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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 168「フローリストノイエ」

塀に守られた庭を眺め、上質素材に包まれて暮らす




 建て主は、2軒の花屋とオンラインショップを営む若いご夫婦。そのお店の雰囲気からも、2人の服装からも、おのずとセンスの良さが伝わってくるようなカップルです。設計に細かく注文を付けられることはありませんでしたが、生活に対するイメージは明快でした。

 敷地は3方が道路に接し、採光面では恵まれていますが、近隣の家や通行人の視線が気になります。プライバシーを守り、安心してゆったり過ごせる環境をつくることが求められました。家の中でも、来客を招き入れる場所と、家族だけで過ごす場所を区別したいという要望がありました。

 そこで、まず南側の道路面を高さ2.4メートルの塀(へい)で囲み、その内側に庭をつくることにしました。こうすると、1階部分は外から見えず、中からは空だけが見えます。1階南面のリビングとダイニングを、庭に向かって思いきり開くことが可能になります。

 玄関に隣接したリビングは、来客も通す、家の中でも公共性の高い場所です。2階まで吹き抜けの大きな空間で、庭側は全面開口。この家の場合、庭はバーベキューを楽しむような「使う庭」ではなく、草花を植えて「眺める庭」なので、窓ははめ殺しのピクチャーウインドーとし、出入りのためにはガラス張りのドアを設けました。ドアの前後には、室内から庭へと続くテラスがあり、内外のつながりを演出します。

 テラスの床は石張り、室内側の壁は漆喰に墨を混ぜた「黒漆喰(しっくい)」で仕上げました。塗料の黒のような真っ黒ではなく、深く複雑な色味を感じさせる素材です。このテラスは、オンラインショップで扱うフラワーアレンジメントの写真を撮る際の、背景としても使えるようにと考えました。

 一方、リビング隣のダイニングは家族だけの場所です。引き戸1枚で閉め切れる、6畳弱の親密な空間で、夫婦で落ち着いて食事を楽しめます。

 建物の南面に並ぶ玄関、リビング、ダイニングに対し、北側には水回りや収納、書斎を並べました。それぞれ、リビングと引き戸1枚で接しています。この引き戸に、壁と同じ素材の突き板を張り、全体が一連の大きな壁に見えるように工夫しました。突き板は、ホワイトオークに木目を浮かび上がらせる「浮造(うづく)り加工」を施し、さらに白っぽい染色を掛けたもの。同じ材料を造り付け家具にも使っています。

 私たちは建築士とインテリアコーディネーターのユニットなので、家具も含めたトータルな空間づくりを提案できるのが強みです。内装や家具の素材も、既製品に頼らず、原材料や加工法から検討を重ねます。オフィスがかっちりとしたスーツだとすれば、住宅は普段着。上質で肌触りのいい素材を選び抜いて、着心地のいい空間をつくりたいと考えています。
(新堀秀一+新堀さおり/nio Architects)


フローリストノイエ

建築データ
  所在地: 東京都
  家族構成: 夫婦
  竣工: 2008年12月
  敷地面積: 166.39平方メートル
  建築面積: 78.15平方メートル
延べ床面積: 122.37平方メートル
  構造・規模: 木造・地上2階建て
  設計: nio Architects
  施工: コラム
  プロデュース: ベースメント 朝妻義征
  写真: 鳥村鋼一
連絡先  
  nio Architects
  代表: 新堀秀一+新堀さおり
  住所: 〒181-0012
東京都三鷹市上連雀2-6-7 HO三鷹103
TEL 0422-24-9091
FAX 0422-24-9092
E-MAIL: niibori@yf7.so-net.ne.jp
URL: http://niibori-a.com/
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