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Housing File 169「姫路城を望む家」

ねじって建ち上がる形態で、眺望と広がりを得る




 コンクリート打ち放しのこの家は、ちょっと不思議な形をしています。2つの四角を少しずらして並べた雁行形の平面。これらが交わった部分に建ち上がる壁は上に向かっていくにつれて回転し、建物がねじれていきます。

建物のコンセプトモデル:写真
建物のコンセプトモデル(*)

 なぜ、こうした形にたどり着いたのか。理由の1つは、建て主の要望でした。

 敷地は、白鷺城とうたわれる名城、姫路城の近くに位置しています。建て主は、「城を見ながらリビングでくつろぎたい」という強い思いから、城に近い敷地を購入しました。ですから、姫路城への眺望を確保することが第一に求められました。

 敷地の南側には城の堀に沿って拡幅整備されている道路があり、完成すると道路越しに直接、姫路城を望めるようになります。ただし、現在は手前に小さな通りと2階建てのアパートが建っているため、城はこの建物越しに見る形になっています。

 家族は建て主夫婦、中学1年と小学5年の息子の4人で、建て主が経営する会社の事務所スペースも必要でした。そこで1階に車庫と事務所、2階に寝室を並べ、見晴らしのいい最上階の3階にリビングとダイニングキッチンを置く構成としました。

 敷地形状からくる制約もありました。

 敷地は間口が小さく、奥行きが深いという細長い形状で、長辺方向の先に城があります。建物を雁行配置したのは、奥行きの深い方向に並べたリビングとダイニングの開口からそれぞれ城が見えるようにし、さらに各部屋に採光を得るためです。

 また、駐車場を確保する必要から定まった1階の建物配置をそのまま上階へ積み上げると、開口の位置が城の方角から少しずれてしまいます。そこで、上階にいくにつれて城に正対していくように建物をねじりました。同時に、上へいくほど床面積が大きくなるようにしてリビングとダイニングの広さを確保しています。

 こうした計算の上で決めていった形ですが、出来上がってみると予想外の効果も生まれました。

 断面も平面も、平行の部分はほとんどありません。上に向けてねじることで室内空間が天井に向かって広がり、細長い部屋の割に空間にゆとりが感じられます。この広がりが、どこか“ユルい感覚”をもたらして気持ちいいのです。

 一方で、建物は建て主だけのものではありません。街の中に姿を現す存在ですから、周囲の景観にふさわしい形で納まっていることも大切です。

 今回はコンクリート打ち放しの建物としましたが、雁行させて2つに分割することで、古い建物やコンクリート3階建ての家が混在する街のボリュームに違和感なく納まるように配慮しました。コンクリートの表面は風化に伴って良い味わいを出し、通りに面して植えた緑は育っていくと周辺地域との緩衝材になるでしょう。

 城に対する建て主の思いを出発点に設計した家ですが、周囲の街に溶け込む形態を提案できたのではないかと感じています。
(木下昌大/木下昌大建築設計事務所)


姫路城を望む家

建築データ
  所在地: 兵庫県姫路市
  家族構成: 夫婦+子2人
  竣工: 2009年5月
  敷地面積: 162.54平方メートル
  建築面積: 56.03平方メートル
延べ床面積: 155.13平方メートル
  構造・規模: 鉄筋コンクリート造り、地上3階建て
  設計: (建築)木下昌大、高木充/木下昌大設計事務所、(構造)萬田隆、小林充/萬田隆構造設計事務所
  施工: アキツ建設
  写真: 阿野太一(*付きを除く)
連絡先  
  木下昌大建築設計事務所
  代表: 木下昌大
  住所: 〒106-0045
東京都港区麻布十番4-4-1-2031
TEL 03-6459-4950
FAX 03-6459-4951
E-MAIL: info@
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