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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 174「KN-House」

20代の若い夫婦が建てた、子どもとともに育つ家



 設計当時まだ20代の若いご夫婦と、小さな子ども2人の住まいです。敷地はもと畑だったところを分譲した区画のひとつで、約11メートル角の正方形。南の道路側には隣地が接し、接道面はわずかです。

 そこで、建物をL字型に配置して南に広い前庭をとり、一部を駐車スペースに充てました。南に張り出すのは1階だけにして、その上は13畳大のルーフバルコニーに。家全体に南の光が差し込みます。

 メーンの生活スペースとなる北翼は、1階のファミリースペースと2階の子ども室が吹き抜けでつながる、おおらかな空間です。庭に面した南側には、1階から屋根の高さまで続く、大きな開口を設けました。引き違いの玄関扉もガラス張りで、開放感にあふれています。

 建て主夫妻はともに出雲の出身で、古い木造家屋で育ったそうです。自分たちがつくる家も、「木目が見えるような木の家がいい」というリクエストがありました。「がらり」と開ける引き戸の玄関も、奥さまの希望です。もうひとつの希望「縁側」は実現できませんでしたが、南に面した大きな窓で、その雰囲気は出せたのではないでしょうか。

 北隣は地主さんの住まいで、広い庭に接しています。この庭を借景に、吹き抜けの北側にも大きな窓を設けました。1階から見上げると、南北両側に空が望めます。小さな住宅でも、視線が遠くまで抜けると狭さを感じません。私はいつも、こうした視線の「抜け」を大事にしています。

 ファミリースペースには、壁2面に沿ってぐるりとベンチを造り付けました。食卓も、片側はこのベンチを使います。いすを置くよりスペースが有効に使えますし、何人でも自由に座れます。また、西の壁にはおひな様の段飾りが置けるニッチ、南にはテレビやスピーカー用の収納を設けました。

 2階は子どもたちのためのスペース。2人ともまだ幼いので、まだ何も置いていない、がらんどうの空間です。今のうちはのびのびとした遊び場として楽しみ、成長に応じて、机や収納、間仕切りを足していこうという考え方です。

 吹き抜けの上には天井扇を設置して、上下の温度差を抑え、冷暖房効率を高めます。高い位置に風抜きの窓を設け、通風にも配慮しました。

 この家に特徴的なのは、趣味のスタジオです。ここはご主人がドラムの練習をする場所。防音性能を確保するため、地下室にしました。天井は下地材を目透かし張りにして吸音材を詰めています。床は吸音材を二重に張り、壁との間にすき間をあけて、振動が外に伝わるのを防ぎました。ただ、壁は現場の端材を両面テープで張り付けただけ。音響の様子をみながら、カーテンをつるすなど、少しずつ工夫していく計画です。

 未完成の部分も多い家ですが、建て主夫妻は自分たちの手で塗装をしたり、庭づくりに励んだりすることを楽しんでいるようです。若い家族とその住まいとが、一緒に成長していくことを願っています。
(大庭明典/大庭建築設計事務所)


KN-House

建築データ
  所在地: 千葉県船橋市
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2008年12月
  敷地面積: 123.53平方メートル
  建築面積: 59.76平方メートル
延べ床面積: 107.55平方メートル
  構造・規模: 木造・地下鉄筋コンクリート造り、地下1階・地上2階建て
  設計: 大庭明典(大庭建築設計事務所)
  施工: 忠創建設
連絡先  
  大庭建築設計事務所
  代表: 大庭明典
  住所: 〒153-0061
東京都目黒区中目黒2-7-11宮岸ビル4F すまいFab
TEL 03-5721-2822
FAX 03-3716-8459
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