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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 161「空と木の家」

木のツヤと風のコントロールで、心地良い大空間に


白い壁と窓、格子が端正な表情を見せる西側外観

道路側から建物を見る。長方形の平面に片流れの屋根を載せたシンプルな外形。中央の窓や1階の縦格子が白い壁面のアクセントになる


石畳が落ち着いた雰囲気の玄関アプローチ

格子戸を開けると、玄関へのアプローチになる。格子戸や隣家との間の塀(へい)に囲まれ、半屋外的な空間になっている。正面は、浴室の外に続くバスコート


丸太の梁をそのまま見せたリビングダイニング

2階のリビングダイニング。屋根形状そのままに並ぶ片流れの梁(はり)を露出し、それらを貫くように直径35センチの丸太の梁を通した。全体に直線的でシンプルな空間デザインの中で、丸太の存在が一種のつやっぽさを与えている


上部がつながるリビングダイニングと2階洋室

2階のリビングダイニングと洋室。間仕切り壁は途中で終わり、2部屋は上部で一体化している。階段室を囲むガラスの腰壁の先端には、同じ高さの扉を設置。洋室の引き戸や階段の扉は、夏に開けると風を通し、冬に閉じるとすきま風を防ぎ、床暖房だけで快適に過ごせるようにするための仕掛けとなる


キッチンの一角を彩るムク材のカウンター

硬質なステンレス製のキッチンの背後に、ミズメという木を用いた長いカウンターを配した。表面を漆で拭(ふ)いたムク材は、梁の丸太とともに温かな質感をもたらす


通風口の窓を確保した1階洋室

縦格子の奥にある1階洋室。北側の壁には低い位置に小さな窓をつくり、夏、気持ち良い風が足元を通り抜けるようにした


露天風呂のように外とつながる浴室

大きなガラス越しにバスコートを望めるようにした浴室。窓を開ければ外気とつながり、露天風呂のような雰囲気に。浴室内は壁の一面をヒノキで仕上げ、反対側の壁と床には黒い石のタイルを張っている


 2人の高校生がいる4人家族の家で、建て主夫妻の趣味をミックスした建物になりました。

 木の肌合いを積極的に見せるデザインを望むご主人に対し、奥様は機能的でシンプルな家が好き。白い壁と窓の外に緑が見えるような家がいいとのことでした。

 一見、2人の意向は異なっているようにも感じますが、木があると白が引き締まるし、白い壁に木は映えます。程よいバランスを保てば、モダンでありながら木を取り入れた空間は成り立つと考えました。いってみれば、和風でもなく洋風でもない「自然風」の家です。

 こうした狙いを端的に表現したのが、2階のリビングダイニングです。

 L字形に広がるリビングダイニングは約26畳の広さで、天井面には露出した梁(はり)を等間隔に並べました。この梁の列を貫くように、丸太の梁を配したのです。丸太には、直径35センチのベイマツを用いています。

 室内は直線的な要素を中心に構成しており、窓まわりをはじめとする各部のディテールもできるだけ無駄な要素を排しています。そうした空間のなか、丸太はどっしりとした存在感を示しています。

 キッチンの壁には、長さ4.4メートルのカウンターを設けました。天板は、漆で拭(ふ)いたミズメのムク材です。丸太の梁やカウンター天板など要所に木を配することで、モダンな空間に一種のつやっぽさを与えられたのではないでしょうか。

 木を使うという視覚上の工夫に加え、もう1つ配慮したのが、目に見えない「温熱環境」のコントロールです。

 上下階が吹き抜けでつながっている、天井が高くて広い、というような開放的な空間を提案すると、建て主は空調費や冬の寒さを心配するものです。しかし、開放性と気持ち良い熱環境が両立する設計は可能です。

 ここで基本となるのは、空間全体ではなく人がいる領域の空気をコントロールする考え方です。言い換えると、足元まわりの空気の動きや温度を調整することで、快適な室内空間づくりを目指します。

 例えば、冬は、空気の動きによって体の熱が奪われると寒さを感じます。これを防ぐには、足元に風を生じさせないようにすればいい。

 そこで私は、吹き抜けに通じた階段まわりなどに、腰までの高さの壁や扉を設置するようにしています。夏は扉を開けると風が通り抜けます。冬は扉を閉じると風が生じないので、足元の空気はそのまま滞留し、床暖房だけで十分な暖かさを確保できるのです。

 コントロールが必要なのは、窓からの通風でも同様です。

 夏に南の窓を開けても、そこから入り込むのは30度の空気ですから、室内もその温度になるだけであまり効果はありません。逆に、北側や日陰に面した窓を開ければ、涼しい風が入ってくる。この家でも、リビングや寝室の北面に低い位置の窓をつくり、夏は涼しい空気を足元に流し込めるようにしました。

 周囲の環境を生かし、自然を取り入れる工夫を1つ1つ積み重ねていく。家の中の快適性を高めるための設計の工夫とその可能性は、まだ多く残されていると思います。
(並木秀浩/ア・シード建築設計)


空と木の家

建築データ
  所在地: 東京都西東京市
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2009年2月
  敷地面積: 122.77平方メートル
  建築面積: 48.48平方メートル
延べ床面積: 95.84平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
  設計: (建築)並木秀浩/ア・シード建築設計
  プロデュース: ザ・ハウス
  施工: 高正建設
  写真: 谷岡康則
連絡先  
  ア・シード建築設計
  代表: 並木秀浩
  住所: 〒333-0801
埼玉県川口市東川口4-10-20
TEL 048-297-3102
FAX 048-297-3108
E-MAIL: info@a-seed.co.jp
URL: http://www.a-seed.co.jp/
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