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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 164「Dancing Living House」

建物全体で音漏れを防ぐ ダンススタジオ兼用のリビング




 この住宅の最大の特徴は、リビングがスタジオを兼ねていることです。

 楽器を弾いたり、音楽を聴いたりするスタジオなら、リビングとは分けるのが普通でしょうが、この家の場合、用途はダンス。子どもたちのためのスクールを開く計画があり、6メートル×5メートルのフロアが必要です。それだけで建て坪のほとんどを占める広さですから、ほかにリビングをつくるゆとりはありません。建て主夫妻も、初めからスタジオとリビングの兼用を前提に考えていました。

 ダンスの際には大音量で音楽をかけるため、防音には十分配慮しなければなりません。しかし、高い防音性を求めれば、空間は閉鎖的になる。生活の場としてのリビングの快適性と、どう両立させるかが問題でした。

 スタジオ単体で防音性を確保しようとすれば、分厚い扉や吸音素材が必要ですが、それでは息苦しい雰囲気になるし、費用もかかります。そこで、スタジオの周りに緩衝帯になる部分を設けて、家全体で音漏れを防ごうと考えました。

 建物は遮音性の高い鉄筋コンクリート造りの3階建て。その2階全部をLDK兼用スタジオに充てます。階下は玄関ホールや浴室、階上には子ども室と主寝室を配してLDKを挟みました。LDKの西の壁にはキッチン、北の壁には収納を組み込んで2重にします。残る南と東の壁にはレッスン用の鏡を張りました。


 LDKの開口はスリット状の換気窓のみ。その代わり、北と南の両端にあるトップライトから光が入ります。この光が2面の鏡に反射し、曇りの日でも、日中は照明の必要がないほどの明るさです。

 いつも鏡に囲まれて生活するのも落ち着かないので、鏡の前には薄いカーテンを引けるようにしました。半透明のカーテンは、鏡に映るものをぼんやりと透かします。カーテンの向こうに別の空間が広がっているような感覚が得られ、窓のない部屋でも閉塞感がありません。

 LDKが閉じている代わり、ほかの部屋は開放的な空間にしています。1階の洗面・浴室は南の庭に向かってガラス張り。3階の主寝室と子ども室は、ルーフバルコニーに面した大きな窓を開いているだけでなく、廊下側の引き戸もすべて開け放てます。上はトップライト、床もガラスの廊下は、防音ゾーンであると同時に、半ば戸外のような明るい空間です。

 道路から見ると窓のない家ですが、地面から浮かんでいるので、外からも建物の大きさがつかめます。内側に大きなボリュームが包まれていることがそれとなく伝われば、街とのつながりも保てるのではないかと考えています。
(三幣順一/A.L.X.)


Dancing Living House

建築データ
  所在地: 神奈川県横浜市
  家族構成: 夫婦+子ども1人
  竣工: 2008年5月
  敷地面積: 101.58平方メートル
  建築面積: 58.87平方メートル
延べ床面積: 155.47平方メートル
  構造・規模: 鉄筋コンクリート造り、地上3階建て
  設計: A.L.X.
  施工: 住まいのフジイ
  写真: 鳥村鋼一
連絡先  
  A.L.X.
  代表: 三幣順一
  住所: 〒150-0012
東京都渋谷区広尾5-9-22
sorte D室
TEL 03-3280-6781
FAX 03-3280-6781
E-MAIL: sampei@xain.jp
URL: http://www.xain.jp/
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