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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 147「千歳台の2世帯住宅」

床と天井高の変化が示す上下の関係、互いの存在をさりげなく伝える家


軒が陰影を生み出す南側ファサード

親夫婦と建て主夫婦の住戸を上下に重ねた2世帯住宅。2階の建て主夫婦住戸の玄関前には、飼っている犬のための足洗い場を設置した。屋根から続くグレーの外壁は、隣接する建物からの視線を遮る役割も果たす


2階住戸へのアプローチとなる外階段まわり

上下の住戸は完全な独立形とし、玄関へのアプローチも分けている。右手のガラスブロックの内側には中庭が続く


上下の住戸を結び合わせる中庭

1階玄関の横に、ハナミズキを植えた中庭を用意した。真っすぐに伸びていくハナミズキは各住戸からそれぞれ望むことができ、上下のつながりを意識させる


中庭と一体化する1階リビングダイニング

親夫婦のリビングダイニングから中庭を見る。リビングダイニングの一部天井を廊下側より400ミリ高くして、空間に変化と広がりを与えた。天井面の高さを変えた個所は間接照明などに利用している


必要な機能をコンパクトにまとめた2階リビング

2階の建て主夫婦のリビング。小上がりになった畳空間が続いている。ロフトへ導く階段まわりにテレビ台や収納スペースを納めるなど、空間を最大限に利用した。露出した梁(はり)にはカーテンレールや間接照明を埋め込んだ


斜め天井を生かした2階の吹き抜け空間
ロフトからの見下ろし。右側の畳部分は400ミリ床面を上げている。これは1階のリビングダイニング天井の高い部分に対応させたもの。畳の縁に腰掛けられる


 1階に親夫婦、2階に建て主夫婦の住まいを重ねた2世帯住宅です。2階の玄関は外部階段からアプローチするようにしており、上下の住戸は完全に独立した形をとりました。

 ただ、こうした構成の中でも、互いの存在を意識させる空間のつくりを実現させています。1階では部屋の用途に合わせて天井の高さを変え、これをそのまま2階床の高さに反映させたのです。上下住戸の境界となる床面を地形のように変化させ、この“境界の地形”によって緩やかで幸福な両者の関係を暗示させました。

断面図


 例えば、1階のLDKは一部分の天井を400ミリ高くして2800ミリの天井高を確保しています。天井を高くした部分の2階には、リビングに続く琉球畳の小上がり空間を配置しました。床面を400ミリ上げた畳スペースの縁は腰掛けとして利用でき、リビングのソファに座った人と視線の高さを合わせられます。

 逆に、1階北側の寝室は天井高を抑えて2200ミリの高さに納めました。その分、真上に配した2階の主寝室は床面を200ミリ下げています。建物の北側は斜線制限に合わせた傾斜屋根を採用したため、主寝室の端部は天井高さも低くなっています。床面を下げることで、天井の低い空間にも無理なく部屋を納められました。

 また、ご両親は高齢なので、1階は段差がなく廊下の幅も広いバリアフリー仕様としています。でも、だからといって平板な箱形空間の連続では単調でしょう。部屋に合わせて天井高を変えたのも、心地良く多彩な空間を提供したかったからです。

 子夫婦の住戸では、床の高さの変化に伴う上下の動きを受け入れることで親住戸の空間の多彩さを確保しています。同時に下階では、天井を見上げると2階の存在を意識できます。“境界の地形”の存在が、親への孝行と子への感謝というそれぞれの気持ちを日常的に思い起こさせ、両者の「緩やかで幸福な関係」を保つのです。

 玄関の横には中庭をつくりました。ハナミズキを植えたこの中庭は、それぞれの住戸から眺めることができます。この小さな空間も、上下階を結び付ける役割を果たしています。

 東京・世田谷区の住宅地にある敷地は、道路に対する間口に比べ、奥行きは深い形状です。建て主からの要望には、計3台の駐車スペースを確保したいという話もありました。縦列駐車をしないで済むように、ここでは道路から直接出入りできる3台分の駐車スペースを用意しました。

 道路側を駐車スペースに使うと、住戸は北側に寄せることになります。斜線制限による影響が大きくなるなか、各部屋を納めていく必要が生じました。

 2階の床面に段差をつけ、天井高の異なる部屋を立体パズルのように組み合わせたのは、このように限られた空間を有効活用するためでもありました。特に2階のリビングまわりは、吹き抜けに連続させたロフトへの階段を収納やテレビ台とするなど、無駄のない空間利用を図っています。
(相坂研介/相坂研介設計アトリエ)

千歳台の2世帯住宅

建築データ
  所在地: 東京都世田谷区
  家族構成: 夫婦+親夫婦
  竣工: 2008年9月
  敷地面積: 164.70平方メートル
  建築面積: 61.69平方メートル
延べ床面積: 118.40平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
  設計: 相坂研介/相坂研介設計アトリエ
  施工: ベルクハウス
連絡先  
  相坂研介設計アトリエ
  代表: 相坂研介
  住所: 〒102-0083 東京都千代田区麹町1-3-11-202
TEL 03-6380-9140
FAX 03-6380-9141
E-MAIL: aisaka@aisaka.info
URL: http://www.
aisaka.info/
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