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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 160「FLAP HOUSE」

壁を上に開く「フラップライト」で、密集地の建物に自然光を呼び込む


周囲をぴったりと隣家に囲まれた旗ざお状敷地

前面道路側から見た外観。都市部によくあるミニ開発の、一番奥まった敷地に建つ3階建て住宅。玄関まわりに木を用いて、外観に個性を与えている


中間階にも上空の光を取り入れる「フラップライト」

2階ダイニングスペース。3方の壁それぞれに、天井とのすき間から光を取り入れる独自の工夫「フラップライト」がある。壁が上に向かって傾いているため距離感があいまいになり、空間に広がりを感じる効果もある


床と床のすき間から家中に空気が流れる

2階ダイニングからリビング方向を見たところ。リビングの床はダイニングより高くなっており、床のすき間は1階につながる。一方、天井のすき間は3階の子どもたちのスペースにつながっている


家族の居場所が上下に緩やかに連続する

2階リビングからダイニング、3階の「DEN」を見る。「DEN」は子どもたちが共用する勉強コーナー。様々な居場所が床ごとに振り分けられ、空間全体としては連続している


最上階の明るい子ども用空間

3階の「DEN」。階段側は2階のリビングと吹き抜けでつながり、デスクの足下にはダイニング側につながるすき間がある。デスクの奥の階段を4段上って個室に至る


家族と仕事の動線を分ける1階土間

玄関から階段方向を見る。天井高の調整のため、1階の床は地盤より少し低い。右手前は妻のワークコーナーに通じる土間、1段上がって右奥は寝室に通じる


仕事と家事の動線を集約したワークコーナー

1階浴室からワークコーナーを見通す。正面奥は玄関土間。手前に洗濯機置き場があり、妻は仕事と同時に家事を進められる。仕事に集中するときは、玄関側と浴室側の両方を引き戸で閉め切ることも可能だ


 ともにカメラマンとして活躍する若い夫婦と、2人の子どものための住宅です。敷地は典型的な旗ざお状。前面道路に通じる路地と、ほんの一部、隣地の庭に接する部分を除いては、ぐるりと隣家に囲まれています。上からの光に頼るしかない環境なので、当初は吹き抜けをつくって光を落とそうと考えていました。

 しかし、12坪にも満たない建て坪で、家族4人の生活スペース、収納、仕事用のスペースと、必要な面積を確保しようとすると、3階建てにしても吹き抜けをつくるゆとりはありません。そこで思い付いたのが、壁の一部を切り開いて外側に倒し、上にできるすき間から光を取り入れる方法です。フラップ扉に似ているので、トップライトならぬ「フラップライト」と名付けました。


 この方法なら、2階はもちろん1階にも、自然光を直接取り入れられます。しかも、壁と窓の角度次第で、視界のコントロールも可能です。採光はこのフラップライト、換気用には別に小窓を設け、光と風と視線を、それぞれ最適な状態に調節することができました。

 吹き抜けの代わりに上下階をつなぐのは、「床と床のすき間」です。

 この住宅では、家族がくつろぐリビング、食事の場であるダイニングキッチン、子どもたちが学ぶ場としての「DEN」、各自が休む個室など、住まいに求められる機能に対して、それぞれひとつの床が対応するように計画しました。

 2階のリビングとダイニング、3階のDENと個室は、少しずつ床の高さが異なり、そのすき間から光と風が流れます。家族おのおのがどこで何をしていても、お互いの様子がそれとなく伝わります。


 レベル差のある床に対して十分な天井高を確保するために、1階の床は地盤面より少し掘り下げました。玄関を入るといったん2段下がり、土間がワークコーナーにつながります。ここは奥さまの仕事場。隣に洗濯機のある洗面・浴室を並べ、仕事と家事の動線を集約しました。

 ダイニングキッチン、リビング、テラスと3つのレベルがある2階空間には、テーブルに座ったりソファでくつろいだり、段差部分に腰掛けたりと、様々な居場所ができました。東西南北4面のフラップライトで予想以上の明るさが得られ、夕方まで照明は必要ありません。

 間接照明のように反射光で空間を照らすフラップライトは、室内でプライベートな撮影を楽しむのにも向いているそうです。建て主夫妻の、カメラマンならではの光に対する高い意識や、多忙ゆえの家族への思いが、この住宅の発想につながりました。

 建て主に出会うたびに、予見を持たずにその人の言葉に耳を傾け、じっくりと対話を重ねることを心がけています。新しいアイデアは、建て主とのコミュニケーションの中からこそ生まれるものだと考えています。
(河野有悟/河野有悟建築計画室)


FLAP HOUSE

建築データ
  所在地: 東京都板橋区
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2008年4月
  敷地面積: 79.84平方メートル
  建築面積: 39.41平方メートル
延べ床面積: 103.25平方メートル
  構造・規模: 木造、地上3階建て
  設計: 河野有悟建築計画室
  施工: 夢工房
  写真: 上田宏
連絡先  
  河野有悟建築計画室
  代表: 河野有悟
  住所: 〒110-0015
東京都台東区東上野6-1-3東京松屋UNITY
TEL 03-5948-7320
FAX 03-5948-7321
E-MAIL: contact@hugo-arc.com
URL: http://www.hugo-arc.com/
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