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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 138「中野のコートハウス」

らせん階段を納めたガラスの箱で、南面の開口を支えるコートハウス


左官壁とフレキで和の印象をつくる外観

南の道路側外観。1階部分は不燃材のフレキシブルボードを板状に並べ、木の壁のように見せた。2階はざっくりとした質感のある珪藻土(けいそうど)の左官壁。縦格子の開口部は引き戸で閉め切ることもできる


人目を気にせず外光を楽しむ明るいLDK

2階LDK。南側は高い壁に守られた中庭に面し、隣家の目を気にすることなく、いつも開け放って過ごせる。中庭右手は子ども室。中央のらせん階段は1階玄関に通じる


プライベートな屋外環境をつくる中庭

中庭夕景。ヤマボウシを植え、飛び石を配した和の趣のある中庭は、近隣のけん騒から隔絶された、プライベートな屋外空間。らせん階段や寝室、LDKはすべてこの中庭に面している


建具で簡単に仕切れる2階子ども室

2階子ども室。写真手前は中庭に面している。中ほどの鴨居に建具を入れれば2つに仕切れるようになっており、奥はスリット窓と壁沿いのトップライトで光を補う。壁は土佐和紙で、汚しても張り替えられる


しっとりとしたモダン和室

客間を兼ねた1階和室。ふすま紙の代わりに生(き)成りのインドシルクを張った収納扉。縁なしの畳、縦さんのみの障子で、和風すぎない雰囲気に。地窓の向こうには小さな坪庭がしつらえられている


遠く富士山を望むペントハウスのような書斎
3階にはペントハウスのような書斎がある。写真右手にはルーフバルコニーが続く。天気が良ければ、ここから富士山が見えるそうだ


 敷地は約36坪。周囲には2階建ての木造住宅が建て込んでいます。「外に対しては閉じた家がいい」というのが建て主の希望でした。それでなくても、ここには中庭形式のコートハウスがふさわしいと思います。

 近くに川が流れており、地盤があまり良くないので構造には軽量の木造を選びました。高さ5.9メートルの壁で囲った長方形の建物とし、その内側に中庭をつくって南の光を取り入れます。

 南側のほぼ中央にあたる部分にらせん階段を配し、その周りを12センチ角の柱でできた格子状の壁で囲みました。格子の外はガラス張りで、階段を納めたガラスの箱のようになっています。この格子を構造上の重要な核とすることで、木造でありながら大きな開口が可能になり、中庭に面した居室の窓には柱や筋交いなどの目障りな構造体は必要なくなります。

 1階は、道路面のドアを開けて中庭に入り、さらに路地のような小さな庭を通って玄関に至ります。道路と玄関の間にワンクッション置くことは、気持ちを切り替えるために大切だと考えています。

 ホールかららせん階段を上がると、2階は生活の中心となるLDK。日当たりが良く、しかも高い壁で守られているので、周囲の視線を気にすることなく安心して開放的に過ごせます。南面の大開口のほか、北側から東側にかけての壁面に沿って細く、L字型にトップライトを切ってあり、刻々と変化する光が壁を照らして、美しい表情を見せます。

 リビングの道路側壁面は外壁と同じ珪藻土(けいそうど)の左官壁で、トップライトの光が微妙な陰影を描きます。手仕事の跡が残る仕上げは、近くで見るのと遠くで見るのとで表情が異なり、距離感を感じさせてくれるものです。

 LDKに隣接する子ども室にも、同じように壁際にトップライトを入れています。こちらの壁紙は土佐和紙。同じ生(き)成りの白でも、左官壁とはまた違う趣です。なにがなんでも自然素材を使わなければならないとは思いませんが、やはり天然の材料は質感が豊かです。

 キッチンは、これら2階空間の中央にあたり、正面に中庭を望みます。ここにいれば家族の出入りが分かり、同じように中庭に面した子ども室の様子もうかがえます。

 住まいのありようは家族同士の距離のありようにつながります。子どもが親に監視されているように感じるのは良くないけれど、親が子どもの行動を把握できないのも困る。お互いの気配がなんとなく伝わる配置や動線、居心地が良くて家族がおのずと集まるような共有空間のつくり方に、いつも気を配っています。

 この住宅の格子戸や路地、坪庭や縁側のようなバルコニーは、和のイメージととらえられるかもしれません。見た目を和風にしようという意図はないのですが、結果として和の雰囲気を醸し出すものになっています。日本の気候風土に合った設計を心がけると、結局、日本の伝統的な住宅に似るということでしょう。
(高野保光/遊空間設計室)

中野のコートハウス

建築データ
  所在地: 東京都中野区
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2007年8月
  敷地面積: 120.18平方メートル
  建築面積: 70.79平方メートル
延べ床面積: 136.70平方メートル
  構造・規模: 木造、地上3階建て
  設計: 高野保光/遊空間設計室
  構造設計: 山崎亨構造設計事務所
  プロデュース: ザ・ハウス
  施工: 渡邊技建
  写真: 石井雅義
連絡先  
  遊空間設計室
  代表: 高野保光
  住所: 〒167-0022 東京都杉並区下井草 1 - 23 - 7
TEL 03-3301-7205
FAX 03-3301-7265
E-MAIL: info@
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URL: http://www.
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