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Housing File 153「日野の家」

薪ストーブのある「通り土間」を、生活と機能の中心に据える


芝屋根の見える西側外観

緩やかな階段で玄関にアプローチする道路側の外観。平屋部分の緩やかな傾斜屋根には芝を植えている。芝屋根の上は風が通り眺めもいいので、寝転びながら過ごすと気持ちいい。自動散水装置を設置


家の中心を貫く通り土間

玄関から延びる通路状の土間(通り土間)。吹き抜けを介して、上下階が一体につながる。上に見えるルーバー床を通って芝屋根の上に出られるようにしている


通り土間と間仕切りなしで連続する居間・食堂

居間から食堂と玄関の方向を見る。居間・食堂と通り土間は間仕切りのないワンルーム状の空間とし、腰や胸までの高さの棚でコーナーを仕切った。漆喰(しっくい)の壁と、茨城、栃木、福島3県にまたがる八溝山系のスギの構造材を現しにした室内


離れ風に続く「畳の間」

居間から「畳の間」を見る。間に通り土間が走っているため、一体的な空間の中にありながら、畳の間にいると“離れ”のような適度な距離感を得られる。右手に見える白い円柱は、屋根面で集めた熱を床下に送り込むダクト


明るい日差しが差し込む居間と薪ストーブ

通り土間の端には薪(まき)ストーブを設置した。居間の床に腰掛けてくつろぐこともできる。正面に見える南面の開口部には木製建具を使用している


“連続空間の一角を占める2階のPC図書コーナー
2階の階段脇の空間は、書棚と細長い造り付け机をしつらえたコーナーとした。通り土間の吹き抜けの先には、芝屋根の緑が見える

 この家の中心となるのは、南北を貫くように配した「通り土間」です。

 北の玄関を入ると幅1間(1.8メートル)の土間が南にある庭まで一直線に延び、訪れた人を奥へと導きます。庭につながる出入り口の横には薪(まき)ストーブを設置。通り土間の両脇に、居間・食堂と「畳の間」を並べました。

 離れ風の「畳の間」にはふすまを用意していますが、居間・食堂と通り土間の間に壁はありません。通り土間は吹き抜けになっていて、2階のPC図書コーナーや寝室とも直接つながります。通り土間を中心に1階と2階が一体になる空間としました。

 階段を設置した通り土間は、縦横の動線の要になります。同時に、各部屋に対する採光や通風を確保する機能も果たしています。

 建て主夫妻は、庭で畑仕事をし、薪ストーブを使った生活をしたい、という要望をお持ちでした。畑仕事のための出入りや薪ストーブの使用を考えると、土間があると便利でしょう。そこで、通り土間のある間取りを提案しました。

 完成してから1年近くたちましたが、居間や「畳の間」の端に腰掛けて薪ストーブに当たるなど、ご夫妻は通り土間を生活の中で活用されているようですね。実際、薪ストーブの前に座ってぼおっと過ごしていると、癒やされるものです。

 とはいえ、薪を集めるのは手間がかかりますし、薪割りも大変です。すべての人に向いているわけではありませんから、設計時には建て主と話をして相性を見極めた上で勧めるようにしています。

 また、このように大きな空間でつながる家の場合、暖房費を心配する方もいらっしゃるでしょう。ここでは太陽熱を利用するパッシブソーラーシステムを採用し、大空間を効率的に暖め、気持ち良く過ごせるようにしました。

 導入した仕組みは、屋根で集めた熱をダクトで下に送り込み、土間や床下のコンクリートで蓄熱して室内を暖めるというものです。通り土間の床を二重にし、そのすき間を暖めた空気の通り道に活用しています。建物は外断熱工法として、高い断熱性能も確保しました。冬も、パッシブソーラーと薪ストーブで十分に過ごせます。

 私は、単に生活上の機能を満足させるだけでなく、住みながら楽しんでいける家を設計していきたいと常に考えています。薪ストーブもそのための仕掛けの一つですし、家のつくりでも自然光や外気を積極的に取り入れるようにしています。別荘のような建物と言い換えてもいいかもしれません。

 最近は、窓を閉め切って冷暖房に頼る生活をしてしまいがちです。でも、都会にあっても、もっと外の空気とつながった暮らし方ができるはず。そんな家を提案していきたいですね。
(松原正明/松原正明建築設計室)

日野の家

建築データ
  所在地: 東京都日野市
  家族構成: 夫婦
  竣工: 2008年4月
  敷地面積: 182.11平方メートル
  建築面積: 65.62平方メートル
延べ床面積: 111.88平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
  設計: 松原正明/松原正明建築設計室
  施工: 幹建設
連絡先  
  松原正明建築設計室
  代表: 松原正明
  住所: 〒175-0084 東京都板橋区四葉1-21-11 クローバ21-206
TEL 03-3939-3551
FAX 03-3939-3542
E-MAIL: mmatsu@mx2.harmonix.ne.jp
URL: http://plaza.
harmonix.ne.jp./~mmatsu/
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