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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 148「戸塚の家」

敷地の高低差を生かして実現した、眺めのいいリビングと愛車用ガレージ


水平ラインを強調した外観

道路側外観。敷地は傾斜地にあり、外階段を上がりきったところが敷地面にあたる。道路と同じレベルには駐車場のみ設けた。敷地の段差に沿って屋内の床にもレベル差があり、その水平ラインを外観の表情に反映させている


愛車と親しむ隠れ家的なスペース

ガレージの隣に設けた、「デン」と呼ばれる小さなスペース。車好きの建て主が愛車のそばで過ごすための、隠れ家のような空間だ。写真奥の階段を上がると1階玄関に至る


立地を生かした眺望のルーフテラス

LDK以上の広さがあるルーフテラス。高台の立地を生かし、隣家の屋根越しに景色が望める高さまで持ち上げている


ルーフテラスとつながる開放的なリビング

2階リビングからルーフテラスを望む。窓が隣家の屋根の高さなので、互いの視線を気にすることなくカーテンを開け放っておける。段差部分の左の壁には引き戸が仕込まれており、必要に応じて仕切ることができる


段差が空間の変化を生む2階LDK

ルーフテラス側からLDKを見る。建物全体の高さを抑えるため、LDKはルーフテラスより床を低くしている。単純な長方形の空間だが、ルーフテラスとつながり、なおかつ段差があることで、視覚的な変化が生まれる


湯船につかって庭を眺める浴室
1階浴室は中庭的な「ライトコート」に面している。床を落とし、浴槽の高さを庭にそろえた。洗面脱衣室もゆったりと広く、湯上がりの休憩にも、物干し・アイロン掛けなどの家事にも使える


 この住宅では、建て主と一緒に土地選びから取り組みました。敷地は40年ほど前に造成された宅地で、全体が傾斜地なので眺望が期待できるのが利点です。予算内で買える土地としては面積も広い。ただ、建ぺい率(敷地に対して建てられる面積の比率)が厳しいので、あまり大きな建物は建てられません。購入時には古家が建っていましたが、敷地が道路より1メートルほど高くなっているため、駐車場はありませんでした。

 建て主の愛車と、家族が日常の足に使っている車、2台をとめるには、敷地を削って道路の高さに合わせなければなりません。しかし、土を掘って処分することにあまり大きなお金はかけたくない。駐車スペースの分だけを道路の高さにしました。建ぺい率の中に収めるため、建物内のガレージは愛車1台分のみで、日用の車の駐車場は露天です。

断面図


 玄関と寝室・子ども室、サニタリー空間は1階にあります。地面を一部削ってガレージをつくったことが、各部屋の床の高さに影響しています。

 南側のガレージの上は子ども室。窓が道路よりずっと高くなるので、通行人にのぞかれる心配がありません。北側の寝室とサニタリー空間は、本来の地面につくった庭、「ライトコート」に面しています。寝室の床の高さはこの庭にそろえました。一方、浴室は、湯船につかったとき庭が眺められるようにしたい。そのために、床を地面よりやや低くしました。結果として、1階は部屋ごとにすべて床の高さが違います。



断面図


 子ども室の上にあたるルーフテラスが、この家で最も高い位置にある「床」です。この高さは向かいの住宅の屋根の高さに相当します。遠くまで眺望が開けると同時に、プライバシーも守られます。

 ルーフテラスは屋内に入り込み、1段下がって2階LDKにつながります。この床の段差は、1階の段差が反映されたもの。2階の床レベルをそろえようとすると、建物全体が大きくなってしまうので、建築コストに響きます。それより、テラスとリビングに段差をつけた方が効率が良く、空間に変化が生まれます。

 全体としてはさほど大きな家ではないのですが、どの部屋にいても、割合ゆったりと感じられるはずだと思います。その理由は、予備のゲストルームや和室などを省いているから。間取りは、いわば「2LDK」です。

 部屋数を抑えた代わりに、テラスとLDKの段差部分を、引き戸で仕切れるようにしておきました。親戚や友人が泊まりに来たときは、ここをゲストルームに充てればいいわけです。引き戸は普段、壁の中に引き込んでおけるので、空間の広がりを妨げることはありません。LDKとルーフテラスが視覚的につながり、しかも大きな開口部は外からのぞかれる心配がなく、いつも開け放したままで過ごせます。

 建て主は、設計に細かく注文をつける方ではなかったので、こちらからいろいろと提案させてもらいました。ここでは、地形をいかに利用するかが発想の鍵になりました。また、建て主によって、外観やインテリアなどのイメージにこだわる方なら、CGを利用して仕上がりをビジュアルに提示し、検討を重ねることもあります。建て主のタイプや、敷地や予算などの条件に応じて、設計の内容も手法も柔軟に対応するようにしています。
(弓場章史/弓場章史建築設計事務所)

戸塚の家

建築データ
  所在地: 神奈川県横浜市
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2007年1月
  敷地面積: 150.36平方メートル
  建築面積: 64.59平方メートル
延べ床面積: 115.93平方メートル
  構造・規模: 木造、地下1階・地上2階建て
  建築設計: 弓場章史建築設計事務所
  構造設計: 別府建築構造設計事務所
  設備設計: 宇田川建築設計事務所
  プロデュース: LDKホーム
  施工: 東京プロパティマネジメント、神永工務店
連絡先  
  弓場章史建築設計事務所
  代表: 弓場章史
  住所: 〒171-0022東京都豊島区南池袋3-18-42ハトヤビル201
TEL 03-3989-8522
FAX 03-5911-2511
E-MAIL: ayuba@yuba-arch.com
URL: http://
yuba-arch.com/
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