。左奥の通路はビューテラスへ続く


ツーバイテン材の連なりを強調したリビングダイニング

2階のリビングダイニング。斜めの天井には構造材であるツーバイテン材を化粧垂木(たるき)としてそのまま見せ、空間にリズム感を与えた。左の大きな開口部の上部は、ビューテラスから直接窓掃除ができるようにしている


ロフトへの入り口となる書斎

キッチンの北側に続けて書斎を配置した。小さなスペースは適度な居心地の良さと、キッチンにいる人と互いに視線が通じ合うという安心感をもたらす。また引き戸を閉めると独立した空間にもなる(*)


風の通り道にもなる1階廊下と夫婦寝室

玄関を入ると廊下が延び、二つの子ども室と夫婦寝室(正面の和室)が並ぶ。夏もエアコンを入れずに過ごしたいという要望を受け、寝室からの風が廊下や階段を通って2階へ抜けるようにするなど立体的な風の通り道を確保した


モルタルで壁を仕上げた浴室

1階の浴室では壁面にモルタルを用いた。高価な仕上げではないが、ユニットバスで使われる樹脂とはひと味違う質感を味わえる(*)


 家の中心は、吹き抜け状のリビングダイニングと、吹き抜けの中央に浮かぶように置いたロフトです。

 南北に細長い形をした家の2階に、リビング、ダイニング、キッチン、書斎を南から北まで一続きに並べました。天井が低くてもかまわないキッチンの上部にロフトをかけ渡しています。

 ロフトは、特に用途を決めない場所が欲しいという建て主の希望もあってつくりました。現在は子どもが友だちを呼んで遊んだり、家族の語らいに使ったりしているそうです。

 ロフトをつくる場合はたいてい、細い手すりを取り付け、視覚的に下の部屋とのつながりを意識することが多いでしょう。でもここではあえて手すりの高さまで壁を立ち上げ、落ち着いて過ごせる独立性の高い空間としています。ロフトに座るとリビングダイニングは直接見えず、声と人の気配だけが伝わります。

 吹き抜けを覆う斜めの天井は、ツーバイテン材を化粧垂木(たるき)としてそのまま見せています。ツーバイテンは2×10インチ(38×235ミリ)の断面を持つ価格の手頃な構造用木材です。細く奥行きのあるツーバイテン材を303ミリという短い間隔で並べ、天井面にリズム感を生み出しました。

 設計に当たって中学生と小学生のお子さんを持つ建て主夫妻が望んだのは、「普通の家」とすること。特に目立つようなデザインは好まない一方で、眺望や風通しなど居心地の良さに対するこだわりを強くお持ちでした。

 例えば、ご主人は自然を楽しむ家をイメージしていました。そこで室内から空を見せるため、リビングに面した東側の屋根に穴を開けました。その下にはロフト階と2階にそれぞれテラスを置いて、室内のリビングを含めたいろいろな場所から、切り取った空を楽しめるようにしたのです。

 またキッチンの北側に続く2階の書斎は、家で仕事をする奥さんの仕事場として考えたものです。現在は小学生の息子さんが勉強に使うことも多いようですね。キッチンから書斎にいる子どもの様子を見られますし、北側の窓から安定した光が入るため作業をするにはちょうど良い環境となっています。

 このように、家の中には異なる雰囲気を持つ様々な場を意識して確保しました。つながってもいるし独立してもいるような空間です。二つのテラスも、ロフトに続く上階のテラスでは眺望を楽しみ、下階のテラスではリビングとつながるという具合に、空間の持つ意味合いを変えています。

 全体ががらんとした大空間は、見た瞬間にダイナミックさを感じるものです。でもここでは、そうした瞬間的な驚きを与えようとは考えていません。ちょっとした“行き場”を散りばめることで、それぞれで心地良く過ごせる住まいを目指しました。
(森吉直剛/森吉直剛アトリエ)

あざみの南の住宅

建築データ
  所在地: 横浜市青葉区
  家族構成: 夫婦+子2人
  竣工: 2007年4月
  敷地面積: 142.98平方メートル
  建築面積: 54.65平方メートル
延べ床面積: 106.82平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階+ロフト
  設計: (建築)森吉直剛/森吉直剛アトリエ、
(構造)本岡淳一/本岡構造設計事務所
  施工:
  写真: ナカサアンドパートナーズ(*付きは除く)
連絡先  
  森吉直剛アトリエ
  代表: 森吉直剛
  住所: 〒104-0061 東京都中央区銀座1-3-3 東亜ビル10階
TEL: 03-3567-6511
FAX: 03-3567-6515
E-MAIL: info@
moriyoshi-a.com
URL: http://www.
moriyoshi-a.com/
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