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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 145「小田原の家」

広い敷地を切り取り、中庭を囲むプライベート空間を創出


U字形に中庭を取り囲む建物

中庭を取り囲むU字形の建物は、実家の建つ東側に向けて開き、左(南)側の大きな道路に対しては閉じた空間構成とした。右側の2階建て部分にリビングダイニングや個室をまとめ、左の平屋部分にはご主人のための自転車部屋を置いた


プライベートな感覚を保ったウッドデッキの中庭

建物に囲まれた中庭と外庭の間にはキャノピー(ひさし)が延びる。内外はオープンにつながっているが、キャノピーが視覚的な仕切りとなって中庭のプライベートな雰囲気を強めている。リビングや自転車部屋には中庭から直接入っていくことも多いとか


中庭との一体感を備えたリビングまわり

1階リビングダイニングから中庭方向を見る。中庭越しに自転車部屋の様子を感じ取れる。自転車部屋の棟が表通りからの視線を遮断しているため、中庭ではゆっくりくつろげる


広がりと明るさをもたらす吹き抜けまわり

1階のリビングダイニング吹き抜け。階段の右手に続く2階部分は主寝室。主寝室には南面する開口がないため、吹き抜けを通じて明るさを取り込んだ


リビングダイニングとつながる主寝室

2階の主寝室。腰窓を開くと、リビングダイニングの吹き抜けと一体化する。左の扉奥はクローゼット


ルーフデッキからの光が入り込む洗面室
2階のルーフデッキに面して洗面室と浴室(右奥)を配した。ルーフデッキは1階和室の上部を利用したもの。ルーフデッキに出ると、中庭越しに周辺の風景を楽しめる


独立性の高い自転車部屋

中庭を挟み、家族の生活空間から距離を置いて配置した自転車部屋。コンクリート打ち放しに自転車を並べた空間は、ご主人が日々のトレーニングに励む場となる



 広々とした敷地の中で建物をU字形に配し、中庭を中心としたプライベートな空間を生み出しました。

 敷地は、畑がまだ多く残り、住宅の開発が少しずつ進む小田原市郊外に位置しています。222平方メートルという広い敷地に対し、建て主が求めた家の面積は120平方メートル程度。敷地に比して小さな家をどのように配置するかが課題となりました。

 普通なら、道路に面した南側に広い庭をつくろうとするでしょう。ただ、人通りが少ないとはいえ、南側の道路に向かって開くと落ち着いた空間にはなりにくい。外からの視線を遮るには樹木をたくさん植えればいいのですが、そこまで手間とコストをかけるのは大変です。

 そこで、夫婦と娘一人という家族にふさわしい規模を敷地内に切り取り、心地良い空間を提供することを考えました。敷地のほぼ半分はそのままの状態で残し、残りの半分に中庭を取り囲む生活空間をつくったのです。

 中庭は、東側に建つ実家に向けて開きました。開放的でありながら、南側の道路に対しては閉じているので落ち着ける空間となっています。外に開いた側にはキャノピー(ひさし)を配し、囲われている感覚を強めました。

 もう一つ設計上のポイントになったのは、ご主人のための自転車部屋です。ロードレースに参加しているご主人にとって、自転車は趣味を超えたライフワークとも呼べる存在です。

 毎日、自転車の整備やトレーニングを行う部屋は、自転車の音やにおいを考えると生活空間とは少し離した方がいい。しかし、完全に隔絶するのではなく、トレーニングなどをしながら家族の様子を感じられるようにしたいというのがご主人の希望でした。

 こうした要望を踏まえ、中庭を挟んで家族の生活空間と自転車部屋を配しました。適度な距離を確保しつつ、中庭越しに互いの様子も見られます。これも、中庭形式が生むメリットの一つです。

 生活空間は、中庭の北側に集約しました。1階は、玄関に続けてリビングダイニングとキッチン。2階には、主寝室と子ども部屋、さらにルーフデッキに面した洗面室と浴室を並べました。

 生活空間は北側にまとめているので、例えば2階の主寝室には南面する窓がありません。北側や東側の窓に加え、リビングダイニングの吹き抜けに面した開口から光を取り入れるようにしています。

 しかし、南側の配置にこだわらなかったからこそ、中庭を囲んだコミュニケーション重視の家が実現しました。常識にとらわれず、発想を少し変えることも心地良い家づくりには大切です。
(長浜信幸/長浜信幸建築設計事務所)

小田原の家

建築データ
  所在地: 神奈川県小田原市
  家族構成: 夫婦+子ども1人
  竣工: 2006年4月
  敷地面積: 222.74平方メートル
  建築面積: 76.39平方メートル
延べ床面積: 119.04平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
  設計: 長浜信幸/長浜信幸建築設計事務所
  プロデュース: OZONE家づくりサポート
  施工: 大同工業
  写真: 冨田治
連絡先  
  長浜信幸建築設計事務所
  代表: 長浜信幸
  住所: 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-20-10 ストークプラザ諏訪台208
TEL 03-3205-1508
FAX 03-3205-1509
E-MAIL: nagahama-archi@
s6.dion.ne.jp
URL: http://www.
nagahama-archi.com/
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