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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 159「デコの家」

「凸」を横にした断面形状、空間のずれが適度な距離感を生む


「凸」の字を横に寝かせた形の外観

西側道路から見た建物正面。中2階が横に飛び出した形状で、中2階の下は駐車場、中2階の上はルーフテラスになっている。白い門扉を入った奥は、玄関へのアプローチと子どもたちが遊ぶ庭


家の中心にある玄関まわり

左手にある玄関の両側に2つの個室が並ぶ。白い壁に、ムクのナラ材フローリングと収納家具の木の肌合いが映える


連続してつながる中2階タタミコーナーと2階リビング

中2階のタタミコーナーから中2階の食堂と2階のリビングを見る。半階ずらしたことで、ひとつながりの空間としながら適度な距離感を確保した。タタミコーナーの左横には1段下がった収納スペースがあり、半透明の間仕切り壁の向こう側は1階個室のロフト


キッチンからの視線も得られる2階リビング

子どもたちの遊び場となる2階リビング。階段の奥は、ご主人が趣味の音楽に使うコーナー。半階下がるとキッチン、半階上がるとルーフテラスが続く。中2階との間の壁をなくし、視線が通るようにした。現在はリビングの端にネットを張って落下を防止している


大きなロフトを持つ1階の個室

将来は子ども部屋として使う西側の個室。2人の娘のために扉を2つ用意し、区切って使えるようにしている。大きなロフトの壁には明かりが漏れる半透明の素材を使い、収納部分を介して中2階のタタミコーナーと緩やかにつながるようにした


視界の広がるロフトからの眺め

個室のロフトから見る。室内の高い位置に2辺をつなげて回した窓をつくり、すっきりと広がる視界を確保した。下の空間にいると高窓を通した視線は気にならない


グリーンのダイルがさわやかな水回り

透明アクリルで仕切った開放的な水回りは、ご夫婦の希望でタイル張りに。タイルの色もご夫婦と一緒に選んだ


 建物は、1階と2階を縦に積み上げた箱の部分から、中2階が横にはみ出した形です。正面から見ると、「凸」という字を90度時計回りに回転させた形になります。

 こうした構成の利点は、1階、中2階、2階、中2階の屋上に当たるルーフテラスが半階ずつずれてつながっているので、隣り合った上下の空間を行き来しやすいこと。また、中2階部分をそのまま2階に持ち上げた場合に比べると、互いの距離が長くなり、広さを感じます。


 1階には、玄関と階段室を挟んで個室を東西に2つ並べました。東側は主寝室で、現在は建て主夫婦と小さな2人の娘さんが皆そろって寝ています。西側は娘さんたちが大きくなったら子ども部屋になる。いずれの部屋も、上部に広いロフトを設けています。

 半階上がった中2階は、キッチンと食堂、30センチほど床面を上げたタタミコーナー。さらに半階上がるとリビング、バンド活動をするご主人のための音楽コーナーが続きます。

 中2階と2階の間は壁を設けず、手すりや階段も透けたデザインにしました。中2階のキッチンで料理をつくる奥様からは、2階でおもちゃを広げて遊んでいる子どもたちや、音楽コーナーでくつろぐご主人の様子が手に取るように分かります。

 また、1階のロフトと中2階の収納の間仕切りには半透明の素材を用い、明かりや声が漏れるようにしました。

 つまり、1階から中2階、中2階から2階へと、空間は完全に閉じることなく連続している。それぞれの部屋が適度な距離感を保ちながらも、緩やかにつながっていく空間構成を目指しました。

 互いの存在を意識できるワンルーム状の空間といっても、単に大きな箱を用意するだけではなく、家族1人ひとりが落ち着ける居場所を提供したい。そのためには、空間を適度に分節しつつ、それらをつなげていく設計が大切だと考えています。

 今回の設計は、もともと面積100平方メートル弱、建ぺい率60パーセントという敷地の中に、いかに建物と屋根のある2台分の駐車場を確保するかという点から始まりました。

 西に面した道路は車の通りが多い。南側には隣家が迫っているので、こちらには建物を開きたくない。そこで建物をできるだけ南側に寄せて配置し、中2階の下に駐車場を確保しました。一方で、玄関アプローチとなる北側を広くして庭をつくり、そこで遊べるようにしています。

 外に面した窓は面積を絞っています。ただし、ルーフテラスに向けた窓、遠くの山並みが望める窓、L字形に配した高窓をしつらえるなど、メリハリをつけて外とのつながりや開放感をもたらすようにしました。

 現在も、建て主はこの高窓にカーテンなどを付けずに生活しています。設計が意図した開放的な良さを生かして住みこなしてもらっているのは、私たちとしてもうれしいことです。
(古谷清寿+古谷玲子/トルク一級建築士事務所)


デコの家

建築データ
  所在地: 神奈川県相模原市
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2008年11月
  敷地面積: 99.17平方メートル
  建築面積: 58.92平方メートル
延べ床面積: 120.80平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
  設計: (建築)古谷清寿+古谷玲子/トルク一級建築士事務所、(構造)桐野康則/桐野建築構造設計
  施工: THモリオカ
  写真: 坂下智広
連絡先  
  トルク一級建築士事務所
  代表: 古谷清寿
  住所: 〒155-0033
東京都世田谷区代田3-1-3パレス世田谷台203
TEL 03-3418-2498
FAX 03-6273-1846
E-MAIL: kiyo@torque2006.com
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