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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 149「M邸」

斜面をまたいで延びる木造建物、内外をつなぐ工夫を随所に


敷地から浮かび上がるように建つ建物の東面

道路から段々に高くなっている変形敷地の上に、ふわりと浮かべるように木造建物を載せた。基礎となる鉄筋コンクリート部分は、駐車場と玄関として利用


段状の庭に沿わせたスキップフロアの構成

2段に造成された庭から見た建物。外に張り出した広縁が、建物の内外を結び付ける。集成材を使った木造ラーメン構造を採用し、床から天井までの大きな開口部を確保している


外部吹き抜けを介してつながるリビングとダイニング

1階のリビングからダイニング方向を見る。間に、内庭のような吹き抜け空間を挿入した。家のあちらこちらに外部空間を取り込むことで、変化と広がりを与えている


スキップフロアの結び目に位置する吹き抜けのリビング

リビングを半階下がるとホビールーム、半階上がると2人の子どもたちの部屋が続く。段差が、ひとまとまりにつながった空間に適度な距離感を生み出す。ホビールームの上はロフトとして活用


外部空間の吹き抜け

ダイニングとリビングの間に設けた外部吹き抜け。木の縦格子で外部からの視線を遮り、内庭のような空間に仕立てた


移動家具で間仕切りできる2階子ども室
2人の子どものための部屋。写真の左に並んでいる移動家具の配置によって、2部屋に間仕切りすることもできる


 “日本のデンマーク”とも呼ばれる愛知県安城市は、水平な地形が広がる地域です。そんな田園風景の中に、珍しく段差をもつ敷地がありました。土地は道路面から持ち上がり、道路面との高低差は最大2.4メートル。これが、4人家族の住むM邸の敷地です。

 敷地は2段に造成されていました。道路に面して1.2メートルほど高くなった三角形の平地があり、小さな斜面を経てさらに、1.2メートル高い長方形の平地が続きます。

 通常なら、平地部分に建物を建てようと考えるのでしょう。でも、そうすると庭として残るのは使いにくい斜面です。そこで発想を逆転させ、傾斜地をまたぐように建物を配置し、使いやすい平地を庭に充てました。

 まず、道路と同じレベルに鉄筋コンクリートの基礎を建て、その上に木造の建物を載せました。鉄筋コンクリート部分は駐車場と玄関に利用します。地面から浮かせた建物は道路に沿って折り曲げ、広く残した段状の庭を囲むようにしました。

 木造の建物は、土地の段差に合わせてスキップフロア状に延びていきます。1階は、半階下がった側に主寝室とご主人のホビールーム、半階上がった側に吹き抜け状のリビングダイニングや水回りを配置。2階には、計画当時、小学生だった長男と長女の部屋を並べました。

 設計する際に意識したのは、傾斜した敷地を生かしながら、家の中の暮らしとリンクさせることです。段差のある庭のうち、低い庭はホビールームと、高い庭はダイニングとそれぞれ一体化します。

 同時に、内外の空間をいかに結び合わせるかも考えました。

 周囲の気持ち良い田園風景と家の空間を切り離してしまってはもったいない。建物を敷地から浮かせてすき間をつくったのは、道路と庭を視覚的につなげ、より広がりを感じさせたいという狙いもあったからです。

 リビングとダイニングの間には地下階から空へと抜ける外部空間を挿入しました。木格子で覆った外部空間は道路からの視線を遮りつつ、内外を緩やかに結び付けます。1階の南面には広縁を回し、庭に出やすいようにしました。

 敷地から浮き上がった建物の形状は、コスト上のメリットにもつながっています。例えば、斜面を大量に削ったら、その分の工事費がかかってしまうでしょう。

 同じお金を費やすのなら、「この土地を買って良かった」と思っていただけるような建物を建てるのが設計者の役目。土地の条件をうまく生かして、その場所だからこそ可能な家を常に提供したいと考えています。
(平野恵津泰/ワーク・キューブ)

M邸

建築データ
  所在地: 愛知県安城市
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2006年7月
  敷地面積: 225. 05平方メートル
  建築面積: 118. 96平方メートル
延べ床面積: 129. 04平方メートル
  構造・規模: 木造、地下1階・地上2階建て
  設計: 平野恵津泰/ワーク・キューブ
  施工: 冨士木工
連絡先  
  株式会社 ワーク・キューブ
  代表: 桑原雅明
  住所: 〒466-0059 名古屋市昭和区福江1-7-2
TEL 052-872-0632
FAX 052-872-0633
E-MAIL: workcube@
workcube.jp
URL: http://www.
workcube.jp/
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