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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 156「ハウス ミニ」

建て坪6.5坪に家族4人、緑をまとった極小3階建て


密集地に建つ小さな3階建て

道路側外観。古くからの住宅地にあり、周囲は道路のある北側を除いて隣家が迫る。建物の間口はわずか3.6メートル。前庭には門や塀を立てず、シンボルツリーとしてシロモジの木を植えた


奥行きのある玄関

玄関から室内を見る。上がりがまちから、さらに一段高くなっているところは2階への階段。その奥の、洋服が下がっている部分は寝室との境界にあたる。階段の手前と奥にそれぞれ引き戸があり、適宜閉めておける


半透明のカーテンで寝室とクローゼットを仕切る

1階寝室から吹き抜けを通して2階ファミリースペースを見る。半透明のカーテンの内側はクローゼットで、向こう側にも同じカーテンがかかっており、通り抜けが可能。吹き抜けの上は2階。写真右上、天井の一部が斜めに下がっているように見える部分は3階への階段


階段で領域分けされた2階空間

家族全員で使う畳敷きのスタディースペースとファミリースペース。1階に下りる階段の上に浮いている箱はトイレ、写真右の引き戸の中は3階に上る階段


高窓の向こうに緑を望む3階LDK

3階リビングダイニングからキッチン方向。2階から上がってくる階段の周囲はLD側が透明なアクリル板、キッチン側にはアクリルミラーが張ってある。キッチン用の収納の上は人が上れるロフト状空間。窓の外には屋上庭園がしつらえてある


置いたモノを映す鏡張りの収納棚
キッチンからリビングダイニング方向を見る。窓の周囲はすべて壁面収納になっている。写真左の棚は、一番下がデスク、上はAV機器やファックスなどの置き場所。雑然としたモノを鏡像で増幅させることで、ひと固まりのオブジェのように見せている


 建て主は、共働きの若い夫婦です。現在は幼い長男と3人暮らしですが、ゆくゆくはもう1人子どもが欲しいと考えています。仕事と子育てを両立するために選んだ敷地は、都内の交通の便のいい住宅地。それだけに面積は限られたものになりました。

 敷地面積は13坪、建て坪はわずか6.5坪しかとれません。調査してみると、3階建てにしても、持ち物の量だけで建物のボリュームの約30パーセントを占めることが分かりました。4人家族が窮屈に感じず暮らせるようにするには工夫が必要です。また、これほどの小さな家では階段をどう配置するかも難題。生活空間と収納と階段の配分について、試行錯誤を繰り返しました。

 まず1階は、玄関の奥行きを深くし、階段に直結させます。階段下の空間を洗濯機置き場と洗面室に利用。その北側に浴室、南側に寝室を配しました。

 寝室は、壁の代わりにカーテンで仕切ります。半透明のカーテンを二重に掛け、その間にハンガーバーを渡してクローゼットを兼ねました。カーテンは圧迫感がなく、自由に開け閉めできるのがメリット。クローゼットの一部を通り道として空けておけば、あとは衣装ケースを置くなどして収納に活用できます。

 この半透明のクローゼットの中に照明器具を取り付け、間接照明としても利用します。明かりをつけると、中にしまった衣類の色がにじむように透けて見えます。

断面図
断面図


 2階では、1階からの階段と、3階への階段を南北にずらして設けました。2つの階段によって3つに分かれる空間は、北が畳敷きのスタディースペース、階段の間が踊り場のようなファミリースペース、南は寝室上の吹き抜けです。将来、子どもが成長して個室が必要になったら、吹き抜け部分に床を張って部屋をつくる計画です。

 3階への階段は、ファミリースペースと吹き抜けの間に、上から吊り下げるようにして設けました。箱状の階段を宙に浮かせることで、空間のつながりが保て、印象が軽やかになります。

  3階はLDKです。階段を挟んで南がキッチン、北がリビングダイニング。天井はできるだけ高くし、窓を南北両側の高い位置に開けました。収納は窓の周囲に集中させ、窓台を深くして、そこも飾り棚として使えるようにしています。南面の収納の上はロフトになっていて、そこまで上れば、隣家の屋根越しに外の景色が眺められます。

 ロフトの外には小さな屋上庭園を用意しました。ここに草花を植えれば、リビングダイニングから見上げて楽しむことができます。

 一方、道路面の前庭にはシンボルツリーを植え、植栽を施しました。小さな建物が、前に後ろに緑をまとっているようなイメージです。建て主夫妻はともにランドスケープアーキテクト(景観設計者)なので、趣味と実験を兼ねてさまざまな植物を育てたいと考えているそうです。

 近年、住宅をいかに長持ちさせるかが課題になっています。この住宅では、壁の内側や床下を空気が循環し、構造体を乾燥した状態に保つ仕組みを採用しました。こうすれば、少なくとも70年は骨組みが腐朽する心配はありません。また、住宅を長く持たせるためには、ハード面だけでなく、家族や生活の変化に対応できる空間づくりも大事。今後は、ますますこのテーマを掘り下げていく必要があると考えています。
(古見演良/プラステイク)

ハウス ミニ

建築データ
  所在地: 東京都中野区
  家族構成: 夫婦+子ども1人
  竣工: 2007年7月
  敷地面積: 43.47平方メートル
  建築面積: 21.73平方メートル
延べ床面積: 56.51平方メートル
  構造・規模: 木造、地上3階建て
  設計:(建築) プラステイク
  施工: 関崎工務店
連絡先  
  プラステイク
  代表: 古見演良
  住所: 〒157-0072東京都世田谷区祖師谷3-36-21ビラステラ205号
TEL 03-3483-5661
FAX 03-3483-5942
E-MAIL: plastake@mx10.ttcn.ne.jp
URL: http://plastake.com/
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